- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652077566
作品紹介・あらすじ
僕をとりまく宇宙のその中心に、あの子はすとんと落下してきた。口が悪くて、すばしっこくて、とびきりいけてる女の子-カチューシャ。『宇宙でいちばんあかるい屋根』で、絶賛され、1年。ヤングアダルトの新しい旗手、待望の新作。
感想・レビュー・書評
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考えるのも行動に移すのも、他人よりワンテンポもツーテンポも遅いため、
同級生どころか先生にまで疎まれて
「スローモーのモー」と呼びつけられるかじお。
唯一の楽しみである突堤での釣りで知り合った
やたらと丁寧な日本語を操るロシア人の老人ショウセイ。
そして、ショウセイの孫として現れる、
抜けるような白い肌に緑がかった瞳の美少女、カチューシャ。
可憐な容姿に似合わず、かじおやショウセイの前では
思いっきり地を出して粗野に振舞うカチューシャが、
転校生として学校に手っ取り早く馴染むために
「人格変換スイッチ」(←命名、かじお)を自在に操って演じる
楚々とした美少女ぶりが楽しい。
やがて仮面が剥がれて、女子がこぞって真似していた
彼女のトレードマークのカチューシャが
これ見よがしにゴミ箱に捨てられる日が来ても
1ミリも傷つかず、飄々と過ごしていたくせに
合同のクラス展示のテーマに戦争が選ばれ、
祖父ショウセイの辛い記憶を引きずり出しそうになると
学校から弾き出されるのを承知の上で
たったひとりで、展示物の戦車や装甲車に
ペンキで泣き顔や怒った顔を描いて抗議し、
祖父には文化祭は中止になったと嘘をつくカチューシャ。
ペンキでの抗議活動を始める前に
戦争で深く傷ついたショウセイの気持ちを理解しようと
はりぼての軍事トラックの中にうずくまる彼女の姿に胸が痛む。
慣れない場所で、何もかもにきっちり馴染もうとがんばりすぎて
ぽっきりと力尽きて亡くなったという、母の死の経緯を知り、
母とは対極を為すかのようなカチューシャの生き方に触れて
自分のペースで今をじっくり味わおうと思えるようになるかじおも
彼の心を動かして去っていくカチューシャも
しみじみと愛おしくなる、初々しい物語です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
モー(牛)というアダ名を付けられるくらい、マイペースなかじおの前に彗星の如く現れた真逆なタイプのカチューシャ。皆んなそれぞれの家庭環境で自分を構築していく。性格は変えられないかもしれないけど、考え方や感じ方は色んな経験で変わって行くもの。いろいろ経験して悩んで大きくなるんだよね。カチューシャわかってるかな?王子様だよかじおって!かじおと一緒なら絶対幸せになれるよ!ショウセイは安心したんだろうな。野中氏初読みでしたが、面白かったので他も読んでみたいです!
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さらさらっと読めたけどあんまり頭に入ってこなかった…。もっと若かったら楽しめたのかなぁ。あとカチューシャっていうとトルストイの『復活』のカチューシャが頭に浮かんでくるからかな…。まぁでも青春時代ってこんな感じかもね。2012/098
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自分の時間軸で、世界は回っている。という、当たり前のことを教えてくれます。友だちのこと、好きな人のことを、時間という側面から知るキッカケになる本です。
熊本学園大学:(ランドルト) -
かじおの周りの登場人物が魅力的。
ショウセイや香坂がいい味出してるとおもいます。 -
ずっとカチューシャみたいになりたかった