香港の甘い豆腐

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著者 : 大島真寿美
  • 理論社 (2004年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652077474

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香港の甘い豆腐の感想・レビュー・書評

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  • 高校をさぼりがちになっていた高校3年生の彩美は、
    夏休みに母親とふとしたことから口論に。
    彩美が生まれたことも知らないであろう父親に会うために、
    彩美は母親と二人で香港へ向かった。

    香港に上陸した後も、母親の旧友たちと食事をすることはあっても
    結局父親には会わないまま、母親だけ日本に戻る。
    彩美は母親の友人であるマリイのマンションにホームステイし、
    香港での生活を楽しむことに。
    マリイの姪のエミリー、同居人のテツヤとの生活を通して、
    日本ではのびやかに生活できなかった彩美は徐々に解放され、
    ついに父親ロイとの対面も果たす。


    彩美はロイと食事をしていて、素直な気持ちで父親を受け入れている自分に気付き、そのことを伝えた。それを受けて、ロイは

    「僕はうれしいよ、こんな縁があって。」(P137)
    「小さなきみにに会えなかったのが残念だ」(P138)


    香港には行ったことはないけれど、猥雑さとゆったりした時間の流れが同居している街なのではないかと想像している。
    美味しいものをたらふく食べ、いい香りのするお茶を楽しむ。
    おせっかいそうな年配の人。今どきの若者たち。
    混沌としていながら居心地の良い、懐かしさも感じそうなイメージ。

    そんな中で、彩美が生き生きと毎日を楽しみだす後半がいい。
    大人になれば、自分の中の割り切れない気持ちにもなんとか折り合いをつけて、
    毎日を過ごしていく。
    高校生の頃は納得できない毎日に嫌気がさして、
    あるとき不意に耐えられなくなることもあるかも。
    そこまでおおごとでなくても、疑問に思うことぐらいなら度々あるでしょう。
    そんなとき、周りの人といっぱい話したり一緒の時間を過ごす中で、
    自分が思い込んでいるほど危機的ではなく、
    誰もが似たような気持ちを抱いていると知り、
    もっとおおらかになれたら、ずい分楽になれるよね。
    (大人になっても、あまり変わらないか。)

    大人になって出会った大切な友達に
    ああ、あなたに会えて本当によかった!
    でも、もっと早くから親しくしていればよかったね。
    などと思うことがあった私は、ロイの言葉に激しく同意しつつ、
    それでも、今、そう気づけたことが最善なのかも、と思ったのでした。

  • 豆腐花って美味しそうですね。思わず作り方をググってしまいましたが、にがりじゃなくて石膏をつかうと知って、あの石膏なのかと驚いています。食べれるんや。 主人公の心の壁が、香港の熱風によって取り払われ、父親を、そして自分自身を受け入れていくところは小説の山場でもあり、こちらの気分も盛り上がりました。香港の町の匂いを嗅いでみたり、麺をすすってみたくてたまりません。油まみれになってわたしもダックが食べたい。
    全部読んだ後に本の題名を見返すと、やっぱりこれしかないかなって感じです。以前読んだ「ピエタ」とはまた違った趣ですが、引き出しの多い作家さんだな、とまだ2冊しか読んでないけど思いました。
    場面転換や主人公の心情変化の度に美味しい食べ物が登場して、お腹いっぱい大満足のほかほか小説でした。

  • 大きくは17歳の女子高校生の自我屹立がテーマだと思いましたが
    自分が生まれた場所が自分の居場所とはかぎらない、
    自己ルーツを辿るテーマ性も感じられ、とても共感出来る
    部分が多々ありました。

  • 大島さんのみずみずしい文章が読みやすくて
    彼女の物語のなかでいちばん好きな本

    登場人物も食べものも風景も空気も全部がきらきらしてる

    そんな本です

  • 遠くへ行って、色んな知らないものを見たり聞いたりしたくなった

  • 青春小説。母子家庭の設定を悪い意味で強調した殺伐さはなく、爽やかでからにほのぼのしていて読みやすかった。清々しい香港の風を感じられる描写で本当に香港にいるような気分で主人公に感情移入して読めました。また読み返したいと思います。

  • 17歳の彩美は、学校をさぼりがちになっていた。
    なんとなくうまくいかなく楽しくない毎日を送っていた。

    生まれた時から父親が居ない彩美は、母との口論さいに
    「どうせ父親をもしらない私ですから」という
    彩美の一言で、17年間会ったこともない父親に
    会いに香港へ母と訪れることになる。

    香港人だという父との再会と、ぶっきらぼうに見えて
    優しい香港の人々
    それから、毎食お腹いっぱいになる美味しい食べ物…。

    タイトルの甘い豆腐の通り、優しい気持ちになるような
    ほんわかとした小説だった。

    今まで知らなかった自分のルーツを知ることで
    訪れる前より大人になった彩美。
    彩美を取り巻く大人との関係が、あっさりしていて
    良かった。

    これから困難に遭っても、
    この旅を幾つになっても思い出すんだろうな。

  • さくさく読み終わり。

    17歳という多感な時期に、
    顔も知らない自分の父親(というか母の愛した人)に会うため香港で生活する主人公。

    香港、一回だけ、しかもすごく短期間でまわったぐらいなので、竹で組んだ足場がある描写ぐらいしか、具体的に「あぁ、あれね。」とならなく悔しい。

    この本の中での香港は、人々がとてもすなおなのだ。
    人間関係がはっきりしている。複雑に絡み合ってない。どろどろしていない。
    きっと主人公がこれまで暮らしてきた、日本の、学校での閉鎖的な縦社会とはえらく違ったんだろうなぁ。
    行くまえと、帰るときでは別人のようにどこか人が違うようにみえる。
    学校での英語の授業はあんなに嫌だったのに、広東語は自ら覚えたいと思う、この気持ちの変化は素晴らしい成長。
    どこかの言語を吸収してくというのは、たぶんこういうプロセスがあってのことなんだろうな。
    海外いきたい。

  • 読み初めてすぐに何度も読み返す本になると予感しました。
    香港の美味しそうなごはん、ぶっきらぼうなようで優しい人々がたまらなかったです。

  • 香港に1度いったことがあるだけですが、私も香港大好きなのでタイトルだけを見てふと手に取った一冊。
    香港では生きる術を自分で見つけて生きていかなければならない雰囲気は街全体から伝わってきます。
    読みやすく、青春時代の葛藤も重苦しく書かれてなくてサクッと読むのにちょうどいい。
    香港の人たちの人柄、料理、街の雰囲気...外国にいったら世界観が変わるというのが嫌いな私ですが、外国にいって新しいなにかを見つけれた彩美は幸せなんだろーな。

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