摂関政治と菅原道真 (敗者の日本史 3)

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642064491

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  • 吉川弘文館「敗者の日本史」シリーズの第3巻。まず巻頭にカラー口絵。『菅家文草』(カラー写真で初めて見た!赤黒の2色なんだ!)、太宰府天満宮本殿、道真流謫の地太宰府、京都御所清涼殿と殿上の間。いいねえ、分かってるねえ。

    道真って政治家としては不遇だったけど、菅家廊下やら文章博士やらやってたお陰で、実は関連書物が下手な成功者よりずっと沢山残っているそう。

    珍しく、讃岐守時代の話に結構なページ数が割かれています。道真って「詩臣」たるを強く標榜していたそう。官人に文筆力はそりゃ必要でしょ。でも当時の公文書は「漢文素養を踏まえた流麗な文筆力が望まれた」って…現代人にはピンと来ないところだけど、詩人であり儒者でもあり、でもって官吏としての実務能力も問われ。お貴族様の下で現実的に国政を支えていた人達、ホント大変そう。絶対、蹴鞠してるヒマとかないよねー。

    あと、道真オンリー本じゃないので、摂関政治の成立も整理されてます。

  • 天皇>摂政>関白の順番に権能の差があると思う
    天皇が弱い場合は太上天皇・太政大臣(皇族)支援
    天皇が幼い場合は摂政(皇族)が代わりに大権行使
    出は元服した場合は?少し弱いケースもあるので関
    白がサポートしますが大権の行使は天皇です

    中継ぎ即位問題
    推古天皇が実施後、長命のため聖徳太子持たず死亡
    持統天皇も称制で様子見してたけど譲位理論を発見
    本命に拘りすぎて候補者殲滅した奈良時代は血迷い
    血縁の無い僧侶に預ける(子孫がいないので戻る)

    兄弟で順番にやれば能力ある天皇でつなげると桓武
    天皇は兄弟3人に異腹の娘を嫁にさせて奈良時代に
    危なかった皇統を増やそうと考えた
    皇統が増えると7人に一人しか継げないし、皇太子
    歴が長くなり東宮職等の取り巻きグループが強固で
    政争(陰謀)に行きがちだし、原点回帰(?)で我
    が子に継がせたくなるから幼帝の誕生となる

    太上天皇が長命なら問題ない・・・いないとき皇族
    の摂政を考えると「すぐ政争、皇位争い」になる為
    皇族に摂政させられない、摂政させても皇位を狙わ
    ない=狙えない藤原家が(名称は別にして)摂政!
    何せ准皇族です(皇女を嫁にした良房)元々四世の
    皇族しか妻に迎えられない一般貴族だが藤原氏だけ
    二世だった(積善の家だからね)
    ※ちゃんと法律ある
    摂政していた天皇が元服した場合、名誉職で関白に
    なったが、摂政していない場合の天皇にどうしたら
    良いのか、この問題が光孝天皇の時に発生しました

    基経が出仕拒否等で揉めたのは自分の居場所が無い
    自分の役割は何だ!
    根元的な問題に浮上させて摂政に続き関白ができた

    長くなったので感想
    最後の班田収授や商戦整理令等が効果を発揮しない
    愚策と思っていたが、新たな税収を上げる方策とし
    て出来上がった、負名制も効果を出していたように
    読めたので、目線を変えて再度見直すか(´・ω・`)

  • 政治面、特に藤原家との関係から道真の生涯を綴った本。

    廟堂首班の時平よりも醍醐との関係に焦点が置かれていたのが、面白かったな。

  • 「敗者の日本史」、、、切ないなぁ~

    吉川弘文館のPR
    「両者は対立していたのか。道真が残した漢詩を読み解きつつ、「詩臣」としての行跡と、摂関政治の成立を探る。通説を問い直す新見解!

    藤原氏による摂関政治が確立していく中、道真はそれとどう向き合い、やがて「敗者」として大宰府に流されるのか。道真が残した漢詩を読み解きつつ、「詩臣」としての行跡と、道真を「敗者」とした摂関政治の成立を探る。」

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