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- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642050333
感想・レビュー・書評
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重要な歴史上の人物でありながらあまり知られてこなかった人。江戸時代以来、逆臣、不忠、陰謀の人と不人気だったことは間違いない。そして、歴史上は「吾妻鏡」を中心にわずかに「増鏡」などの歴史書に書かれているのみ。その真実の姿に客観的に迫っていこうという学問的な本。1961年の著である。若い日には平家追討軍に源範頼の軍に入り、奥州藤原氏攻めは源頼朝の軍に入ったものの目立った活躍は無かったという。それはむしろ目立たなくとも「政治能力」が優れていた、そのことに対する頼朝の信頼は極めて大きかったのではと著者は推測する。そして天皇家の権威に正面から逆らった義時の心理の内を様々に推測する中で、実直な面白みのなかった人物だっただろうと結論付けている。この人が本当の意味で武家政治を確立した歴史的な人物だっただろうことを改めて感じ入った次第。優秀な子どもたちにも恵まれ、幸福な晩年だっただろうとの最終章も面白かった。
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