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- Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
- / ISBN・EAN: 9784639021551
感想・レビュー・書評
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(01)
2000年に発覚した藤村新一氏の旧石器遺跡発掘をめぐる捏造を検証している。
捏造の背景、捏造の方法とその検証、検証後の旧石器研究の現状といった構成になっている。
藤村氏の手際のよさをマジシャンとする隠喩表現がみられる。また、研究者も含めた関係者の前期旧石器遺物の発見が待望されていた背景も描かれている。
発覚してしまえば、種明かしをされた手品のように、単純な方法で捏造をしていたには違いないが、結果が強く望まれていた場合、過程への追及には甘くなる。むしろ、藤村氏が遺跡を訪れることで前期旧石器時代の何かが発見されてしまう奇跡が「神の手」として周囲に認識されていた事実が興味深い。
前期旧石器時代の石器が、東アジアではどのようなものであったかというものが、そもそもわかっておらず直接的な検証の方法がなかったということも捏造を容易にさせていた事情がわかる。火山灰層の様子、石器が発見された場所の様子、後期旧石器や縄文の石器との形態的な差異の様子など間接的な手がかりによるしかないところに遺跡発掘の難しさと面白さがあるのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示