- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642080729
作品紹介・あらすじ
もはやオランダ語だけでは通用しない。幕末のオランダ通詞たちは苦悩しながら日本中へ散って行った。欧米諸国との外交交渉、英語など新しい言語への対応や維新後のありよう、激動の時代を語学力で生き抜いた姿を追う。
感想・レビュー・書評
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研究者が書いた教養書。オランダ通詞を中心に、19世紀初頭から維新までの動乱を見る。通詞たちが残した文書に、今の日本の市役所仕事にも通じる、様々な段階の手続きを踏んでいく様とか、関係各方面への気遣いとか、それができない人(でも優秀)へのやっかみとかが見えて、なんかあんまり変わっていないんだなあと。
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長崎のオランダ通詞を中心とした通詞本。幕末と言っても文化文政~安政あたりがメイン。ただ通詞の全体の流れはよく分かった。
それにしても昔から日本人はLとRの発音が苦手だったのね。 -
現在職業のジャンルに通訳という職種がありますが、幕末の開国時代は 外国人とのやり取りをどのように行なっていたのでしょう?本書によると、当時は通詞(つうじ)という集団が存在し、通訳の仕事はそれだけに留まらず翻訳 学者 商人など広範囲の仕事も手がけていようです。通訳という職業から歴史を紐解くと 一味違った幕末維新の時代を楽しむことができる一冊です。
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「日本史の中の世界史」「世界史の中の日本史」が来年度から施行される新学習指導要領で従来以上に重視されるなか、こういった「世界と直接関わった日本人」の存在は注視しなければなりません。本書は日本の玄関である長崎において外国人と日本人との交流に欠かせなかった“オランダ通詞”にスポットを当てています。
中国や朝鮮半島の王朝以外で日本と本格的に通商を始めたのは16世紀のポルトガルです。ところが江戸時代にはいると、その座はオランダに移ります。こうした世界史の流れの中で、通詞たちはポルトガル語からオランダ語へと習得の対象を変えていきます。
しかし幕末、ロシアやアメリカ、イギリスなどとの交渉が急増し、通詞は多言語を習得する必要に迫られました。また従来のオランダ通詞だけでは足りず、ヨーロッパの言葉を勉強した唐通詞や運悪く漂流し外国船に救助され外国語を習得した(ジョン万次郎が有名)人たちも通訳として活用されるようになります。
明治になり、あるものはそのまま新政府に登用され、またあるものは言葉だけでなく技術やヨーロッパの思考も学び、日本の近代化に貢献した人もいます。
以下備忘録や興味深かったこと。
・シーボルト事件の確信である、天文方の高橋景保がシーボルトに幕府が作成した「大日本沿海輿地全図」を渡した理由。
→景保は幕府の命令で日本の全国地図を作成していたが、その際日本人が未踏の樺太東部の地図を収集したクルーゼンシュタインの著書のオランダ語版、オランダが作成したアジア図を手に入れるため、また地図作成に必要なクロノメーター(航海や緯度・経度を測る際などに使用する高精度のぜんまい時計)の使い方を知るためにシーボルトに地図を渡した。「大日本沿海輿地全図」には、欧米が未確認の北方の情報も含まれていたため、シーボルトとしても是非持ち帰りたかったものだった。
・英語の習得に励んだオランダ通詞たちも、今の日本人が英語を勉強する際につまずいてしまう「LとRの発音の違い」「曖昧母音の発音」について苦しんでいた。
・鉛製の活版印刷を作成し、日本近代史に名を残した本木昌造もオランダ通詞出身であった。 -
国家間の交渉には通訳がつきもの。幕末の日本における通訳事情、特にオランダ語から英語に移り変わりが書かれていて興味深かった。
教本など満足な数はなかったはずで、発音となるとおぼつかないことが多かった。当時の苦労が偲ばれる。 -
【新刊情報】〈通訳〉たちの幕末維新 210.5/キ http://tinyurl.com/7tk26q8 もはやオランダ語だけでは通用しない
ー。通詞たちは苦悩し日本中へ散っていった。欧米諸国との交渉、英語等新しい言語への対応など、激動の時代を語学力で生き抜いた姿を追う #安城