米軍基地の歴史―世界ネットワークの形成と展開 (歴史文化ライブラリー)

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著者 : 林博史
  • 吉川弘文館 (2011年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642057363

米軍基地の歴史―世界ネットワークの形成と展開 (歴史文化ライブラリー)の感想・レビュー・書評

  •  19世紀末以降、現在に至るアメリカ軍の軍事基地の世界展開史。アメリカ政府・軍の未刊行文書を中心とする多数の史資料から、米軍基地がいかに拡大し、世界規模のネットワークを形成したかを、国際関係の変容や基地受入国・地域との緊張を軸に明らかにしている。特に沖縄や日本本土の米軍基地の歴史的変遷を局地的ではなく、世界史的・巨視的視野から実証的に位置づけ、他の米軍受入国との共通点と相違点が明確に示されている。米軍基地に起因する性売買・性暴力に1章を割いているのも特筆に値する。米軍の世界展開の背景に依然として植民地主義が抜きがたく存在し、他方、在地の基地反対運動や政権の交代が米軍の展開を強く制約していることがよくわかる。

  • メモ

    ☆米軍の方針
    抵抗が少なければ、住民の人権よりも自らの軍事目的を優先

    ☆日本の利用
    ナイキ(核非核両用兵器)→日本人に核を受け入れさせる上で「理想的な道具」

    核兵器貯蔵容認へ向けて→核エネルギーの平和利用、原潜の日本寄港(慣らし)

    ☆琉球政府時代
    米軍によって容認される範囲内での限定的な自治組織
    →裁判所があっても米兵犯罪は裁けない

    53年、土地収用令
    収容告知後30日以内に所有者が譲渡の諾否を判断しない場合、米軍が強制的に土地を収用できる
    →銃剣やブルドーザーの使用(家も潰す)、農耕をやめさせるためにガソリンをまいて農地を焼き払う、深夜の襲撃、立ち入り禁止区域に入った農民の逮捕や懲役刑

    ※沖縄の反発
    →四原則(一括払い反対•適正補償•損害賠償•新規接収反対)

    54年、軍用地料一括払い計画(定額の借地料16.6年分を一括で支払うことで永代借地権を設定)、プライス勧告(土地収用の正当化と今後の土地接収の容認)
    地代→当時のコーラやタバコ代より安い

    58年末、一括払い廃止の合意

    59年2月「賃借権の取得について」
    地代は毎年支払い、五年毎に評価更新、地代の引き上げ(6倍)
    ※強制的な土地接収と無期限使用は変わらず

    日本復帰→米軍基地から解放される手段として主張
    しかしかえって米軍基地を増やすことに(本土のもの、海外基地縮小のしわ寄せが沖縄に

    普天間基地の海外や県外移転を日本政府が阻止

    沖縄は日米両政府から半植民地的な扱いを受け続けており、しかもそれを支えているのが日本本土の国民
    (P131)


    東アジアの民衆が分断され、米軍のみが東アジアに軍事的ネットワークを持っている状況では矛盾は押し付けやすいところに押し付けられる

    ☆戦争責任と基地
    吉田茂
    在日朝鮮人の「多くは共産主義者並びにそのシンパ」→朝鮮半島への追い返し、講話会議出席反対→独立回復後、旧植民地の住民の日本国籍の一斉剥奪

    戦犯解放運動
    戦犯は「等しく国家のため戦争に従事し、戦敗という現実によって生じた一種の犠牲者」
    加害行為に目を背け、戦犯を戦争犠牲者と見る見方が社会に蔓延

    各国(共産圏)戦犯釈放の動きと共に、釈放しないアメリカとの協力関係に疑いを匂わせた岸信介内閣→岸信介内閣支援の一環としての戦犯釈放

    東アジア諸国
    韓国
    米軍政下では対日協力者を利用。
    李承晩→それに依拠して政権維持

    朴正熙→陸軍士官学校の後、満州で抗日運動鎮圧
    民衆の不満のはけ口として日本の植民地支配の批判を許可したものの、対日協力者への批判は許されず、植民地支配による被害者たちの声を圧殺(故に90年代まで慰安婦被害者をはじめとする被害者たちは声を上げれなかった)
    朴正熙政権との国交樹立と支持
    →日本の植民地責任の封じ込めを意図

    台湾
    中国との対立に着目し、支持
    日米の支援を得て生き残りを図ろうとする国民政府が対日賠償放棄→中国への戦争責任について考える機会を逸する

    70年代の日独
    ドイツ
    東方外交のようにソ連や東欧諸国への積極的外交、ナチスドイツの罪を認め謝罪と責任の明確化による緊張緩和→その積み重ねが欧州冷戦構造の解体に繋がる

    日本
    冷戦構造を利用しながら、戦争責任や植民地責任から逃れようとし続けた→日本の民主化と軍事負担の軽減と経済安定の重視が周辺諸国や地域での軍事化、民主化の抑圧につながる


    ☆基地と性売買
    沖縄
    慰安婦+生きていくための売春
    (一定の制限はあるものの黙認)
    韓国
    朝鮮戦争後、政府による国連軍や韓国軍向けの慰安所

    基地周辺でのセックス産業拡大
    米兵→自国民や観光客向け

    性犯罪についての意識の鈍化?

    ☆刑事裁判権
    日米地位協定
    裁判権競合の際
    「もっぱら合衆国の財産もしくは安全のみに対する罪又はもっぱら合衆国軍隊の他の構成員もしくは軍属もし... 続きを読む

  • 和図書 395/H48
    資料ID 2012100450

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米軍基地の歴史―世界ネットワークの形成と展開 (歴史文化ライブラリー)の作品紹介

米軍基地ネットワークはいかに形成されたか。第二次世界大戦を経て核兵器の時代を迎える中、米国本土への直接攻撃を回避するため巨大な基地群が築かれる。普天間の形成過程も明らかにした、基地を考えるための一冊。

米軍基地の歴史―世界ネットワークの形成と展開 (歴史文化ライブラリー)はこんな本です

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