この庭に―黒いミンクの話

著者 :
  • 理論社
3.33
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本棚登録 : 667
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (91ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652077931

作品紹介・あらすじ

雪が降っている。真夜中に、突然そのことを知った。カーテンを開けると、しんしんと、ただしんしんと、雪が降っていた。梨木香歩、もう一つの「ミケルの庭」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • いつもの図書館の、児童書の棚にあった、梨木香歩さんの作品だが、子供というよりは、大人向けに感じられて、一読しただけでは、よく内容が飲み込めず、二度三度と繰り返す内に、少しずつ、話の輪郭が見えてきたような気がしました。

    しかし、明るく楽しい雰囲気というよりは、外で降り続ける雪のような、重苦しさを感じられるとともに、心の複雑さを見せられているようで、ただ単に、人生への復帰を目指す葛藤と、向き合っているだけの話には思えないものを、感じさせられました。

    と思ったら、どうやら、この話は続きものらしく、「りかさん」、「からくりからくさ」という、順番で読むのがいいみたいで、それらを読んだ後に、改めて、本書を再読しようと思いますので、星の評価は保留ということで。

  • 大人へと成長した『からくりからくさ』のミケルの、もう一つの庭のお話。

    傷心のミケルを訪ね、肩を抱きそっと慰めてくれるのは幼い頃のミケル。
    雪で真っ白くなったこの庭は、あの頃の青々と草花が豊かに生い茂る懐かしい庭と繋がっているのかもしれない。
    だからミケルを心配して、幼いミケルは夢の向こうからひょっこり訪ねることができたのかもしれない。
    春の兆しに耐えられず一人雪国へと逃げてきたミケルは、幼いミケルのお陰でようやく春を迎える準備ができた。
    難しく考えずに自然の流れに身を任せるといいんだよ。
    今は雪深い冬の最中。
    だから今はまだ、あの頃の夢を見ながらゆっくりお休み。
    春になったら自然と目が覚めるのだから。

  • 雪が降っている。真夜中に、突然そのことを知った。カーテンを開けると、しんしんと、ただしんしんと、雪が降っていた。梨木香歩、もう一つの「ミケルの庭」の物語。

  • 児童書コーナーに置かれていたけれど、この不安定さを理解できる子どもがどれほど居るのか。
    「りかさん」「からくりからくさ」から繋がる物語と知らずに読んで、最後に!!!となりました。

  • この話はミケルの未来じゃなくて、ただ単に夢?
    大人が自分のことをわかってくれないと感じたミケルは堕落した自分を夢見る。
    大人のミケルに会いに来た少女は誰だろう?
    ミンクがあの家の「テイスト」にあわないってどういうことだろう?あ~、何一つわからない。ただミケルはあまり幸せじゃないということだけがわかって悲しい。
    絵がとても素晴らしかった。それから、雪に埋もれたシーンとした空間、読みながらそれを感じることができたのはやはり作者の力量だろう。

  • 【感想】
    「りかさん」シリーズとは知らずに読んでいた.
    この不思議な話(まるで王さまシリーズのような)の,宙吊りされたかのような不安定さといったら….そして,後から じわじわと癖になる.
    モノクロの挿絵と寂寥感の漂う感じが好きです.(図書館の黄色のシールさえなければ!)

    それにしても,熱に浮かされて世捨て人の酒入り浸りになる夢をみる小学生っているのだろうか.(いや,学齢に達しようとしている,と書いてあるから,まだ幼稚園生か)


    P76「あなたのミンクは野生に返ったんでしょう」について,よく考えたい.もう一度読みたいと思わせる作品でした.

  • …あぁ、そうか。
    ミケル!(ネタバレになるので、これ以上言えない・・・)

    思いがけない邂逅に、ちょっとニヤっとしてしまった。

  • 表紙が冬だったので図書館で借りました。
    梨木さんの本は…時々とても読みたくなります。癒し……

  • 家にこもって過ごす男。外は雪が降っている。しんしんと、ただしんしんと。そこに女の子と黒いミンクが入り込んできて。幻想的。内面の世界なのか夢の物語だからか全体的にほわっと抽象的な雰囲気に包まれてるなと思ったら「りかさん」「からくりからくさ」から繋がっている物語だそうで。そっちの世界と繋がっていたのか。そりゃもう一回読まないとだな。

  • 「ミケルの庭」の続編らしい。

    うーん、読んだはずだが記憶がない。
    これだけで読むと詩集のような、なんとも繊細な話で、通勤電車の中でざわざわと読む本ではなかった。

    つながる話を集めて、暖炉の前…なんてないので、冬のコタツに潜り込んで、あるいは布団にくるまってじっくり読むのに適しているな

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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