柳田国男: その生涯と思想 (歴史文化ライブラリー 19)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642054195

作品紹介・あらすじ

柳田学とは何か。混迷する現代へのメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • 柳田國男の生涯と思想をわかりやすく解説している本です。

    近代とは、日本人がこれまで伝えてきた伝統的な生活文化全体が崩壊し、しかもそれらに代わるあたらしい生活文化が形成されていない状況のなかで、人びとの生活にさまざまな問題が生じた時代です。そのことは、農業問題や勤労者の置かれていた劣悪な社会的地位の問題となって柳田の前に現われ、彼は主として農業政策上の関心から農村の実態把握と民間信仰の研究に取り組むことになります。

    このことをたしかめたうえで著者は、柳田民俗学がこうした問題意識をより包括的な視野に立って考察するものとしてとらえようとしています。すなわち、人びとの世界観や人生観、倫理意識、集団内部および集団相互の関係、自然と人間との関係、そして生産と消費のありかたなどを含む日本人の生活文化全体をトータルに捉えなおし、そこから時代の直面する問題の解決を図ろうとするものだったのです。

    こうして著者は、柳田が農政学に挫折して民俗学に向かったのではなく、農業改革論、地域改革論の基本的な観点を堅持しつつ、より広い視野に立つことになったと主張します。またこのような理解に基づいて、柳田民俗学と彼の国民国家構想とのつながりを捉えようとしています。著者はとくに柳田の氏神信仰の研究をていねいに紹介して、そこから彼が日本人の倫理意識の形成と課題についてどのような見解をみちびいたのかということを明らかにしています。

  • 近代の天皇制の形成過程を国家神道や氏神信仰の視点から読み解こうとした、柳田国男の思想を簡単に記した。

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著者プロフィール

1947年生まれ。名古屋大学大学院法学研究科博士課程単位取得。現在、日本福祉大学教授、名古屋大学名誉教授。法学博士。専門は政治外交史、政治思想史。『原敬 転換期の構造』(未来社)、『浜口雄幸』(ミネルヴァ書房)、『浜口雄幸と永田鉄山』、『満州事変と政党政治』(ともに講談社選書メチエ)、『昭和陸軍全史1~3』(講談社現代新書)、『石原莞爾の世界戦略構想』(祥伝社新書)など著書多数。

「2017年 『永田鉄山軍事戦略論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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