- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642056120
作品紹介・あらすじ
軍事をタブー視した戦後政治のなかで、自衛隊はどのように成長したのか。官僚による統制と財政的制約を受けてきた歴史を探り、日米関係や防衛政策の内実を解明。新たな脅威のもと、転換点に立つ自衛隊の実態に迫る。
感想・レビュー・書評
-
自衛隊と日米安保条約との関係史など。
以下、本書より。
【シビリアン・コントロールの真の意味】
政治が防衛問題と関わるのを避けてきた事が文官統制の大きな要因。
つまり、自衛隊・防衛庁創設以来の歴史を見れば明らかなように、政治が本来の責任を果たしていない為に、文官が防衛問題を過度なまでに統制してきた。
過度の文官統制や財政の論理での制約について批判的に述べてきたが、それは制服組の要求をそのまま受け入れればいいという事ではない。
文官の意見を聞き、制服組の要求を理解した上で、将来の安全保障に関する高度な政治的判断のもとに、納税者の視点に立ち、自衛隊の装備調達に眼を光らせ、(陸海空の)統合の強化や効率的部隊運用を促し、現代の状況に適合した部隊へと変化させるべく問題点を指摘するのは、財務省ではなく国家・国民の安全保障に責任を持つ政治家の仕事。
その点が、最近の憲法改正の問題とも関係してくる。
つまり自衛隊は軍隊になるのかという問題。
自衛隊任務の拡大という状況の中で、例えばPKOで国際的な場で活動するのに現行の「軍隊ではない組織」という位置付けでは問題があるのも事実。
90年代の自衛隊任務の拡大は政治の判断で行われてきた。
その為にこれからは積極的シビリアン・コントロールに変化していく転換点に自衛隊が立たされている。
そして積極的なシビリアン・コントロールを行うという事は、政治家の責任が問われるという事。
積極的シビリアン・コントロールの下で、自衛隊に明確な地位と権限を与え、更なる活動を期待するのであれば、それは即ち日本の民主主義の質が問われるという事を、国民が確りと自覚しなければならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示