生と死の分岐点―山の遭難に学ぶ安全と危険

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制作 : Pit Schubert  黒沢 孝夫 
  • 山と溪谷社 (1999年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635178099

生と死の分岐点―山の遭難に学ぶ安全と危険の感想・レビュー・書評

  • 「本の雑誌」六月号は、山の本の特集。私はまったくの非アウトドア派だけど、冒険探検ものを読むのは大好き。特に(大きな声では言いにくいが)遭難ものには目がない。おお、これは読みたい!という本が次々紹介されていて、あっという間に付箋だらけになってしまった。これは「山の本ベスト30」の一冊。

    ドイツ山岳会安全委員会の委員長を長年勤めた名クライマーが、遭難事故の実例をあげて安全な登山に必要な備えを教えるのが本書。まあ、出るわ出るわ、その事故例の物量的多さに圧倒される。天候悪化、雪崩、落雷、吹雪、滑落などなど、山の危険があげられるなかで、私が特に目を見張ったのが、墜落。

    ロープが切れて、ハーケンが抜けて、カラビナが壊れて。いくつもの原因で墜落は起こる。その中でまさに信じられないと思ったのが、錯覚や油断、不適切な確保法によって起こったとしか考えられない事故の例がたくさんあがっていることだ。まさかそんなことで、というつまらないことで、あっけなく死亡したり半身不随になったりする人の多いこと。衝撃だった。

    「おわりに」で著者は、「本書では多数の遭難事故を例示したので、登山やロック・クライミング、アイス・クライミングは世界中でいちばん危険なスポーツであるという印象を与えたかもしれないが、決してそんなことはない」と書いているが、いやいやそうとしか思えないです…。それでも山へ行く人は、行くんだよね。

    「訳者あとがき」に、本書はきわめてドイツ的だとあって、実に納得。
    「遭難事故は事故としてのみ対象化され、容赦なく分析される」「人間の犯す過ちは愚かで、哀しい。著者はそこから目をそらさない」「互いの肩をなでながら相手の傷を舐めあうような似非ヒューマニズムも、安楽椅子にふんぞり返ってパイプをくゆらす腹の出たサロン・アルピニストのたわごとも、無縁である。剥がれかけた白ペンキのような浅薄な感傷がつけ込む隙は、本書にはない」

    門外漢にはわかりにくい専門用語も多いが、有無を言わせぬ迫力で読まされてしまった。危険をゼロにはできない。むしろ危険があるからこそ魅力も大きいのだろう。万全な準備をし、自然に挑んでいくところに山の醍醐味があるのだろう。「本の雑誌」で森山伸也氏も書いていたが、そういう意味でも、この三月に部活動中に亡くなった高校生たちはあまりに痛ましい。「生徒たちの判断によって起こった事故なら致し方ないと目をつむる。彼らが歯向かえない、意見さえも言えない絶対的指導者によってもたらされた事故だから、怒りと無念さは尽きることがない」とあるのをかみしめた。

  • まあとにかく墜落するし滑落するんだな。今まで意識しないでしてた動作、例えばロープを跨ぐこととかを考え直すいいきっかけになった。しかしシットハーネス以前の話は隔世の感があるな。今現在主流とされてる技術や考え方との擦り合わせも必要だなと思った。

  • ドイツのクライミングマニュアル、事故分析。安全装置は100%ではない。落ちるということは、(確率は技術で変えられるが)ルーレットを回すことに等しい。文章が簡潔、論理的、科学的、定量的で素晴らしい。これはドイツ人属性によるものかクライマー属性によるものか?

  • ロープクライミングをする人はぜひ1度読むべき本。
    ドイツの本だから堅苦しいのかと思って敬遠してたのだけど、
    ある時、人から勧められて読んでみたら、とてもわかりやすかった。
    イラストも豊富で訳者の苦労がにじむような素晴らしい本でした。
    なるほど、今まで先輩や先生に危ないって言われてたこと、
    それはやるなって言われてたことなど、全ての事例が
    痛ましい事故写真つきとか解説つきで載っている。
    これはすごい。さすがドイツ。統計と組織力。
    日本じゃこうはいかないです。
    続編も読むつもりです。
    すべてのクライマー(ロープ使う人)に。
    (て、皆とっくに読んでるか。(^_^;))

  • 数年後にまた読み直したいと思います。

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生と死の分岐点―山の遭難に学ぶ安全と危険の作品紹介

山岳遭難の数々を詳細なデータ分析と用具・技術の検証を通じて赤裸々に再現し、その予防策と対処の方法を提言する。

生と死の分岐点―山の遭難に学ぶ安全と危険はこんな本です

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