日本城郭史

  • 吉川弘文館
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642083034

作品紹介・あらすじ

天守が聳え(そびえ)、石垣が巡り、白塗りの櫓(やぐら)や壁を持つという「城」は近世のものであり、古代・中世の城とはまったく異なる。時代と共に変遷する城の実態を「軍事」と「日常」の二つの視点から探り、都市空間論まで踏み込んで解明する。北日本や琉球も独自の地域として取り上げ、朝鮮半島との関係などアジアの視野も踏まえて検証した新たな“城”の通史。

感想・レビュー・書評

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  • 古代から現代までにわたって城と言われているものを解説.私たちがイメージする天守閣は大阪城の天守を復元した時に通天閣の閣の字を使った固有名詞だったというのにはびっくり.城の象徴のような位置付けだけど,新しいんだ.
    古来,土塁だったり柵だったりしたものが,東国や西国で違った発展をし,中国や朝鮮の影響を受けたりして変化していく様子が面白かった.図面などもたくさんあってわかりやすかった.

  • 資料をさがしに県立図書館に行った際、本棚から「借りてくれー!」と言われた気がした(笑)ので一緒に借りてきた(吉川弘文館の本なんて、おいそれとは買えません)。

    1回延長して、読了まで約1か月もかかってしまった。しかも同時に、新書の「観応の擾乱」も読んでいるものだから(こちらもまもなく読了予定)、頭の中がやや混乱したりw

    タイトルのとおり、日本の城について古代から近代までの通史で論じたもの。「城」という語彙の時代や地域による変遷、東アジアにおける都城制の影響、領主館と城郭との違いという論点、東北の柵・南西諸島のグスク・北海道の館やチャシなどの地域性、戦国期の城と城下町、織豊時代の城、天守の登場、石垣の変遷、天下普請、一国一城令、方形区画、五稜郭と龍岡城……などなど、軍事史学、考古学、文献学、建築学といったさまざまな方向からのアプローチを試みている。

    分厚い本なのだが、まだまだ言及しきれていないところなど、もどかしい面もあるのだけれど、ほぼほぼお腹いっぱいです。
    同世代の著者ふたりの研究には、深く敬服いたしました。

  • とにかく重厚なお城の教科書。読むのに半年かかった。お城を単なる軍事施設としてでなく、政治の中心、権威の象徴、祭祀の聖域といった多様な観点から捉え、東アジアの「城」と日本の「城」の類似性から、日本国内の「城」の多様性まで、幅広く取り上げている。文句なく、現時点で一番の城郭本。史学(特に中世史)を専攻する学生・院生には必読の書であろう。私のような素人が読んでも、読んだそばから頭から流れていってしまうのが悲しいところだが…。

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著者プロフィール

齋藤慎一

1961年東京都生まれ.85年明治大学文学部史学地理学科卒業.89年明治大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程退学.2001年博士(史学).1988年より都立江戸東京博物館学芸員.組織改編をへて2010年より公益財団法人東京都歴史文化財団江戸東京博物館学芸員.専門は日本中世史・近世史・都市史.著書『中世東国の領域と城館』(吉川弘文館,2002年),『戦国時代の終焉』(中公新書,2005年),『中世武士の城』(吉川弘文館,2006年),『中世を道から読む』(講談社現代新書,2010年),『中世東国の道と城館』(東京大学出版会,2010年),『中世東国の信仰と城館』(高志書院,2021年).編著『城館と中世史料―機能論の探求』(高志書院,2015年).

「2021年 『江戸―平安時代から家康の建設へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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