学力・心理・家庭環境の経済分析 -- 全国小中学生の追跡調査から見えてきたもの

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制作 : 赤林 英夫  直井 道生  敷島 千鶴 
  • 有斐閣 (2016年6月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641164734

学力・心理・家庭環境の経済分析 -- 全国小中学生の追跡調査から見えてきたものの感想・レビュー・書評

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  • 経済格差が学力格差を生んでいる、と、漠然とした認識が世間にはあるが、それは本当なのか?を、追跡的に集めたデータで紐解いていく。データ収集の難しいテーマで、完全に突き詰められてはいないとの吐露があったが、内容は非常に興味深かった。
    所得と学力は、相関関係であるが因果関係はない。小学校高学年になると成績の順位が固定化する。問題行動に親の学歴や所得は影響していない。などなど、データにより明らかにされる。要望があるとすれば、、、変数が多く、また、影響が絡み合ってるので、モデル化してもらえたら、理解がしやすかった。

  • 本屋で見かけて、タイトルに惹かれたので購入読了。

    第2章で分析手法の説明がされ、第3章から第9章までが実際の分析だった。

    第3章では世帯の所得水準と両親の学歴に着目した結果、クロスセクションでみると世帯所得と学力の間には正の相関が確認された。また、
    小学校低学年より、高学年や中学生の方が、相関が大きくなる傾向があった。

    第4章では世帯のの所得水準から階層内の格差について分析している。結果としては、同一所得階層内の格差は学年が上がるにつれて拡大した。

    第3、4章では国語と算数・数学の学力テストに基づいて、子どもの認知能力を分析している

    第5章ではQOLなどのこどもの心理面のアウトカムに着目している。

    第6章では米国と日本の教育格差の所得階層間での動態について分析している。

  • パネルデータで数年間にわたって追跡調査。
    親の財力が子の教育格差に影響するのは疑えないのだが、親の学歴や有職、子の資質、きょうだい数や出生時の健康状態なども要因要えあることを示し、一概に国が教育支援を短期的に行ったところで、所得格差が解消解あれるわけではないことを結論づけている。

    統計学って数値で分かりやすいけれど、それで見えない要因もあることをきちんと断っている。勉強きらいな子、高校生なっても九九もできない子をむりやり大学に行かせてするのだ、といつも思う。

  • An Economic Analysis of Academic Ability, Non-Cognitive Ability,and Family Background: Primary Findings from a Panel Survey of Japanese School-Age Children

    【内容紹介】
    2016年06月発売
    A5判並製カバー付, 274ページ
    定価 3,348円(本体 3,100円)
    ISBN 978-4-641-16473-4

     いま,所得格差の拡大や子どもの貧困,教育機会の不平等を通じた世代間の格差の固定化への懸念が広がっている。子どもの「学び」や「こころ」に影響を与えているものは何か? 追跡調査から得た豊富なデータを駆使して,その実態解明に挑む。
    http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641164734

    ・ウェブ付録。
     有斐閣書籍編集第2部 2016年3月14日 (月)
     付加データ:『学力・心理・家庭環境の経済分析』
    http://yuhikaku-nibu.txt-nifty.com/blog/2016/03/post-0bab.html


    【目次】
    第1章 経済格差の再生産と教育の役割──子どもと家庭の追跡調査はなぜ必要なのか?
    第2章 日本子どもパネル調査(JCPS)の方法──追跡調査はどのようにして行われるのか?
    第3章 親の経済力と子どもの学力──家庭環境は学力形成にどのような影響を与えるか?
    第4章 学力の所得階層内格差──経済要因は学力の個人差にどのような影響を与えるか?
    第5章 親の社会経済的背景と子どもの問題行動・QOL──家庭環境は非認知能力の形成にどのような影響を与えるか?
    第6章 米国のデータを用いた比較分析──世帯所得と学力・心理の関連は日米で異なるか?
    第7章 子どもの発達と出生時の健康──出生時体重は教育達成にどのような影響を与えるか?
    第8章 教育投資と経済格差──家庭環境は教育費支出にどのような影響を与えるか?
    第9章 親の学校参加と子どもの学力──ソーシャル・キャピタルは学力形成にどのような影響を与えるか?
    補論 回帰分析とパネルデータの基礎

  • 各章の ”overview” と ”おわりに” だけ読めば内容学力分かる。
    長年のデータ解析からおどろきの事実が分かる。

    親の所得は教育に影響するのか
    日本経済新聞 朝刊 読書 (19ページ)
    2016/8/14 3:30
     本書は、親の所得が子どもの学力水準に与える影響を分析した学術書である。両者にマイナスの因果関係があるなら、親の所得の低さが子どもの将来の所得にも悪影響を与え、経済格差が世代間で固定あるいは拡大してしまうという深刻な問題を社会に生じさせる。


     従来の日本の研究では、ある一時点のデータを使い、両者にマイナスの関係があることを示してきたものの、所得以外の家庭環境やその他の要因からの影響を十分考慮しておらず、因果関係までを検討する段階に至っていない。所得がどのようなメカニズムを通じて学力水準に影響を与えるのかも検討されてこなかった。

     研究が停滞してきた一因は、政府が分析に必要なデータを整備してこなかったことにある。因果関係やメカニズムの分析には、家庭環境に関する詳細なデータに加え、子どもの生来の能力などの特性も考慮する必要がある。個人レベルでの複数時点のパネルデータの構築が不可欠である。

     編著者たちによる研究グループは、資金、労力ともに多大な負担が生じる「同一の子どもを一定期間にわたって追跡調査し、異なる時点における家庭の状態と、子どもの学力(認知能力)や心理(非認知能力)などの計測」を全国の小学1年生から中学3年生を対象に実施した。

     本書は、日本で初めて収集された画期的な調査であるパネルデータを使い、子どもの学力や心理に与える親の所得水準や子どもへの関与の度合いを様々な角度から検証した厳密な実証分析の結果を紹介している。

     一般読者に配慮し、実証分析の手法などに関する簡潔な解説を随所に加えている。家庭環境が子どもの学力などに与える影響に関し、9つの章で様々な興味深い結果を報告している。

     従来の結果と大きく異なる発見の一つが、親の所得が必ずしも子どもの学力などに影響を与えない可能性を指摘したことである。一方、親の教育投資や学校参加が、子どもの学力を規定する重要な要因であることを指摘している。

     この分析を嚆矢(こうし)として、親の所得、親の子どもの教育への関与の度合い・タイミング、学校の選択と学校の教育の質が子どもの学力などに与える影響についての分析といったより総合的かつダイナミックな研究に発展させることが望まれる。

     本書で展開されている研究手法が広く活用され、教育政策に関する研究がさらに深まることを期待したい。

    (有斐閣・3100円)

    ▼赤林氏はシカゴ大博士課程修了。現在は慶応大教授。直井氏は慶応大博士課程単位取得退学。現在は同大准教授。敷島氏は慶応大博士課程単位取得退学。現在は帝京大教授。執筆者は合わせて8人。

    《評》学習院大学教授 乾 友彦

  • 安田先生オススメされた。
    赤林先生のシノドスの論考は見たことある。

    横断的なクロスセクションデータでは世帯所得と学力は相関が見られるのですが、パネルデータからの2観測点の固定効果モデルでは有意差が消失するようで、何らかの観測されない要因が両者に影響を与える事が想定されている。
    また、後半の節で、世帯内蔵書数、専用の学習机の有無、親のPTA・学校行事の参加が集団内での学力格差を小さく(分散を小さく)する事が示唆されている。
    但し、まだ二点間のデータ観測しかできておらず、結論や示唆、想定には留保がある。

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