熊を殺すと雨が降る: FIELD NOTE山の民俗学

著者 :
  • 山と溪谷社
4.00
  • (3)
  • (0)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 23
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635300049

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 印象に残った文章を綴ってみた。

    「山の暮らしも変わろうとしている。何よりも人間の心の在りようが変わった。自然の恵みに感謝し、つましく生きることの尊さを忘れてしまっている。人間の一生の価値や尊厳は、繁栄や豊かさと無縁だということを、山の老杓子職人が教えている」
     漆にまつわる話には興味深いものがある。「…漆が結ぶ山と海の文化、山の習俗と海の習俗、そして漆掻きと漁師の生き様が、見えない糸で結ばれている」  
     猪狩りにおける犬と猟師の連帯感も興味深い「猟師が少しでもおびえたり、ひるんだ態度を見せると、犬は敏感に読み取って弱腰になる。主に見切りをつけた犬は、以後、猟犬の役をなさなくなる。猟師は恐ろしくても毅然とした態度で犬をけしかけなくてはならない」
     「やわな人間は山で生きられない。山に暮らすには、逆境を逆手にとってねじ伏せる図太い性根と、山河の恵みに対する感謝と慎みが要求される。そこに一切の虚飾をそぎ落とした素朴な生の営みと喜びがあった。暮らしの中で磨かれた知恵や技術は、単に生きる手段だけではなく、自然の成り立ちを深く知り、命の価値を確認していく作業でもあった」
     「山に暮らすには、命を張って生きる覚悟がいる。同時に、山に対する知識を磨き、自分の技量を真摯に見極める謙虚さと冷静さが要求される。その折り合いのつけ方が、自然と付き合っていく知恵である。
     
     山と共に生きてきた大いなる文化には今の洗練された衣食住には到底及ばない素晴らしい文化があった。先人たちがつくり伝承してきた貴重な文化が衰退したしまったことが惜しくてならない。
     この素晴らしい本に出合えたこと、そして読書する喜びと意義を改めて思う。

  • やたら「昭和30年」というワードが出てきた気がするけど、この時漁師の世界で革命的な何かがあったの?

    内容は、近現代の漁師について。山での狩猟の他に、採取や川での狩りについての話も記載。
    漁師の中で語られているタブーについては少な目。

全2件中 1 - 2件を表示

遠藤ケイの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×