魔女と森の友だち

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  • 理論社
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  • / ISBN・EAN: 9784652040553

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  • 森の奥に棲む<魔女>は、毎日「魔法の鏡」を覗いては溜息ばかり...「鏡よ鏡、どうしてワタシの口は、こんなに大きいの? それにこの鼻!」 ある日、鏡が「アナタのお母さんも、お婆さんも、優れた魔女でした。アナタも素晴らしい魔女になれます。それには、もっと魔女の練習をしなくてはね」「お説教なんて、まっぴら」「ボクは友達として言ってるんです」「あら、鏡と友達になるなんて、無理よ!」 魔女が笑うと、鏡は粉々にひび割れてしまいました。それ以来、魔女は魔法を使えなくなってしまい、孤独と絶望の日々に耐えることに...。

  • 魔女と鏡といえば白雪姫を連想してしまいますが、今回の魔女も相棒の鏡にいつも愚痴をこぼしています。
    「だいじょうぶ」「にっこりしてごらんなさい!」など励ましたり魔法の練習をするように助言する鏡でしたが、魔女は聞こうとしません。
    鏡は深く傷ついた結果、粉々になってしまい・・・
    友達を失ってから大切さに気づくというのは辛いです。
    ずっと落ち込んでいた魔女がハタネズミのぼうやを救うことで一歩を踏み出せてよかったと思います。
    森じゅうの動物達が友達になったけれど、そうなれたのは鏡のおかげ。
    時々森の奥の泉に出かけていく魔女の姿に切なくなります。
    鏡の言葉を胸にこれからも笑顔を忘れず強く生きていくんでしょうね。

  • 湯本香樹実さんの本ってことで借りました。周りにいる人たちを大切にしなきゃって思いました。いい話。

  • なくしてしまってから それが 自分にとって ものスゴく 大切なものだと 気付く…

  • 色々な読み方が出来ると思う。

    --人を助けることに心が向いたとき、自分も救われる。
    --ありのままの素敵な自分を見るためには、自分としっかり向き合うことが必要。

  • 平成21年10月12日
    6年生

  • 魔女が魔法の鏡は友だちではない、と言ったとたん鏡は割れてしまう、魔女は魔法が使えなくなる。
    そこへ、魔法で子どもの熱を下げてくれと頼みに来たネズミが。
    魔法は使えないけど、一生懸命に治そうと努力した魔女には、森の友だちが出来る。

    森の奥の湖で鏡に言われたようににっこりと笑ってみせる魔女。
    最後の、古い友だちに会いに、森の奥へ行っている…というのが哀しいな。

  • 森のおくに魔女がすんでいた。

    小さなおうちで、ドアの上には「MAJO」なんて書いてあって
    なんとなくユーモラス。

    魔女は毎日、魔法のかがみをのぞいては、ためいきばかり。

      「かがみよ、かがみ。

      どうしてわたしの口は、こんなに大きいのかしら。

      これじゃ、こわれたハンドバックだわ」

    真剣なんだけど、どこか笑ってしまう。

    でも、傍から見ると、女性の悩みって、こんな感じなのかな。

      「だいじょうぶ。

      にっこりすれば、とてもすてきなお口ですよ」

    魔法のかがみは、こんなときは、元の資質を否定せず、
    こうすれば良くなるよとさりげなくアドバイス。

    でも、魔女はまだまだ不満がいっぱい。

      「それに、この鼻!」

    トレードマークのような容貌に真剣に悩む魔女。

    魔法のかがみは、ポジティブだ。

    そこは直すところではないから、否定はしないのだ。

      「だいじょうぶ、だいじょうぶ。

      けっこういいかんじじゃないですか」

    そして、極めつけは、これだ。

      「ほら、にっこりしてごらんなさい! 

      ぼくにえがおを、みせてください」

    なーんだ、魔女さん、あなたの魔法のかがみは、
    素敵な彼氏みたいじゃないの~!?

    でも、魔女は、この魔法のかがみがどんなに大切かまだ分かっていない。

    そばにいすぎるとその良さが分からないのかもしれない。

    だから、「あなたににっこりしたって、ぜんぜんおもしろくない」
    と言ってしまうのだ。

    魔法のかがみは、魔女をただ褒めるだけではない。

    耳の痛いことだって言う。

      「あなたのおかあさんも、おばあさんも、
      それはすぐれた魔女でした。
      
      あなたも、きっとすばらしい魔女になれますよ。

      でもそれには、もっと魔法のれんしゅうをしなくてはね」

    でも、魔女は、「お説教なんて、まっぴら」と聞く耳を持たない。

    友だちとして忠告してくれたかがみに対して、
    「あら、かがみと友だちになるなんて、むりよ」と。

    これは、言ってはいけない一言だった。

    かがみは、ショックを受けて、こなごなにわれてしまったのだ。

      「ぼくはあなたのこと、友だちだとおもってたのに」

    魔法のかがみがわれたことで、魔女は魔法を失う。

    なにひとつできなくなってしまった魔女のもとにやってくるのは、
    ただおばけばかり。

    おばけは、魔女をおどかすだけで、
    話しかけてもこたえてはくれない。

    魔女はここでようやっとたいじな友だちを
    なくしてしまったことに気づいたのだ。

    魔法を失ったときではなくて、
    おばけが話し相手にならないと気づいたときに、
    友達を失ったと知った。

    それは、魔女がほんとうは、心の奥底では、
    かがみを魔法の拠り所としてよりも、
    大切な友として見ていたことを意味する。

    取り返しのつかないことをしてしまったと思った魔女は
    なかなか立ち直れなかった。

    魔女の家のとびらは、何年も何年もとじたままだったのだ。

    そのとびらをあけたのは、ハタネズミだった。

    病気のぼうやを魔法でなおしてほしいというのだ。

    森のおくのいっけんやにすんでいるのは、
    魔法のくすりがつくれる魔女だという評判を聞いていたのだった。

    魔法は、魔法が使えなくなってしまったことを伝えるが、
    ハタネズミは引き下がらない。

    子どもの命がかかっているのだから。

    そんなハタネズミを見て、魔女はやってみることを決意するのだった。

    自分の人生でこんなことが起こったら、
    泣きっ面に蜂のような心境にもなるだろうが、
    落ち込んでしまった停滞してしまった状態を打破するのは、
    実はハプニングである。

      魔女は心の中で、かがみに話しかけました。

      「かがみよかがみ、たったひとりのわたしの友だちよ。

      どうかわたしをゆるして、力をかしてほしい」

    かがみに文句ばっかり言っていた魔女、
    おばけにおどかされていた魔女、
    落ち込んでとびらを開けられなかった魔女、
    ハタネズミを驚いた顔で眺めていた魔女。

    ひとつひとつの場面で、彼女の顔は表情豊かでとても正直だ。

    先祖の本を開き、真剣になべに向かう彼女は、
    どんどん良い顔になっていく。

    彼女は、美人とかきれいとか、そういうタイプではないのだが、
    真剣さによって生まれる凛とした力を、確かに内側に有しているのだ。

    仕事を終えた彼女の顔は、本当に満ち足りている。

    かがみが見せてほしいといった笑顔は、きっとこの顔だったのだ。

    彼女の大切な友だちはかつてと同じカタチでは帰ってこない。

    でも、彼女はきっと友だちに許されたのだと思う。

    森じゅうの動物たちが友だちになってからも、
    彼女の一番大切な友だちはただひとりなのだ。

  • 文庫待ち

  • 2009.1.9

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著者プロフィール

1959年東京都生まれ。作家。著書に、小説『夏の庭 ――The Friends――』『岸辺の旅』、絵本『くまとやまねこ』(絵:酒井駒子)『あなたがおとなになったとき』(絵:はたこうしろう)など。

「2022年 『橋の上で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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