- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652071632
感想・レビュー・書評
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私だって人生の中で辛い思いをした事は幾度となくある。けれど死のうと思ったことはない。死んだら楽になれるのかも知れないと考えた事はある。
けれど実行したことはない。結構辛いと思っていたのに。
だから実際に自ら命を絶った人達はどれほど、本当にどれほど辛い思いをした事だろうと考える。私には想像もできない辛さだったのだろう。
本作品、高校生を自殺に追いやってしまった原因を解き明かしながら、その裏にある事情を探り当ててしまうのだけれど暗くなく、むしろ第三者の目で客観的に、むしろユーモラスに描いていくのだが。
そこには家族としての人々、個人としての人々、友人としての人々がそれぞれの思いを持って繋がっている愛情が浮かびあげる。
自殺をした人々はどれほど辛かったかと思いを馳せたが、彼らは彼らを自殺に追いやった原因の見えない事情を知っていただろうか?
人は生きて行く限り自分を中心に物事を見るだろう。油断すると、自分の見るものや考え方捉え方が正しいと思ってしまうかもしれない。
辛いのは自分だけだとも。
人間にはそれぞれ様々な個性があり色がある。
それも一色ではない。自分の中に矛盾した色だってある。みんなカラフル。
優しさというのは誰でも皆カラフルなのだ。離れて見ると一色に混じってしまうかもしれないが、本当は明るい色も暗い色もたくさん身につけてそこにいるのだと理解することかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学生の頃に読んだけど、あまり印象はなかった。
けれど子供を持つ親の立場になって、この物語が深く心に刺さった。
自殺未遂をした自分の子供がわからなくて苦しむ両親。自分にしかない何かを見つけられなくてもがく母親。職場で干されても歯を食いしばって耐えていた父親。親だって悩み傷つき、苦しい時だってある。誰もが本当に正しい道を探して、迷って、歩き続けているんだ。
自殺未遂をした少年は、自分の狭ーい視界の中で得られた事でのみ世界が成り立っていると思い、失望し自殺した。
自分の周りの人間だって、その人にしかない悩みで苦しみ、もがいているのにね。 -
森絵都さんは二冊目ですが、同じ作者とは思えず不思議な気持ちでした。
大きな過ちを犯して死んだ魂が、抽選に当たって輪廻のサイクルに戻る再挑戦のチャンスを掴んだという、漫画みたいなお話。本当に漫画を読んでいる様な感覚でサクサク読めました。
自殺を図った中学生の小林真の身体を借りて再挑戦に挑むわけですが、この真くんがまた勉強も出来ない、クラスメイトにも馴染めていない、暗くて地味で変わり者という人物。
魂にしてみれば本当の自分ではなくただの借り物なので、他人事の様にマイペースで過ごしていきます。そんな力の抜けた生活をしていくうちに、小林真の周りの状況が少しずつ変化していきます。
この“偽小林真”がとてもいい味出していて、話に引き込まれてました。
一見軽い感じの物語ですが、家族や友達との本音のやりとりなんかはジーンとくるものがありました。
話の展開は予想できるものでしたが、読後感はすごく良かったです。読書が苦手な人にもお勧めできる一冊です。
調べてみるとアニメ映画にもなっているようですね。こちらも是非観てみたいです。 -
家族に自分の心情を話すのは照れ臭い。でも話さなければ何も伝わらない。
感情や気持ちを前面に出さずに、クール気取りで自分が傷つくのを恐れていたら誰の共感も得られない。
ひとりでは生きて行けないのだから、自分の心情をオープンにして助け助けられて楽しい人生を歩みたいと思いました。 -
小学生の時から何回も読み返してる。軽いお話に見えて実は深くて考えさせられるお話です。おすすめ
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「カラフル」の正しい意味がわかった時、この物語を自分と重ねて考えることができた気がした。
家庭、学校、そして自分自身の問題と向き合う力が得られる一冊。 -
6年生向けの本を探していたところで、再読。
やはり名作だと思うけど、援助交際のくだりは説明しにくい。
人の一面だけ見ていても、解決することはあまりないことに気づけた本。 -
児童文学なのこれ?
文字が大きいと児童文学なの?
中学2年の愛人とか性表現とか児童書でいいの?
と思うことあるけど大人が子供のころに戻った気持で読める本ってことでいいかな? -
自分の人生に責任を持たないと、本当の意味で人生を楽しむことができないと教えてくれる。
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遡ること、10年前。
「こんな言葉載ってるんだよ。知ってる?」
小学生には刺激的な言葉。
「ふーん」と感情もなく返す。
頭の奥にはちらちらと残っていた。
2日で読む。
話づくりは見事。
親しみやすい文体の中に、煌く難しい言葉の数々。
物語のからくりに、「ほう!」と思う。
そして、「カラフル」の言葉の意味も。
(そこらへんを、小学生向きに巧みに伝えているのが「にんきもののはつこい」だったりする)
自らの仕事先に置くかと言われると、自分はできない。
(そこらへんの分別はかろうじてもっている)
しかし、飽きることなく読み進められた。
ほんわかした語り口で、人間の深淵を見つめていく。
まさに、「カラフル」。