- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641220010
作品紹介・あらすじ
ソクラテスからサンデルまでの政治思想の流れをコンパクトに描き出す。政治的真理を追究してきた思想家たちの歩みをたどり現代社会における政治のあり方を考える。古代ギリシアにおけるデモクラシーの誕生から20世紀までの政治思想の流れを平易に説明したテキスト。政治的人文主義や共和主義といった、近年活発に議論されている考え方を盛り込み、グローバル・ヒストリーの時代にふさわしい政治思想史を構想する。
感想・レビュー・書評
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政治思想とは、国家と社会と人の関係をどうとらえるか、ということと漠然と考えている程度でおりましたが、本書では「自由」や「デモクラシー」または「共和制」といういくつかのキーワードを軸に、それが歴史の流れの中でどのように実現または変遷していくのかを、簡潔ながらも要所を抑えて概説しています。大きな流れを把握する良書だと思います。
古代ギリシアから説き起こし、ローマ-中世-ルネサンス期の政治とキリスト教の関係、17世紀以降の欧州の政治思想と革命、そして近代から現代へ。欧州の歴史を中心に語られることが多い政治思想ですが、現代ではその史観が見直されていることにも触れられています。
情報社会が爛熟していく中で、国家の枠組みを超えた巨大情報産業(GAFAなど)が出現し、政治にも大きな影響がでています。今後は政治思想も、国境を越えて均質化していくのでしょうか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
政治の議論が止むことのない中,古代から現代までの歴史を知っておくために本書は有用である。教科書として十分に使える以上に文章が良い。
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政治がどのように生まれて発展してきたか理解できるようになる。
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西洋政治思想の入門テキスト。範囲は、古代ギリシアから19世紀まで。著者の書籍には以前にも目を通したことがあるが、読ませる文章を書く技術には頭が下がる。ただ、後半になるにつれて、やや難しくなっていく印象は否めなかった。古代ギリシアと古代ローマのページは目から鱗。古代ギリシアの「デモクラシー」の内実、ギリシアとローマの違いなどが印象的だった。特に、現代アメリカが、古代ローマの政治を制度面で参照した点は興味深かった。
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ものすごく教科書的な教科書だった。ただこういう教科書は単著だとどうしても偏ってないか不安になってしまう。まあ政治思想史は優れたテキストがたくさんあって本当に勉強しやすそうという印象。
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宇野重規『西洋政治思想史』有斐閣 読了。平易でコンパクトだが意外と侮れない。その時代の社会的な問題に対して画期的な政治思想が登場し、それがパラダイムシフトへ導いていることがわかる。どんな政治思想も現実社会をいかによくするか実践的な問題意識のうえに誕生していることを改めて認識する。
2014/05/17 -
Basicなので、レベルはそんなに高くない。中堅以下大学の法学部での入門書レベルなんだろう。それでも一通りマスターすれば、それなりの知識は身につくと思う。全体的に歴史叙述に偏りがあり、思想内容への踏み込みが足りないように思えるが。
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本書は古代ギリシャから現代に至るまでの西洋政治思想をまとめたものである。政治思想というものは、様々な歴史的文脈の上で成り立つものだなと、本書を読んで再認識した。また、それらの政治思想が、政治のみならず個人にとっても知恵が役立つものだなと思った。
本書は網羅的にコンパクトにまとめられているが、反面、紙面の関係だと思うが端的に書かれすぎているところがあり、歴史的事実の裏にあった論理構造が読み取れず満足できない部分が所々あった。しかしながら、まずはこのような網羅的な一冊から入ることは重要かもしれず、そのあとで興味のある分野について深入りしていけば良いのだと思う。 -
【版元】
A History of Western Political Thought
2013年10月発売
四六判並製カバー付, 252ページ
定価 1,836円(本体 1,700円)
ISBN 978-4-641-22001-0
古代ギリシアにおけるデモクラシーの誕生以来の政治思想の流れを平易に説明したテキスト。政治的人文主義や共和主義といった,近年活発に議論されている考え方を盛り込み,グローバル・ヒストリーの時代にふさわしい新しい政治思想史を構想する。
<http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641220010>
【目次】
はじめに
政治思想史に意味があるのか/「自由」の発展としての歴史?/「グローバル・ヒストリー」時代の政治思想史・「政治的人文主義」と「共和主義」/ヨーロッパの「地域性」/政治哲学との架橋
第1章 古代ギリシアの政治思想
1 古代ギリシアにおける政治と哲学
ポリスの誕生/デモクラシーの成立/自由・正義・法/デモクラシーと哲学
2 プラトン
法は絶対か/ソクラテスの登場/『ゴルギアス』と『国家』/イデアと哲人王
3 アリストテレス
形而上学/学問の体系/ポリス世界と『政治学』/政体論
第2章 ローマの政治思想
1 ヘレニズムとローマ
ポリス世界の黄昏/共和政ローマの発展/ポリュビオスの混合政体論/ギリシアとローマの違い
2 帝政ローマの政治思想
帝政への移行/キケロ/タキトゥス/セネカ
3キリスト教の誕生
ユダヤ教という起源/イエス・キリストの出現/パウロ/初期キリスト教徒の共同体
4 アウグスティヌス
論争の生涯/神の国と地の国/自由意志と悪/キリスト教における時間
第3章 中世ヨーロッパの政治思想
1 ヨーロッパ世界の成立
古代-中世-近代?/カロリング・ルネサンス/封建社会と法/両剣論
2 12世紀ルネサンスとスコラ哲学
12世紀ルネサンス/シャルトル学派とソールズベリのジョン/スコラ哲学/トマス・アクィナス
3 普遍戦争と中世世界の解体
普遍論争/普遍的共同体の解体/王権の発展と団体・代表理論/ダンテとパドヴァのマルシリウス
第4章 ルネサンスと宗教改革
1 マキアヴェリ
イタリア都市国家の発展/マキアヴェリとその時代/『君主論』/『リウィウス論』
2 宗教改革
宗教改革とは/ルター/カルヴァン/宗教改革の帰結
3 宗教内乱期の政治思想
迫害、寛容、抵抗権/モナルコマキの諸相/ポリティーク派の寛容論/ボダン
第5章 17世紀イングランドの政治思想
1 イングランド内乱
イングランド内乱の展開/レヴェラーズ/ミルトン/自由な国家
2 ホッブズ
新しい政治学/自然状態と自然法/国家の成立/宗教論と主権の限界
3 ハリントン
「古代の知恵」/軍隊と土地所有/『オセアナ共和国』の制度構想/ネオ・ハリントニアン
4 ロック
自然法と人間の認識能力/自然状態/政治社会/宗教論
第6章 18世紀の政治思想
1 モンテスキュー
絶対王政への知的抵抗/共和政、君主政、専制政/イングランドの発見者/商業社会
2 啓蒙思想
新たな知の拠点とネットワーク/啓蒙とは何か/道徳哲学/啓蒙と政治権力
3 スコットランド啓蒙
合邦と社会変動/カントリ派とコート派/道徳哲学と文明社会論/ヒューム
第7章 米仏二つの革命
1 ルソー
『学問芸術論』/『人間不平等起原論』/『社会契約論』/残された問い
2 アメリカ独立と『ザ・フェデラリスト』
アメリカ独立革命/トマス・ペイン/ジャファソン/『ザ・フェデラリスト』
3 フランス革命とバーク
フランス革命の衝撃/『現代の不満の原因』/議会・政党論/『フランス革命の省察』
第8章 19世紀の政治思想
1 ヘーゲル
フランス革命批判/外面的国家批判/市民社会/行政、職業団体、国家
2 トクヴィルとミル
フランス革命と自由主義の誕生/トクヴィル/デモクラシー社会の危険性/J.S. ミル
3 社会主義とマルクス
社会問題と社会主義/サン・シモンとフーリエ/オーウェンとプルードン/マルクス
結章 20世紀の政治思想
デモクラシーの世紀/政治とは何か/自由主義の転換/政治思想の現在
あとがき (2013年晩夏 宇野重規)
読書案内
引用・参考文献
事項索引
人名・書名索引
◆図表
表1-1 アリストテレスの六政体論
◆key person
1 ソクラテス/2 プラトン/3 アリストテレス/4 リウィウス/5 キケロ/6 パウロ/7 アウグスティヌス/8 ボエティウス/9 トマス・アクィナス/10 ダンテ/11 マキアヴェリ/12 ルター/13 ボダン/14 ミルトン/15 ホッブズ/16 ハリントン/17 ロック/18 モンテスキュー/19 ヴォルテール/20 ヒューム/21 ルソー/22 ハミルトン/23 バーク/24 ヘーゲル/25 トクヴィル/26 マルクス
◆keyword
1 政治/2 国家(republic)/3 デモクラシー/4 帝国/5 共和政(republic)/6 平等/7 自由意思/8 法の支配/9 共通善/10 代表制/11 国家(state)/12 政教分離/13 主権/14 寛容/15 安全/16 共和主義/17 所有権/18 権力分立/19 進歩/20 利益/21 社会契約/22 多元主義/23 保守主義/24 市民社会/25 自由主義/26 社会主義 -
政治思想史の多くの本は、ギリシア・ローマ時代からの思想家の思想を紹介するだけで終わってしまうことが多いと思う。
本書が、類書と異なるのは、ギリシャ・ローマ時代の思想を紹介しつつ、キリスト教の誕生とともに、アウグスティヌスが神が選択の自由を人間に与え、悪を選んでしまう人間の自由意志の存在を明確にすることにより、ギリシア・ローマからの思想とキリスト教の思想を並列にすることができたことだと思う。
西洋思想史は19世紀の思想家までの流れがわかるように解説しているのがよいと思った。