国民軍の神話―兵士になるということ (ニューヒストリー近代日本)

  • 17人登録
  • 3.20評価
    • (0)
    • (1)
    • (4)
    • (0)
    • (0)
  • 2レビュー
著者 : 原田敬一
  • 吉川弘文館 (2001年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642037037

国民軍の神話―兵士になるということ (ニューヒストリー近代日本)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • この本は、「戦争」ではなく「軍隊」を取り上げた本である。近代国家が国民を形成する装置は「学校」と「軍隊」である。共通項は「教育」である。「教育」の場である学校と軍隊は、ほぼ同一年齢の人々が多数集められる。そこでは、国家ににとって有能な教育が施された。この二つはイコンの裏表の関係であった。
    現代の日本は「軍隊」を持たないのでイコンは表を向いたままであるが、国家は常に裏をも使用する用意はしている。

  • 史料の読み方がナイーブすぎる、というのが印象。加えて、明治初期から日中戦争のころまでの徴兵制度の変化などにも触れているものの、基本的には、各時期に人びとが徴兵制度に対して示した否定的/肯定的な反応を、近代教育の普及の程度や、国民意識の浸透度合いなどのコンテクストを考慮することなく分析しようとする傾向もあって、そこもちょっと気になった…。

    ともあれ、とくに本書の前半部で提示される個人間・地域間の競争関係の構図は興味深いものではあった。近世以来、徐々に出来上がってきた「想像の共同体」を前提として、明治維新後の政府が教育・徴兵制度などの諸制度を通じて個人間・地域間の競争をあおり、他方国民の側でもその競争の場に経済的見返りや地域社会内における威信のような象徴的見返りを賭金として見出して、半ば強制・半ば自発的に参加をしていく。

    その「国民化のゲーム」とでも言うべき全般的状況下で、軍隊内の個人の栄誉がイコール地域内での個人の栄誉(同郷人との差異化)となったり、軍隊内での個別地域出身者の栄誉がイコール国内における地域の栄誉(他地域との差異化)となったりする。そうして全体としてはいよいよ熱心に政府が提示した基準に適合した「国民」として自分自身を洗練させていく。

    もちろん、そういう光景を半ば醒めた目で見ながら、学業や文化生産における成功、官僚秩序内での成功という自身の目論見を妨害する徴兵制の網の目から何とかして逃れようと格闘する人びともそこには存在する……。

    そういった当時の様相を示してくれたことで、本書は、「20世紀前半の『日本』において青年たちがどのような可能態の世界を眼前にしていたか」を想像するための助けになった。

全2件中 1 - 2件を表示

原田敬一の作品

国民軍の神話―兵士になるということ (ニューヒストリー近代日本)を本棚に登録しているひと

国民軍の神話―兵士になるということ (ニューヒストリー近代日本)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

国民軍の神話―兵士になるということ (ニューヒストリー近代日本)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

国民軍の神話―兵士になるということ (ニューヒストリー近代日本)を本棚に「積読」で登録しているひと

国民軍の神話―兵士になるということ (ニューヒストリー近代日本)の作品紹介

村や町で生活する名もなき庶民は、いかにして兵士となっていくのか。規律と健康の強制、昇進を求めての競争。その果てに、ある者は無事除隊して故郷に迎えられ、ある者は戦場の露と消えて国家によって慰霊されていく。若者が軍隊生活によって、その身体に刻印していったものとは何なのか。兵士たちのライフサイクルから、国民軍の幻想性を描き出す。

国民軍の神話―兵士になるということ (ニューヒストリー近代日本)はこんな本です

ツイートする