戦時下の日本映画―人々は国策映画を観たか

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著者 : 古川隆久
  • 吉川弘文館 (2003年2月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642077958

戦時下の日本映画―人々は国策映画を観たかの感想・レビュー・書評

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  •  日中戦争が勃発した1937年から、日本敗戦の1945年までの映画興行成績・観客動員数を経年的に追跡し、検閲当局や映画批評家の思いに反して、観客たちが必ずしも「国策映画」に積極的になびいていたわけではない様子、「国策映画」の観客動員数と興行収入が伸び悩む状況を(観客の「低級さ」と位置づけながら)苛立っていた様子をあとづけていく。
     歴史学者の著者らしく、大量の統計資料や同時代言説が博捜されており、資料的にたいへん充実している。文化統制という意味では、文学の統制と映画の統制は並行している。例えば、日本文化中央連盟=松本学は、「文芸院」構想のあと、映画製作への関与も試みている。いままでそのような研究はないけれど、文学と映画双方の統制の政策的・思想的展開に配慮することは重要な課題だろう。

     だが、本書の問題は、「観客動員数」「興行成績」に焦点を当てた結果、最終的には映画の「人気ランキング」を追いかけただけではないか、という点にある。この本には、表象=イメージを論じるという観点が決定的に書けている。あくまで問題は、制度的な「国策映画」として作られたかどうかが問題になるので、例えば『支那の夜』が、結果的にどのようなイメージを担ったのか、娯楽映画のどんなところに戦争との関係を読み込めるか、という議論には一切踏み込んでいない。
     たしかに、「戦意昂揚映画」の宣伝効果を過大評価することはできない。しかし、娯楽映画にそのような意味や機能がまったくなかったともいえないはずだ。本書のデータを踏まえた、テクストとしての映画に即した、具体的な検討こそが必要ではないのか?

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戦時下の日本映画―人々は国策映画を観たかの作品紹介

国益の優先か、娯楽性の追求か-日本初のすれ違い恋愛劇『愛染かつら』の公開に、"映画"の役割について激しい論争が繰り広げられた。"国策映画"が推奨された時代に、人々はいかなる映画を求めていたのだろうか。

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