世界を信じるためのメソッド: ぼくらの時代のメディア・リテラシー (よりみちパン!セ 21)

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  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652078211

感想・レビュー・書評

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  • 「大切なのは、世界は多面体であるということ。とても複雑であるということ。そんな簡単に伝えられないものであるということ。でもだからこそ、豊かなのだということだ。」

    またもよりみちパン!セシリーズ。よかったよぅ。
    正直、ちょっぴり中学生ぐらいにはまだ理解できないかもしれないなぁって思った。だって「市場原理」っていわれても分からないと思うから。
    それでも、大切なことは、伝わっていくのではないかな。それぐらい1つ1つが丁寧に論じられていた。
    改めて、な部分も多いのだけれど、指摘されて初めて気付くこともあった。
    特に「中立ってなに?」と言う部分の「両端は誰が決めるのか?」という点については、目から鱗。
    まさか、そんなこと思わなかったぞ、と。
    なんやかんやいっていてもメディアリテラシーは必要だし、そして、自らを信じることもまた大切なのだ。

    【8/11読了・初読・市立図書館】

  • ■結構好きですね。参加型みたいでよく問いかけられるし♪『事実』も『マスコミ』も『メディア』も最終的には人が生きる世界の産物だからとても曖昧でとてもはっきり・きっぱりしたものじゃない。だから、何を信じ、どの道でいくか。ですよねぇーそれがとてもわかりやすい言葉でかかれるし結構いいかな。

  • 自分は素直な性格ゆえ、人から言われたことやそれこそメディアで流れてきた情報を「そういうものなんだ」と捉えてしまいがちなところがある人間だ。これは昔からそう。しかし20代後半に差し掛かっている今、ようやく少しずつ違和感とかを抱けるようになってきた気もしていた。
    しかしこの本を読んでみてまだまだまだまだ自分のメディアリテラシー力がいかに低かったかを痛感させられた。メディアに失望し、同時に希望も抱けた、そんな本。
    人間は"楽"をしたいもの。特に大人になって、仕事をして、時間的余裕がなくなった状況では、尚更"楽"に何事も理解したい。本当はどんな物事だって0-1で割り切れるものなわけがない。なのに私たちはそんな世界線を気付かぬうちに望んでいて、メディアもそれに応えて、いまこの現状が存在してしまっている。
    最短ルートを求めてしまいがちだけれど、世界は複雑であるという前提に立ち返って、遠回りをしてでも自分の頭で考えられる人間になりたい。

  • 「メディアは人。人は間違える。」、「何かを撮るという行為は、何かを隠すという行為と同じ。」、「事実は一つ。真実は一つではない。」

  • 超良書。

  • 荒川図書館図書館員の太鼓ボンで興味。

  • すごく面白く、ためになった。
    メディアリテラシーに関する書籍の中で、この本は
    ◎の部類に入ると思う。

    オウムの取材時に、TV会社はみな「悪のオウム」にしたてあげることに躍起になっていた。

    でも実際のオウム真理教の人たちは、おとなしい、、良い人ばかりと感じた。。

    カメラをまわること、多面的な世界を切り取る、その行為は、他の世界を切り捨てること。

    。。。著者のTV局を辞めてまで通した取材に関する思いが、ひんやり伝わってくる。

    小学生向けに書かれていてわかりやすい。

    日本の戦争は、なぜ起きたのか?
    →勇ましい事を書いたら新聞が売れたから。
    どんどん勇ましい事を書いていったら、世論がそうなってしまった。

  • 気に入った言葉

    メディアは人だ。だから間違える。

    メディアは怖い。なぜなら使い方を誤ると、たくさんの人が死ぬ。メディアの情報を何の疑いもなくそのまま受け入れてしまうと、人を殺し、そして自分も殺されることになる状況を呼び寄せてしまう可能性がある。そこまで人間は愚かじゃないって?でもそれは歴史が証明していることだ。

    真実はひとつじゃない。

  • メディアリテラシーについてとてもよく理解できた。
    図書館で借りて読んだが、とても勉強になる良い本なので購入することにした♪

  • 図書館で借りた本。

    「よりみちパン!セ」なので子ども向けの本。
    メディア、特にテレビメディアの写しだすものは真実とは限らない、ということを丁寧に書いた本。

    著者は事実は一つじゃない、という。物事には多面性があるから。ただ、著者は事実と真実をごちゃまぜに使っているんだけれど(ほぼ同じ意味として)、では事実と真実の違いってなんなんだろう、と少し思った。事実も真実も同じように多面性を持っているわけで、そういう意味では同じようなものなのかも知れないが、しかし、事実は主観のない客観性を持つものではないのか、と思う。それに対して真実、とはその人が「これが事実」と信じるものだから、主観的なもの。うーん、違うかな。しかし、事実自体が非常に多面的なわけだから、真実はそれこそ人の数だけあるって事だよね。などと勝手に考えてしまったが。

    もちろん、時代によって独裁者が情報操作で民意を操作したこともあるだろうが、それ以上に今棄権なのは、情報操作されていなくても民意で世の中が動いていくことだ。しかも、ほとんど考えていない、脊髄反射の民意など、本当の民意と言えるのだろうか。

    結局「物事に対して考え続けること」「思考停止に陥らないこと」これらを人間の頭に植え付ける行為は教育しかないんじゃないかと思うんだけどね。今の日本はその反対を行っている気がするので怖い。

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著者プロフィール

森 達也(もり・たつや)
1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。テレビ番組制作会社を経て独立。98年、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。佐村河内守のゴーストライター問題を追った16年の映画『FAKE』、東京新聞の記者・望月衣塑子を密着取材した19年の映画『i-新聞記者ドキュメント-』が話題に。10年に刊行した『A3』で講談社ノンフィクション賞。著書に、『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)、『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『A2』(現代書館)、『ご臨終メディア』(集英社)、『死刑』(朝日出版社)、『東京スタンピード』(毎日新聞社)、『マジョガリガリ』(エフエム東京)、『神さまってなに?』(河出書房新社)、『虐殺のスイッチ』(出版芸術社)、『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』(ミツイパブリッシング)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)、『増補版 悪役レスラーは笑う』(岩波現代文庫)など多数。

「2023年 『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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