魔女の薬草箱

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著者 : 西村佑子
  • 山と溪谷社 (2006年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635810081

魔女の薬草箱の感想・レビュー・書評

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  • 昨夏、我が家の庭に突然大きなケシの花が咲いた。
    突然、と言うのは、植えた覚えがまるでなかったからだ。たぶん鳥の落としものだったのかもしれない。
    鮮やかな赤色はほれぼれとするほど美しいのだが、あらぬ疑いをかけられるのも困るので、まずは
    カメラで画像におさめ、花の傍で一献傾け、三日後に惜しみ惜しみ引き抜いた。

    よくよく考えてみれば、「賢い女」となるべくハーブや山野草を多数育てているのが災いしたような気もする。
    ごくたまに料理に使う程度で、あとは育てて鑑賞する楽しみのみ。
    医療用に使うなど、そんな「勇気」はとてもとても。第一とても手間がかかるし。
    まぁそんな庭を鳥が上空から眺めれば、ただの雑木林だったのかも。
    「賢い女」になるのは、まだまだはるか先の話。
    ましてや「魔女」になど・・いや、こちらはならなくていいかな(笑)。

    さてこの本は、魔女が使っていたとおぼしき植物の名前が知りたいひと向け。白黒の画像とイラストも豊富。
    出だしから驚かされるのは、魔女はホウキにまたがって空を飛んだのではなく、全身に塗る軟膏の力でトリップしていたという話。
    そしてその怪しげなレシピも公開されている。実際に古い処方に従って作ってみた学者さんもいたらしく、被験者は昏倒して長いこと意識を失っていたらしい。覚醒後は、自分が一歩も動かなかったことをどうしても信じようとしなかったとか。
    ケシの花を片手に半分入れるという軟膏のレシピも載っているが、アヘンやモルヒネ、ヘロインの母であるケシの花が植えもしないのに咲いた我が家って・・。ハーブの増殖に私の手が間に合わない。

    魔女と薬草から始まって、以下魔よけ草、魔法の薬草と続き、この章では有名なかの「マンドラゴラ」の画像が載っている。
    言われるほどのおどろおどろしさはなく、食べてみたという植物学者さんによれば「ほのかに甘くて美味しかった」らしい。
    うん、これはぜひ栽培してみたい・笑

    「トリスタンとイゾルデ」に登場する媚薬についても触れられていて、残念ながらこちらのレシピは載ってない。
    強烈な甘い香りという点では薔薇が女王級らしいが、媚薬についての科学的な証明はいまだ不可能らしい。
    うーん、有効期限のない媚薬なら欲しいかな。飲んでどうするという予定もないが、どんな気分になるかは知りたい。アブナイアブナイ。

    植物学よりも魔女の真実の姿にスポットを当てているので、中世の魔女と言われた薬草に詳しい女たちや産婆・医者として活躍した女性たちも紹介されている。
    薬事に精通している人々は尊敬を集めるか、恐れられるかの二つに一つ。
    薬事が伝承される過程でキリスト教の普及があり、魔女裁判のような負の遺産も残している。
    社会をまとめやすくするため必要だった宗教が、「賢い女」を迫害したのだ。
    巡り巡って現代は、薬草魔女がプラスイメージに転じているという。

    著者がドイツをフィールドにしているため、あくまでもドイツを取材してまわった記事だが、語り口が明るく軽快なのでさらりと読める。
    様々な文学作品の引用も楽しく、あ、そうなんだ!という小さな発見もたくさん。魔女の使った植物に興味のある方におすすめ。

  • 魔女。
    その響きは、ある時代には恐ろしいものであり、またある時代には憧れや親しみを覚えるもの。
    そんな得体の知れない存在は今も確かに生きている。
    彼女たちが持つ薬草箱には、一体何が入っているのだろう?

    魔女といえば、マンドラゴラ。
    毒を持つ種類が多いナス科の植物だ。
    そう、マンドラゴラは伝説ではなく、れっきとした実在の植物。
    といっても、顔はない。
    栽培はとても難しいそうで、奇妙な形と相まって、不思議な力を持つ植物と思われたのかも知れない。
    このマンドラゴラ、和名は「恋なすび」。
    たしかに丸茄子のような実がなっている!
    受胎効果はいかほどのものかはわからないが、ナス科だと体を冷やすのでは…?
    秋獲れと春獲れだったら、やはり秋茄子は嫁に食わすな、なのだろうか。

    日本ではやっているもの、それはパクチー。
    コリアンダー、シャンツァイ(香菜)ともいう。
    パクチーバーという専門店もあるそうだ。
    このパクチー、「軽い麻酔効果があり、エジプトでは催淫剤として用いたと言われている」(123頁)そうだ。
    さてさて、実を潰すだけでできるというお手軽な媚薬、好きな人に食べさせることができればいいのだが、少なくとも私の周りの男性陣はパクチー嫌いが多く、うまく行きそうにない。

    薬草といっても様々な種類がある。
    漢方にもつうじるようなそれぞれの効能。
    セルフメディケーションの一環として知識を蓄えておくと、「賢い女」に近づけるかも。

  • 借りたもの。
    特にドイツの薬草と魔女の歴史について読みやすくまとめられている。

    魔女が空を飛ぶために使っていたのはホウキではなく「魔女の軟膏」を全身に塗っていての事だった……
    真実に衝撃を受けつつ、その成分は何なのかを紐解きながら読み進んで行く。

    「魔女」が扱う幻覚作用や毒性の強い植物から、魔除けの植物、「良い魔女」と魔法の薬草について、そして「賢い女」が扱う薬草まで。

    読んでいて垣間見る暗黒の中世ヨーロッパ史――
    魔女狩りやペストもさることながら、閉塞した空気感を思う。
    そしてそれ故に魔女の「空飛ぶ軟膏」など幻覚作用のある薬が時に求められたのだと思う。

    現代医学、化学療法と共に自然療法も肯定的に受け入れられている欧州。
    その背景には、生活に密着した薬草(ハーブなどもふくめて)と、「賢い女」「魔女」らによって連面と受け継がれたものがあった。

    「ヴァルプルギスの夜」の真実が、春を迎える民間行事――芽吹きを意識させると、植物、薬草の繋がりをも意識させる。

  • 先日読んだ『不思議な薬草箱』のシリーズ第一弾。「魔女」が使ったとされるいろいろな薬草の効能(民間療法などで信じられているものと、実際のもの両方)が、とても分かりやすく解説されています。ゲームでおなじみのあんな草やこんな花もたくさん取り上げられていて、大変濃ゆい内容で大満足。NHK朝ドラに登場するキッチンウィッチの話も出てきます。

  • 歴史に見るドイツの魔女と薬草の関わりについての本。
    魔女と魔女にまつわる薬草のエピソードが、魔女狩りの時代に如何に造られたかを考察している。ただ、歴史的側面だけで終わらず、薬草そのもの、特にアルカロイドの特性を絡めて書かれているのが面白い。
    魔女や薬草について興味のある人には食い足りない感じもあるけれど、随筆としては興味深く読めた。著者の別の作品も読んでみたい。

  •  魔女と言えば薬とほうきの2点セットが浮かんでくる。ぐつぐつと何か怪しいものを作っている姿やほうきにまたがって空を飛んでいる姿。

     キリスト教にとって本来、魔女でもないのに魔女と呼んで迫害した人たちがいる。そうしたのには理由がある。それは、薬草に詳しい「賢い女」は、呪文を唱えながら薬草を積む。唯一の神の教えとして存在しているキリスト教としては異教行為と見えて、しかも民間の中で根強く残っていることに危機感を覚えたのだろう。産婆も迫害の対象となっていった。それは、子供を無事取り上げられない場合、洗礼を受けないで死んだので天国に行けなくなり、産婆が悪魔にいけにえとして捧げたと思われた。そして、事情があって産めない女性たちに堕胎を施すと言った具合にキリスト教会にとって好ましくない存在だった。

     今のように科学が発達して一般の人たちもそれなりに知識があり、インターネットで調べると分かる時代ではなかったので、あいつは魔女で危険だとキリスト教会が言って迫害すれば、真に受ける人もいれば、それに乗じて邪魔な人を消すのに利用した悪もいた。

     「空飛ぶ軟膏」、なんだそれはふと思ったが、その正体は幻覚や浮遊感覚をもたらす薬草だった。いろいろ組み合わせると「魔女の軟膏レシピ」が完成すると「世界魔女百科」と言う本に載っていると著者が紹介している。

     今の時代にも残っているということは、いくら権力者の側が押さえつけようとしても民間でいいと思っているものは生き残る。数百年後、どうなっているのか気になる。

  • 魔女の本、あるいは、薬草の本、というよりは、「楽しく読めるエッセイ」の印象。
    何点か啓示されている挿絵が、歴史を感じさせて興味ぶかい。

  • 読書録「魔女の薬草箱」4

    著者 西村佑子
    出版 山と渓谷社

    p29より引用
    “麻は捨てるところがないほど役に立つ植物
    である。古代ローマの博物学者プリニウスは、
    『博物誌』(77年)の中で、ロープを作るのに
    最も適していると言っている。”

    目次から抜粋引用
    “魔女と薬草
     魔女と魔除け
     魔法の薬草
     「賢い女」の薬草”

     ドイツ語講師である著者による、魔女と呼
    ばれた人達とその人達が扱った薬草について
    著した一冊。
     魔女が使ったとされる軟膏のレシピから薬
    草料理についてまで、当時の様子を描いた絵
    や植物図を使い解説されています。

     上記の引用は、魔女の軟膏のレシピを紹介
    するこうでの、麻についての一文。
    使い方さえ間違わなければ、とても有用な植
    物のようです。どのような物でも、使う人の
    考え方と使い方一つで、益にも害にもなるも
    のなのでしょうね。
     昔は魔女狩りという怖い歴史がありました
    が、現在の魔女の集会は楽しいお祭みたいに
    なっているそうです。平和な時代となって何
    よりです。

    ーーーーー

  • 薬草の効用を知りたくて、手に取ったものの、少し趣向が違っていたが、それでも充分楽しめた。
    魔女はドイツだけにいた訳ではないけれど、少なくともSchwarzwaldには、いるんだろうと思わせる何かを感じた事は確か。幼少の頃の愛読書「小さい魔女」を思い出した。魔女の薬草にナス科の植物が多い事にびっくり。

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