「聖徳太子」の誕生 (歴史文化ライブラリー)

  • 29人登録
  • 3.29評価
    • (1)
    • (1)
    • (4)
    • (1)
    • (0)
  • 1レビュー
著者 : 大山誠一
  • 吉川弘文館 (1999年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642054652

「聖徳太子」の誕生 (歴史文化ライブラリー)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 最近のメディアでは、よく「聖徳太子はいなかった」論が取り上げられる。本書は、その最先鋒にして、学問的な標準を満たしつつ分かりやすく書かれた一冊である。

    筆者は、聖徳太子の実在を証明するとされる史料(『日本書紀』や法隆寺系史料)を検討し、その語句の使用法などから、どれも後世に「捏造」されたものだと結論付ける。そして、この「捏造」が行われた背景には、藤原不比等と長屋王の共通する思惑(「天皇制の中に中国的聖天子像を取り入れる」)と両者の対立する思惑(皇位継承をめぐる権力闘争)があったと指摘する。

    この聖徳太子「捏造」説については、既に多くの異論・反論が出ており、必ずしも学会の定説にはなっていない。しかし、本書は「権力者が歴史を編纂する意味」を考えされてくれる一冊である。権力者が歴史を編纂する際、そこには自身の立場や政策を正当化しようとする作為(時には捏造や改竄)が少なからず組み込まれる。歴史を記述するにあたり、こうした権力者の思惑をいかに排除し、その実像に迫れるか・・・それこそが、歴史学者の腕の見せ所と言えよう。

    ※追記
    本書の記述については、私自身も疑問に思うところはある。聖徳太子に関する史料には、多くの作為があったことは確かである。しかし、それを以って「捏造」と結論付けるのは、やや早計の感が否めない。そのような all or nothing の議論ではなく、そうした“作為”を除いた史料には、何が残るのかを検討する必要があるだろう。そうした意味でも、聖徳太子については、さらなる研究・議論が必要である。

全1件中 1 - 1件を表示

大山誠一の作品

「聖徳太子」の誕生 (歴史文化ライブラリー)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

「聖徳太子」の誕生 (歴史文化ライブラリー)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

「聖徳太子」の誕生 (歴史文化ライブラリー)を本棚に「積読」で登録しているひと

「聖徳太子」の誕生 (歴史文化ライブラリー)の作品紹介

日本史上の偉人=聖徳太子。しかし、残された史料に厩戸王は実在するが、聖人としての太子は謎のベールに包まれている。太子のイメージはどのように成立したのか、奈良朝の政治地図の中に位置づけた革命的聖徳太子論。

「聖徳太子」の誕生 (歴史文化ライブラリー)はこんな本です

ツイートする