四万十 川がたり

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  • 山と溪谷社 (1999年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635310093

四万十 川がたりの感想・レビュー・書評

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  • 30年ほど前に全国的にカヌーが流行した時期がある。
    アウトドア雑誌はこぞってカヌーを取り上げ、ラーメンのCMではファルトボート(折りたたみカヌー)での川下りの草分け野田知佑氏が愛犬ガクと共にテレビで舟を漕いでいた。
    そして、野田氏が訪れていた四万十川はカヌーの聖地となり、今では全国にその名を知られる清流として有名になった。

    その、四万十川中流域にある口屋内に住んでいた野村のおんちゃんこと野村春松さんの川と共に暮らした人生の聴き語り。
    口屋内に生まれた野村のおんちゃんは、兵隊から戻ってからも四万十川に住み続け、川と暮らしていた。
    野村のおんちゃんの趣味は、上流から川を下って来る若者を捕まえ、自分の家に連れていき、風呂に入れ、ご飯を食べさせ、さらには家の前に小屋まで作り泊めてしまうこと。
    そんな風に、気さくに付き合ってくれる野村のおんちゃんに惹かれ、四万十川に
    魅せられてしまった者は多い。

    私もその中の一人で、夏休みの終わった誰もいない河原にテントを張っていたら、「あんたか、川におったのは」と声をかけていただき、お風呂に入れていただき、詩吟の会から帰ってきたおばさんの土産のお寿司を御馳走になり、小屋に泊めていただいた。

    そのとき話してくれたのも、山では一つの仕事だけしてるいるのではなく、季節季節によって山仕事をしたり、川で漁をしたり、畑の仕事をしたりしてくらしていくんだ。
    日本人が一つだけの仕事で生活するようになったのは、最近のことなんだというようなこと。
    そんな、日本人の暮らし、山里の暮らし、そして四万十川の暮らしのことが全編にわたって綴られている。
    いまはもう、野村のおんちゃんも奥さんも、そして近所に住まれていたお姉さんも当然いなくなってしまった四万十川。
    日本人が山里で生きてきた姿を知る上でも、とても大事な一冊だと思う。
    たまたま、最近四万十川のことを耳にし、読み直してみました。

  • 野村春松談・蟹江節子著『四万十 川がたり』。高知県を流れる四万十川。「四万」に「十」の川を集めた河川ながら、地元では古来の「渡川」本来の河名とする。
     その流域に生きる野村春松翁を通じて、四万十川の「川の端の暮らし」「川の力、山の力」「川の漁」「川の旅人たち」「大事なものはニキにある」と、各章を展開。

     川に人工的な造作を行うことのむなしさを指摘する。人工的な造作は川を破壊するとさえ主張する。
    川がはぐくむ天然アユに対して、養殖アユのひよわさを示す。
    天然アユのうまさについて、二つの見方。ひとつは漁具に立ち向かってくる力強さ。この子孫を多く残したいから漁獲しないと述べる。他方で、天然アユの≪うまさ≫について、藻を食べたあとで排せつした時刻をみはからって漁獲するという。身に栄養、腸に糞がなくて丸ごと食べられる、とする。
    あとは、食するの者の味覚。舌のかみわける力ということか。

     「人と自然はながくむきあい、その変化を観察してきた」が、野村翁の主張点、か。川は古来、人の交流路、生物を養育する場であった。
    地名を考える行動を起こす時、「川の力、山の力」を示している人の営みに、深く注目するべきではないか。本書を手にして、思ったことであった。

  • 四万十川のほとり口屋内村。
    そこで育ち生きた野村のおんちゃんが語る昔と今の四万十川。

  • 四万十川のカリスマ爺さんの著書。川の神秘や自然への畏怖など都会人、現代人が決して忘れてはいけない知恵が書かれている。

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蟹江節子の作品

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