- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641123649
作品紹介・あらすじ
比較政治学は、政治的安定や腐敗などの政治的帰結、経済成長や財政赤字などの経済的帰結に国ごとの違いを見出して、その違いがなぜ生じるのかを議論してきた。本書はとくに、政治制度と政治的・経済的帰結の関係を扱う新制度論を整理して紹介する。
感想・レビュー・書評
-
比較政治学の基礎的な教科書に位置付けられます。
それぞれのテーマに関する主要論点をコンパクトに整理してくれているので、ある論点について分析・考察する前に過去の議論をざっくりと本書で振り返っておくことができます。
政治に興味を持ち始めた初学者が本書を読めば、それぞれの政治制度を相対化する視点を持てるようになれます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2100円購入2011-06-27
-
公式・非公式の政治制度に共通の比較尺度を持ち込むことで各国の政治現象を分析する教科書。例えば「多党制の国では政情が不安定になりやすい」といった俗説に対して、北欧・中欧諸国を例に反証していく。
本書の面白さは、いかに比較可能な尺度を決定し分析するかという研究者視点によって先行研究を紹介しながら教科書を構成している点である。尺度によって結論は大きく変わり得る以上、尺度は吟味の重要な対象である。尺度の吟味を通じて、どのような比較が適当なのかも同時に学べる、比較政治学の面白さ・奥深さを味わえる一冊。 -
比較政治制度論の入門書。
-
一部再読中
-
{あらゆる政治体制は、本人ー代理人関係の連鎖として理解することができる。}
-
授業は退屈だったが、内容はけっこう面白かったりする。
-
比較政治制度論となると、大抵あるのは、それぞれの国の制度を紹介して終わることが多いが、この本はその関連性などを文字通り、比較・検討している。具体的には、定性調査・定量調査となる数字的な方法論を使い、仮説の検証をしている。
例えば、二大政党では内閣の安定性が高いのか、主要政党数と平均内閣年数を10数カ国で比較して検討している。論も大切であるが、その論を検証する方法があったことを理解することができた。
内容は、制度、選挙、執政、政党、議会、官僚制、司法、中央銀行、中央・地方関係と多岐にわたっている。一度はよんで、必要に応じて読み返したい本だと思う。 -
この手の本に★5つは、私にとっては希有なこと(たいてい涙を流すほど感動した本を★5つにしているのです)ですが、久しぶりに社会科学としての政治学(制度論)の威力を思い知った本ということで、この評価です。
民主党政権になることも含めて、かなり予言的な内容でした。かつ今後の日本の制度設計を考えるにあたって外せない論点が鋭く分析、整理されています。
あらゆる政党の今後の針路検討を含め、政治に関心のある人、そして、政治が規定する制度の壁の厚さを感じている人に、是非、オススメしたい本です。
取り上げられている制度は、選挙、執政、政党、議会、官僚制、司法、中央銀行、中央・地方関係と多岐にわたっており、後書きで述べられているように、はっきりとした答えのない現在進行形の課題ばかりですが、最低限、この本で論証されている内容については、押さえておかないと、対症療法的な思考で終わってしまうでしょう。かくいう私もこの本に出会うまでは、いかに稚拙な思考であったか・・・。
出版からまだ1年しか経っていないまさに「旬」な本です。