平安京の災害史―都市の危機と再生 (歴史文化ライブラリー)

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著者 : 北村優季
  • 吉川弘文館 (2012年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642057455

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平安京の災害史―都市の危機と再生 (歴史文化ライブラリー)の感想・レビュー・書評

  • 古代の災害、特に都市平安京の災害記事を紹介した本である。古代の災害について史料的制約もあり、推測に頼らざるを得ない箇所も多々あるが、本書は古代都市の災害を鮮明に描いているという意味で評価できる。

    古代の災害には「裳瘡」や「豌豆瘡」と呼ばれる疱瘡、鴨川の洪水、「なゐ」(地震)や「大風」(台風など)による被害、火災などが紹介されている。

    これら災害の被害が都市平安京で拡大した一因として、都市空間や生活環境の変化が考えられている。
    例えば、10~11世紀にかけての気候変動、いわゆる「平安海進」がある。比較的気候が温暖だったこの時期に、人口の増加したことで、11世紀の「養和の飢饉」のような大規模災害を引き起こしたと考えられている。

    また、10世紀に入ると律令制下で行われていた造籍や班田収受も行われなくなり、地方では国司や郡司から自立化した存在の「富裕層」が現れてくる(この「富裕層」が権門勢家と結びついていく)。この地方での状態は、従来の郡司を中心とする共同体が崩壊している様を表すとされ、この頃に消滅した村も多いという。この際、村か都市へと流出した者もいた。
    要するに、気候変動や国内制度の変容という諸条件が重なり、平安京への人口集中という現象が起きた。

    平安京では、周知のように10世紀半ばには右京の衰退、左京の人口集中という現象も起きてくる。さらに土地利用として、「河原」の利用も進み洪水被害を受けるようになる。また、平安京の「町」の区画も12世紀に変容し、大路の狭小化が起きてくる。これによって火災被害の規模も拡大したそうだ。

    本書から分かるように、災害被害の拡大には意図的か否かに関わらず、人災の要素がある。気候変動や制度の変容など致し方ない部分もあるが、人口集中や危険な場所への都市空間の拡大などが災害被害の拡大につながることが分かる。

    この本が人の営みと災害の関係について見つめる良い機会になればと思う。

  • (2013.04.24読了)(2013.04.18借入)
    【東日本大震災関連・その120】
    この本の対象としている時代は、794年の平安遷都から1212年『方丈記』が書かれたころまで、というところです。
    昨年、「平清盛」の関連で、「方丈記」を読んだのですが、その頃、図書館でこの本を目にして、やっと借りてきました。
    平安時代の庶民の家がどんな感じなのかは、史料がないようです。現代に伝わっている史料は、ほとんどが、公卿が書いたものということによるのでしょう。
    災害については、日記、国史、等を拾い集めると、ある程度のことはわかるようです。注意してみていけば、歴史が、いろんな視点からまとめられてきているようなので、今後とも、図書館の本棚に注意していこうと思います。
    この本では、平安京の飢饉、洪水、疫病、地震、火災、についてまとめたものです。
    800年から1200年頃の京都がどのようなものであったのか、意外な視点から見ることができたので、面白く読めました。

    【目次】
    災害から見た平安京―プロローグ
    飢饉の惨状
    洪水とその対策
    地震の発生とその対応
    火災発生の状況と背景
    くり返す災害と変わりゆく平安京―エピローグ
    あとがき

    ●鴨川(54頁)
    鴨川が現在のように、両側に堤防が築かれ、川幅が一定になったのは、寛文十年(1670)に完成した「寛文新堤」以降のことと考えられている。河道の内部については、近代に至るまで、鴨川には複数の流路が網の目のような経路を形成しており、中州などがあちこちにみられた。今日のように河流が一本になったのが、戦後1947年(昭和22)の改修工事においてであった
    ●疫病(75頁)
    京で疫病が発生する場合、その原因は外部からもたらされるのが一般的であった。その最初の例が天平七年(735)から天平九年にかけて流行した疱瘡(天然痘)である。
    ●疫病への対処(104頁)
    平安京の内部では「鬼神」「疫鬼」が歩き回り、「鬼神遊行」というべき事態が出現していた。人びとはそれとの接触を避けるため、物忌の場合と同じように、家の中に籠らなければならなかったのである。
    ●なゐ(121頁)
    「地震」のことを古語では「ない(ゐ)」といい、動詞として「ないふる(震る)」という用例も頻出する。もともと「ない(ゐ)」は大地のことで、地震とは大地が〈揺れる〉または〈震える〉という意味の言葉であり、さらに動詞が省略されて、「ない」だけがそのまま「地震」を示すこともあったのである。

    「方丈記」「今昔物語集」「宇治拾遺物語」「沙石集」「源平盛衰記」「源氏物語」「枕草子」「平家物語」「御堂関白記」「続日本後紀」「続日本紀」「日本書紀」「大鏡」

    ☆関連図書(既読)
    「方丈記」鴨長明著・武田友宏編、角川ソフィア文庫、2007.06.25
    「鴨長明『方丈記』」小林一彦著、NHK出版、2012.10.01
    「方丈記私記」堀田善衛著、ちくま文庫、1988.09.27
    (2013年4月25日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    華やかなイメージの一方で、天災や疫病などがくり返された平安京。時に猛威をふるう自然環境を人びとはどのように捉え、災害にいかに向きあってきたのか。平安時代四〇〇年の歴史を、都市・社会問題の視点から再検証。

  • 難しかったけど、面白かったです。

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華やかなイメージの一方で、天災や疫病などがくり返された平安京。時に猛威をふるう自然環境を人びとはどのように捉え、災害にいかに向きあってきたのか。平安時代四〇〇年の歴史を、都市・社会問題の視点から再検証。

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