人事と法の対話 -- 新たな融合を目指して

  • 有斐閣
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641144521

作品紹介・あらすじ

「限定正社員」「雇用の多様化」「解雇規制緩和」「高年齢者の活用」「ブラック企業」…人を"幸せ"にする雇用のあり方とは-。新たな人材マネジメントの姿を人事管理と労働法の対話から模索する。

感想・レビュー・書評

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  • 企業で人事として働く人には是非読んでもらいたい本だ。
    人事の悩みに真摯に向き合う守島氏と、法律の専門家として対談する大内氏の言葉には多くのヒントがある。これからの人事のあり方が書かれているわけでは無い。本書を読んで、推敲することに意義がある。法律のネガティブな面を理解することも重要ではあるが、ポジティブな面をいかに運用するか。ここに解決策があると思えた。硬軟織り交ぜた施策を考えつつ、いかに労力少なく回すか。これが変化の激しい時代で生き残る人事戦略かもしれない。

  • 書名:『人事と法の対話――新たな融合を目指して』
    英題:Dialogue of HRM and Labor Law: Toward a New Synthesis
    著者:守島基博[もりしま・もとひろ] 人材マネジメント論。
    著者:大内伸哉[おおうち・しんや] 労働法。
    発売年月:2013年10月
    版型:A5判 並製 カバー付
    頁数:324
    定価:2,052円(本体 1,900円)
    ISBN:978-4-641-14452-1

    人事管理と労働法は敵対するものなのか。両者が協力して,人を幸せにする雇用のあり方を作ることはできないのか。「雇用の多様化」「解雇規制」等,話題のテーマを素材に,新たな人材マネジメントのあり方を人事管理と労働法の対話から考える。
    http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641144521

    【メモ】
    ・装幀がよい。しかし装幀者の名は載っていない。小さく書いてあるのを私が見逃しているだけねのか。

    【簡易目次】
    はしがき(平成ニ十五年八月 大内伸哉) [i-v]
    目次 [vi-x]
    session 01 人材を獲得するとき 001
    session 02 正社員と非正社員の間 029
    session 03 公正な評価と納得できる賃金 051
    session 04 人材を動かすとき 077
    session 05 人材を育成するとき 105
    session 06 ワーク・ライフ・バランス 135
    session 07 メンタルヘルスと産業医の役割 159
    session 08 退職のマネジメント 183
    session 09 高年齢者の雇用 217
    session 10 労働紛争の解決 235
    session 11 グローバル化で問われる日本の人事 261
    session 12 対談を振り返って 289
    あとがき(平成ニ十五年八月 守島基博) [303-307]
    事項索引 [i-vi]



    【抜き書き】
    □□p.156

    ―――――――――
     8 企業性善説と企業性悪説

    大内  ただ、業界によっては全然駄目なところ、あるいは反ワーク・ライフ・バランスみたいなところもあるわけです。どうしてもそういうブラック企業的な例が報道されて、それが規制強化の話につながっていくのです。法律家というのは悪いところば他のかり目についてしまい、そういう悪いところは正さなければ駄目だと思いがちです。その悪いところは、ひょっとするときわめて例外的なものかもしれないのですが、それでも悪いことが起こる以上、それは除去しなければ駄目だという発想です。

    守島  そこは人事管理とか経営は逆で、経営学の考え方は、よいところをどうやってエンカレッジしていくかという話です。逆に、悪いところは、市場や消費者が淘汰してくれる。

    大内  たぶんここは法学の議論と対立するところですね。私は、個人的には悪いところを除去するためにやる規制が、よいところまで駄目にしてしまう可能性があるので、悪いところが本質的なものなのか、例外的なものにすぎないのかの見極めが大切だと思っています。

    守島  法律というのは社会全体に当てはまらないといけないので、そういう側面がありますから、よい企業が苦労する可能性はあります。市場というのは、極端に言えば適応する者が生き残ればいいわけで、他の人たちは別に生き残らなくてもいいという話ですから、少しその部分とは違いますね。全部に当てはまるのか、一部だけでいいのか。

    大内  悪いことをやっている企業は規制の対象にするのではなく市場で淘汰されていくことになればいいのです。

    守島  もちろん、市場だけですぐに社会が変わるわけではないので、両方必要だとは思いますが、ワー ク・ライフ・バランスの議論にしてみると、悪い企業を規制するためのルールが普通の企業にとっても非常に不安だという段階に入ってきているのではないかと思います。
    ―――――――――――――

  • 人事管理と労働法が人事にまつわる諸課題に対してどのようにアプローチするのか、採用、育成、異動、退職に至るまで、非常に分かりやすく対話を重ねている本。論点整理がよくできていると思います。

  • ・準中核的正社員の流動化と中核的正社員の引き留めをどうするか
    ・優れた人事管理担当者は、働く人の幸せを考え、どうしたら人材が意欲的に企業に貢献してくれるかを考える

  • 正規と非正規という雇用期間の有無で人事制度を分けるのではなく、何を期待するのか、役割で制度を分ける必要性を感じた。また多様化する中でいかに制度で救うのか、というのは非常に重要な問題で、やはり人口構成に対して今から備えておく必要性を感じた。

  • 4〜5

  • 他流試合を積極的に試みる異色の労働法学者、大内伸哉教授と、人材マネジメント論専門の守島基博一橋大教授との対談を中心に構成した貴重な一冊。

    単純な法規制だけでは割りきれない企業の人事政策を、それぞれのアプローチから複眼的に捉えていこうとする野心策であり、企業人事、労働法にかかわる実務家はもちろん、これから就職を考える人や、会社の中で悩んでいる若手社員にもお勧めしたい。

    イオンやベネッセ、小松製作所、といった大手企業の人事担当者の生の声も貴重。

    ただ、大内教授ご自身の柔軟さゆえ、一般的な「労働法」サイドからのアプローチが分かりにくくなっているのと、最後、きれいにまとめられすぎている点には要注意だと思う。

  • 人事系(人事・給与・採用・育成など)の仕事に初めて就いて、ちょっと経ったぐらいのタイミングで読むといい本。最近の人事系の諸課題がある程度網羅されている。答えがズバリ書かれているわけではないけど、読んでおくと頭の整理ができていい。

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著者プロフィール

一橋大学教授

「2013年 『人事と法の対話 新たな融合を目指して』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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