カラフル

著者 :
  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652071632

作品紹介・あらすじ

いいかげんな天使が、一度死んだはずのぼくに言った。「おめでとうございます、抽選にあたりました!」ありがたくも、他人の体にホームステイすることになるという。前世の記憶もないまま、借りものの体でぼくはさしてめでたくもない下界生活にまいもどり…気がつくと、ぼくは小林真だった。ぐっとくる!ハートウォーミング・コメディ。

感想・レビュー・書評

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  • 読んだ事を忘れて再読。
    読み始めて数ページで結末まで思い出したけど、やっぱり面白くて一気に読んでしまった。

  • 中学生の時に読んだなぁ。
    ぼんやりとしか覚えてなかった内容が、みなさんの感想を読むことによって、あーそうだったそんな内容もあったなぁと思い出す。
    もう一度読んでみようかなぁ。

  • 「カラフル」 森絵都(著)

    1998 7 単行本 理論社刊

    2007 9/10 文庫本 第1刷
    2019 8/25 第53刷

    2020 6/3 読了

    中学3年生男子。
    ぼくには彼此、40数年前の事ですねー。

    この主人公のように思い悩みはしなかったけど
    とてつもなく両親には心配をかけました。

    今は亡き父、高齢の母。
    タイムマシンがあるなら今すぐ飛んで行って

    心から感謝を伝えたい!

    みんな懸命に生きている。
    みんな幸せを求めて。

    素晴らしい作品でした。
    後悔をしないように生きます。

  • 私だって人生の中で辛い思いをした事は幾度となくある。けれど死のうと思ったことはない。死んだら楽になれるのかも知れないと考えた事はある。
    けれど実行したことはない。結構辛いと思っていたのに。
    だから実際に自ら命を絶った人達はどれほど、本当にどれほど辛い思いをした事だろうと考える。私には想像もできない辛さだったのだろう。

    本作品、高校生を自殺に追いやってしまった原因を解き明かしながら、その裏にある事情を探り当ててしまうのだけれど暗くなく、むしろ第三者の目で客観的に、むしろユーモラスに描いていくのだが。
    そこには家族としての人々、個人としての人々、友人としての人々がそれぞれの思いを持って繋がっている愛情が浮かびあげる。

    自殺をした人々はどれほど辛かったかと思いを馳せたが、彼らは彼らを自殺に追いやった原因の見えない事情を知っていただろうか?

    人は生きて行く限り自分を中心に物事を見るだろう。油断すると、自分の見るものや考え方捉え方が正しいと思ってしまうかもしれない。
    辛いのは自分だけだとも。
    人間にはそれぞれ様々な個性があり色がある。
    それも一色ではない。自分の中に矛盾した色だってある。みんなカラフル。
    優しさというのは誰でも皆カラフルなのだ。離れて見ると一色に混じってしまうかもしれないが、本当は明るい色も暗い色もたくさん身につけてそこにいるのだと理解することかな。

  • 素晴らしき哉!人生やら君の名はをそっと思い出したりしながら読了。プラプラとても好き♡
    読みやすくてキレがあって、ときどきキラキラと眩しく膝を打つ文章に出会います。
    悩みのなかで日々成長し成熟しているのにそうと気付かなかったり、精一杯ゆえに近視眼になって日常に迷い溺れてしまいそうな思春期の子供達が、炭のような単色に閉じ込められたと思うときに、挫けそうなときに、きっときっときっと読んでほしいです。

  • 面白い本っていうのは、読むのを止められないんだよなぁ。
    久しぶりに、そういう感覚を味わった本だった。
    ハードカバーをめくったところにあるイラストが好き。

    「おめでとうございます、抽選に当たりました!」
    優男の天使に言われ、大きなあやまちを犯して死んだはずの「ぼく」は自殺を図った少年「小林真」の体を借りて、下界で再挑戦という名の修行をすることになる。
    再挑戦の目的は、失った前世の記憶を取り戻し、自分のあやまちの大きさを自覚すること。その瞬間にホームステイは終了し、「ぼく」は輪廻のサイクルに戻れるらしい。
    「小林真ってどんなやつ?」
    「なればわかります」
    ということで、目覚めた先には、全く見覚えのない両親、兄弟、冴えない姿の自分がいて…。


    再読です。森絵都さんにハマったきっかけの一冊。
    中学生に「なんかおもしろい本ないー?」と聞かれたら、必ず薦める本のうちの1冊です。(が、母親の不倫とか中学生の援交とか出てくるので、勧めるのどうなんかな?と思ったりもする。)
    初読は10年以上前なのではないかと思うけれど記憶が曖昧。当時は面白いなぁと思った覚えしかないのだけれど、今回は後半結構何回も泣いてしまった。情緒不安定か。

    孤立する教室、見知らぬホストファミリー、唯一心安らぐ場所である美術室。真の家族や周囲の人間に触れながら、ぼくが少しずつ色んなことをなぞっていく姿は、まさしく「再挑戦」という名の生き直しで、また真実に向かう謎解きでもあり、面白い。少しずつ、絡まった糸が解けていくように、主人公のものの見方が解けていくさまが、じんわりと心地いい。

    今回一番心を打たれたのは、実は早乙女くんのくだりである。基本的に家族ネタでは本当に泣かされるし、とにかく「お父さん」とか出てくるとだいたい涙腺に来るものだが、今回はこの「友達」の存在が一番ストレートに胸に来た。

    「ぼくの、はじめての友達なんだ」
    「はじめてできた友達なんだよ」

    おそらく、真の体に入ってからここに至るまでのぼくも、中学生以降の元の真自身も、こんなにストレートな言葉を家族には吐いていないのではないかと思うくらい、赤裸々な感情の吐露だ。だから余計、胸を打つ。

    『くだらないと笑われても、ぼくには今、二千百八十円のスニーカーを教えてくれた早乙女くんが、この世で一番、尊い。』(p217)

    友達って、いいよな。と、素直に思えた。
    早乙女くんは本当にいいやつだ。


    そして、今回一番共感したのは唱子の言葉だ。
    真が大丈夫なのは真の世界があるからだと信じて、真を信奉していた唱子。
    「これさえあればなにがあっても動じずにいられるって、そんな強い世界がほしかったんだ。」
    彼女の考察は思い込みの部分もあったけれど、あながち間違いでもなかったと思う。その世界を作った真は、それで大丈夫ではなかったのだけれど、その世界がある意味では真を守っていただろうし、そしてある意味ではそれが真を周囲から更に孤立させていたのだろう。
    唱子の語る「あっちの世界」と「こっちの世界」の話は、私が思春期に度々ぶつかった障壁と似ていて、ふと私を救った『スティル・ライフ』の冒頭を思い出した。
    さらに遡り高校生の時、高校が嫌いで、寝る前に大学生になった自分を妄想している時間が一番楽しかったという残念な過去の自分も思い出した。その時は、現実を変える力がなくて、現実を別に作り出すほうが楽だと思った。結局それが、「世界を作る」ってことではないかな。
    真の体を借りて下界に舞い戻ったぼくが、意外と気楽に息ができていたように、もし私が今、当時の自分の体に入れるとしたら、私はもっとうまく生きれたんじゃないかなと思う。
    そういう意味では、「世界を作る」ことはやはり、自分を守る方法でもあり、自分を孤立させる方法でもあるんじゃないかなと思う。
    傷つきたくないから固くなる。自分を守りたいから意固地になる。
    はじめの方で、ぼくは真の自殺の原因を天使のプラプラから教わるのだが、その時私は、(それくらいのことで?)と思った。けれど、読み進んでいくうちに、(それくらいのこと)とは一体誰が推し量れることなんだろうかと思った。中高生の自殺は、今でもある。
    大人になってしまえば、もしかしたら(それくらいのこと)になることもあるのかもしれない。けれど、今、ここにいる彼らにとって、それは決して(それくらいのこと)ではないのだ。そしてそれは、中高生だから、とかでもなくて、大人でも同じことだろう。

    タイトルの『カラフル』について。
    印象的な黄色い表紙の本だけれど、タイトルは『カラフル』だ。
    この世は、極彩色の光で溢れていて、ぼくたちはどこに向かえばいいのかわからなくなってしまう。この混沌としたカラフルな世界の中で、けれど生きていこう。
    カラフルとは、別に明るくポップな意味合いの言葉ではないのだ。
    色を全部足したら黒になるように、この世は混沌としているけれど、その世界で、私達は生きていかなければならない。
    そうした決意表明のような。

    けれど、救いはある。プラプラは言う。
    「ホームステイだと思えばいいのです」
    「ホームステイにルールはありません。与えられたステイ先で、だれもが好きにすごせばいいのです。ただし、自分からリタイアはできませんが」
    目から鱗の言葉。思えば私達は、いろいろなことに、自ら縛られているよなぁ。
    俯瞰で見る、とはまた違うのかなぁ。世界は見方次第、とも言えるよなぁ。
    考えが散逸になってしまうのは、やはり角度によって見えるものは違うということを、改めて認識させられたからだろうか。

  • おめでとうございます。
    からページが止まらなかった。今置かれている状況は、前世でどんなあやまちをしたか問い直す4ヶ月の浮遊のホームステイ。真が好きな美術室に答えがあると出ていった24時間で思い出すという展開にワクワクした。
    学生時代、なんとなく違うと死がだんだん近づくと思い悩む主人公は、少なからず周りに取り巻く環境に読者は共感さえ、おぼえてしまう。知り得なかった真の周りの人の気持ちを確認しながら、ふらっと現れた、プラプラがヒントを出してくれる、前向きになれてカラフルな世界はまんざらでもないと生きたいよね…

  • 四半世紀を経て、背表紙以外色褪せない作品。実態は色眼鏡を外さないと見えない。誰だっていつだって色々な側面を持っている。軽快なのに軽率でない色合いを持つ筆致が心地よい。世界がカラフルに感じられた。

  • 学生の頃に読んだけど、あまり印象はなかった。
    けれど子供を持つ親の立場になって、この物語が深く心に刺さった。
    自殺未遂をした自分の子供がわからなくて苦しむ両親。自分にしかない何かを見つけられなくてもがく母親。職場で干されても歯を食いしばって耐えていた父親。親だって悩み傷つき、苦しい時だってある。誰もが本当に正しい道を探して、迷って、歩き続けているんだ。

    自殺未遂をした少年は、自分の狭ーい視界の中で得られた事でのみ世界が成り立っていると思い、失望し自殺した。
    自分の周りの人間だって、その人にしかない悩みで苦しみ、もがいているのにね。

  • 「人の体は、神からの借り物。」という言葉があるが、
    時には、そんな開き直りが必要。人は単色ではなく、カラフルな多色をもち、自分も他人も変われるし、変えられる。
    アニメ「キルラキル」のセリフで、「世の中は訳わかんない奴らかいるから、おもしろい」。その通り!
    多様性を楽しもう!世の中はカラフルだから

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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