金融論 -- 市場と経済政策の有効性

著者 :
  • 有斐閣
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641164062

作品紹介・あらすじ

経済理論を用いて、市場経済における金融の役割を明らかにする。最新の研究成果を取り入れて解説する、金融論の決定版テキスト。

感想・レビュー・書評

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  • 金融をめぐる多様な論点を、簡潔かつ分かりやすくまとめている良書。構成もとても優れていて、全体が綺麗なストーリーラインに沿って編集されている。
    ケンブリッジ方程式におけるマーシャルのkが日本において変動しており、その結果金融政策の効果が小さくなってしまった点や、財政危機が金融機関のB/S悪化を通して金融危機の引き金になる点など、理論をベースに、現実の金融政策・金融環境をどう捉えるかという論点についても、豊富な記述がなされており、大変勉強になった。

    一般の会社員を含め、金融論を学ぶ全ての人におすすめしたい本。

  • 聖ペテルスブルグのパラドックス=人々が危険回避的であることを示す。期待取得額が無限大であっても賭けに参加しない。
    金額が大きいと危険回避的になるが、少額だと危険愛好的になる。

    ノーフリーランチの原則=効率的市場仮説。

    純粋期待仮説=長期金利は短期の予想金利の平均となる。
    実際には流動性プレミアムがつくはず。

    投機は市場を安定化させるか。

    人為的低金利政策=信用割当=効率的な資金配分にならない。
    モディリアーニミラーの定理=負債と株式の比率で企業価値は変わらない。ただし、法人税がある場合、借り入れのほうが節税効果分有利。
    ベッキングオーダー理論=内部資金<銀行借入<社債<新株発行、の順で資金調達コストが大きくなる。(情報の非対称性や不完備契約によって)
    メインバンク制による情報の非対称性コストの軽減。
    ホールドアップ問題で、金利は高めに固定される。

    貸し渋り=分母問題と分子問題。
    バーゼルⅡからバーゼルⅢ。

    過剰債務問題。事業を精算した価値と継続した場合の利益。利益が大きければ負債を切り離して継続したほうがいい。

    コール市場。無担保オーバーナイト物を調整。
    信用創造機能。
    システミックリスク回避のための即時グロス決済。

    価値尺度、価値保存手段、交換手段、としての貨幣。

    アメリカは1913年までフリーバンキングだった。ホンコンは今でも。ただし金融管理局がコントロールしている。

    貨幣数量説。マーシャルのk。ケンブリッジ方程式。
    ボーモルトービンモデル。

    ハイパワード・マネーを多くすることでマネーストック(マネーサプライ)を増やす。

    テーラールール。
    ロンバート型貸出制度=公定歩合のようなもの。実際にはインターバンク市場から高い金利で資金調達している。十分に機能していない。

    ケインズ経済学の有効需要原理。45度線と交わる位置。
    均衡予算乗数=支出分を税で徴収したとしても政府支出分だけ国民所得が増える。

    ISLM分析。流動性の罠。

    ディマンドブルインフレ、コストプッシュインフレ。
    コストプッシュインフレの場合はスタグル不レーションになりやすい。

    靴のコスト=預金を引き出すコスト。インフレ時のコスト。
    メニューコスト=メニューの値段を書き換えるコスト。

    デフレは、技術革新によっても生じる。

    貨幣錯覚=インフレ時に賃金の上昇が早いためにおこる錯覚。

    合理的期待形成仮説=合理的にインフレを予測する。
    動学的不整合性=政策を実施する際は正しいことでも事後的に正しくない政策になること。堤防建設、特許など。インフレの際は、必要以上にインフレになる。インフレターゲット。

    自然利子率=最も望ましい資源配分を実現する利子率。ただしデフレの場合は、利子の非負制約によって実現できない。

    非伝統的金融政策=時間軸政策
    インフレターゲット、中央銀行の信認が大事。
    コール市場の取引低迷など副作用も。

  • ちょいムズですが、マクロ経済学や金融論の下地があれば読めます。大学一年生には無理だろうけど。

    【簡易目次】
    第1章 金融の役割 
    第2章 貯蓄と危険回避的行動
    第3章 最適な資産選択
    第4章 資産価格と資産選択
    第5章 企業の資金調達
    第6章 資金調達
    第7章 金融危機と銀行行動
    第8章 過剰債務問題と追い貸し
    第9章 短期金融市場
    第10章 貨幣の理論
    第11章 日本銀行と金融政策
    第12章 伝統的経済政策とその有効性
    第13章 インフレとデフレ
    第14章 インフレ下での経済政策
    第15章 非伝統的な金融政策

  • 網羅的な内容で一通り金融の概観をさらうのに最適な本です。
    レベルとしては学部の専門科目のセメスターで、集中講義に出たつもりで一気に読めます。むしろ1週間くらいで集中的に読んでしまった方が体系的に身に付いて良いでしょう。加えて各章ごとにfurther readingsがあり、丁寧なコメントがついているので入門教科書としてふさわしく安心して読めます。

    去年の4月に出たばかりの本なので、昨今の量的金融緩和、インフレ・ターゲットについてのフォローもされているので、基礎的な理解をそのまま応用としてのアベノミクスの位置づけを考える足がかりになるので正に今読むのに適しています。

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著者プロフィール

東京大学教授

「2023年 『マクロ経済学・入門〔第6版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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