- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641122581
作品紹介・あらすじ
歴史の瞬間は、その時点に立って考えれば、いつも「海図なき航海」であった。戦後日本は、20世紀後半から21世紀初頭までの国際社会をどう航海したのか。めまぐるしく変動する国際環境の中での外交的選択の戦後60年を、ここに再現する。
感想・レビュー・書評
-
話題の五百旗頭先生が編集され、著名な外交の専門家たちがそれぞれのパートを担当した名著。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現・防衛大学校校長の五百旗頭真以下、京大系の外交史研究者たちによる戦後日本外交史の教科書である。
【構成】
序 章 戦後日本外交の構図(五百旗頭真)
1 近代日本の外交伝統
2 本書の構成
第1章 占領下日本の「外交」(五百旗頭真)
1 米国における対日占領政策の形成
2 占領下日本の「外交」とは
3 天皇と日本政府を通しての間接統治
4 占領改革をめぐる交渉
5 冷戦下における日本の安全保障
第2章 独立国の条件(坂元一哉)
1 サンフランシスコ講和への道
2 吉田路線とアメリカ
3 鳩山政権と外交地平拡大の模索
4 岸政権と戦後外交体制の確立
第3章 経済大国の外交の原型(田所昌幸)
1 戦後憲法体制の「確立」と日本
2 経済大国への道
3 日米「パートナーシップ」の展開
4 未解決の戦後処理
第4章 自立的強調の模索(中西寛)
1 落日の佐藤政権
2 デタント期の日本外交
3 緊張の再燃と政策協調
第5章 「国際国家」の使命と苦悩(村田晃嗣)
1 日米「同盟」への道
2 日米関係の同盟化とライバル化
3 日本外交のグローバル化
4 冷戦の終焉
第6章 冷戦後の日本外交(五百旗頭真)
1 「冷戦の勝者」日本の「敗北」
2 冷戦後外交の模索
3 危機と安全保障の季節
4 「協力的協調外交」の時代
5 東アジアの経済危機と日本
6 衝撃の21世紀
結 章 戦後日本外交とは何か(五百旗頭真)
1 歴史
2 戦後日本の三つの政治外交路線
3 吉田路線の本流化
4 「日米関係の深化」と「外交地平の拡大」
5 危機の1970年代
6 経済国家のピーク
7 冷戦後の国際変動と日本外交
第4章までと第5章以降で、読んだ時期に少し開きがあるので、内容を十分に把握し切れていない部分があるが、全体を通してかなりバランスのとれた通史であると言えるだろう。
戦後の日本外交のもどかしさは、取り得る選択肢がそもそも大幅に限定されているということにあるだろう。終戦以来の中国・朝鮮半島の不正常な関係、アメリカの軍事戦略と国内の法的・政治的・経済的制約などによってがんじがらめになったその先には、冷戦下の戦後平和主義の発想が生まれた。巷間の外交認識はこれに端を発する保革の対立で説明されることが少なくなく、現実の事態の推移を検討するということは滅多に行われていない。
本書はそのような単純でイデオロギー的な理解を排して、現実主義的なアメリカとの利害関係、アジア外交へのアプローチと失敗を重ねた日本外交の実像を年代ごとのダイナミズムを念頭に置きながら論じている。
大学の法学部・経済学部あたりに在籍している人は読んでおくべきだろう。もし、全部読み通す気力が無いなら、序章と結章だけ読んでも得るところはあるはずなので是非一読をおすすめする。 -
大学一年のときにとった講義の教科書。
たぶん当時はほとんど読まなかったけど、試験対策として今年熟読。
それぞれの年代・首相における、日本と諸外国との関係がよく分かり、役に立った。 -
とても読みやすかった。教科書として一級品でしょう。
気になったのが、50年代、60年代ごろに見られた首相たちの外交政策に対する信念というかテーマというのがはっきりとわかったのに対し、80年代末以降からよくわからなくなってきた、ということです。
首相のインパクトがない、といったほうが正しい表現かもしれません。
それは、首相のキャラクターが昔は濃かったのか、ワンマンだったのか、という理由があるのかなーと思いましたが、80年代以降の首相の自伝などを読んでいこうかなと思いました。 -
国際関係基礎購読の講義で使われた教科書。
-
これも某大学の入試のために日本外交をおさらいした。『外交史』と銘打ってあるだけあって、外交に特化した記述。だけど、やっぱり内政との関連性、また世界情勢への記述が弱いため、冷戦期における日本、という位置付けが出来ない。あと、余りにアメリカとの外交に重きを置いていて、飽きる。アメリカだけじゃないだろって。
-
結構読みやすく面白い。いおきべ〜。
-
戦後から今までの日本外交の歴史をわかりやすくつづった本。こういう本は、あるようで今まで無かった、とうちのゼミの先生が言っていた。ザ、教科書。