ながいながいペンギンの話 (理論社名作の愛蔵版)

  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652001028

感想・レビュー・書評

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  • 理論社の愛蔵版 わたしのほん

    ながいながいペンギンの話

    作者 いぬい とみこ
    画家 山田三郎
    発行所 株式会社理論社
    発行日 1977年5月 第59刷

    はじめに

    第1のおはなし
     くしゃみのルルとさむがりやのキキ
    第2のおはなし
     ルルとキキの うみのぼうけん
    第3のおはなし
     さようなら さようなら にんげんさん!
    あとがき

    はじめにより-----
    これは、背高のっぽの「ながいながいぺんぎん」の話ではなくて、南極に済むペンギンのふたご ルルとキキの冒険についての、「ながいながい」話です。 作者

    遠い遠い南極の島に、ペンギンのお父さんがいました。この文章で始まる物語。
    ルルとキキが卵の中にいるところからお話が始まります。ルルは元気で一人でウロウロと出歩いているところを人間に捕まる。(人間は悪意あるものとは描かれていない、かわいいなと連れ帰ろうとはするけど)
    ペンギンの両親は必死になって仲間に呼びかけルルを探しペンギンの大騒ぎを理解した人間(セイさん)はルルを連れ帰ることを止めます。足首に青色の毛糸を目印につける。
    第1章は、生まれと冒険が有って、無事で良かったねと終わる。
    第2章はルルとキキが人間で言えばやんちゃな時期で冒険をします。
    海の友達クジラを助けるために囮になりシャチ(このお話でシャチはワルモノ)をやっつける。
    ルルはコウテイペンギンの島に上陸し追いかけてきたシャチは勢い余って陸に乗り上げクジラもペンギンも助かる。コウテイペンギンの皇帝は喜び行進の式を長々とやる。ルルはそれを途中で止める。行進しているペンギンたちの中には弱っているものも居たから。すると怒った皇帝に捉えられて牢屋に居れられてしまうが、牢番のトトというおじいさんペンギンが助けてくれる。トトはコウテイペンギンの島には居られないとルルたちの島にわたる。
    第3章はルルとキキとトトは島に戻り暮らしている。
    そこへ人間たちが(モリ撃ちのセイさんも)やってきて、ルルを見つける。るるの足首に青い毛糸の端切れを見つけ喜ぶ。今度は人間のところへ来るかい?と聞くけれどやっぱりルルは自分の島に残ることにする。セイさんは青い毛糸の代わりに時計のベルトを外し、るるの足首に金属のベルトをつけた。そこへトト爺さんがやってきてセイさんと一緒に船に乗り込む。トト爺さんは、自分が歳をとって、これからの冬の嵐に耐えられるかどうか自身が無い、コウテイペンギンは自分だけで仲間も居ないし、それなら冬が厳しくない新しいところで暮らしてみたいと決めたのだ。
    セイさんはチビペンギンの代わりに、大型のコウテイペンギンの老体と一緒に日本に帰りました。ルルたちは冬を越したら大人のペンギンになるんです。というところで終わり。
    -------------------
    だいぶ古い本で、子ども向けに字も大きく画数の多い漢字もなく、フォントの割に読むことができました。
    お話も、この本が新しかった頃の子どもたちにはとても貴重な、しかもワクワクする冒険や成長過程もあり良い本だと感じました。イラストがちょうどよい程度で(漫画チックでない画と頻度)なのも好感が持てる。

    自分にとって良かったのはあとがきで、作者さんがどうしてこの物語を作ったか、時代背景として当時は短い(原稿用紙2.3枚程度の)ものばかりで、当時の大人たちは子どもらを注意力の続かない幼稚な存在と認知していた。また、大人の感傷に裏打ちされた悲哀の濃い幼年童話が多かった)のでそうではない長いお話を作ってみた。それを保育園児たちに試して聞かせたところ十分に楽しめた。ということから1957年3月に宝文館という出版社から出版された。
    絶版になった時期も有ったが出版社が変わり、現在は岩波少年文庫で販売されている。

    作者さんは、チェコスロヴァキアの作家カレル・チャペックさんの「長い長いお医者さんの話」が大好きだったので、このお話のタイトルを「ながいながいペンギンの話」と決めたそうです。現在チェコとスロバキアという2つの国になり、そのどちら側の人だったのか、自分の記憶には「ながいながいお医者さんの話」という物語が無い。カレル・チャペックの名前はなんとなく聞き覚えがあるきもする。興味が湧いてきました。今も読めるなら読んでみたい。→メモにカレル・チャペックさんのメモあり

    作者さんがこのお話を書いた当時は、ペンギンの生態もまだ今ほどはわかっておらず、日本の観測隊が南極へ行くことなど考えられていなかった頃、古いナショナルジオグラフィックに掲載された写真を見てペンギンをすきになり、物語を作ったが、出版する頃にはお話の中のルル達の暮らしと実際の生態に違いは有っても、お話の変更はしなかった。中に出てくるペンギンたち、氷の割れ目に居たおばあさんペンギン、クジラの子ども、大かもめの群れなど生き生きとイメージできた。

    現在ペンギンは身近な生き物となり、水族館大好きなので、ペンギンのフンまみれの足で靴に乗られたり、結構鋭いくちばしで突かれたり、抱卵している様子をみたり、浮気したオスは複数のメスから復讐されるなど体験観察経験がある。特に好きかと言われたら、そうでも無いんだけど(だって すごく臭いしw)骨格標本をみたときは、足長いんだぁ・・・。ってびっくりしたw

    奥付より後ろのページに出版社のコマーシャルがあるんですが、それがまた なんというか良いのです。自分が子どもの頃読んだタイトルを見つけたり、作者さんを見つけたり、今だに図書館や書店の店頭で見かけるものもあり、添えられた挿絵も素敵です。
    王様が正座して本を見ているのは意味もなく嬉しくなる。
    ホコリまみれの児童書、倉庫で見つけてそのまま処分に出さずに開いてみて良かった。
    現代の子どもの人にもこの物語を楽しんでもらえたら良いなぁ、おとなになって、この物語が書かれた当時の日本の状況や、当時の子どもの本の有り様を知ってもらえたらもっと良いなぁ。

  • ペンギンの長い列のことを「黒いリボン」と表現しているところがステキだなあと思った。人間に対して悪い印象しか持っていなかったペンギンたちが、ある一匹のペンギンの大冒険をきっかけに人間に対してよい印象を持ちはじめ親しみをもっていく様子が面白かった。

    http://www.lib.miyakyo-u.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=173546

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著者プロフィール

いぬいとみこ

「2002年 『くらやみの谷の小人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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