「美しい」ってなんだろう?―美術のすすめ (よりみちパン!セ 26)

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  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652078266

作品紹介・あらすじ

あたまのなかをまっしろにして、よのなかのいたるところにある「ふしぎ」をみつけよう。…それが「美しい」と出会うための、まずさいしょの一歩です!じつはこの本、ふだん想像もつかないような、とてつもなく広く大きく奥深い「美」の世界をたくさん用意して、あなたを待っているのです。ちょっとドキドキしますか?でもだいじょうぶ、そこへ連れていってくれるのは、登校拒否教師のモリムラ先生ですし、「美しい」と出会えれば、あなたの人生、かならず大きく変わるんですから。

感想・レビュー・書評

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  • ぼくも「美しいってなんだろう」って考えてみた。
    ぼくにとって美しいというのは、見ていてうれしいとか、いい気持ちになれるもの。今だったら、遠くに見える山に、雪の積もっているのとか。絵にも美しいものがある。
    ことばは見えないけど、優しい感じのことばが美しいような気がする。これっていうのは思いつかないけど、言い方で、美しくなったり、そうじゃなくなったりするかもしれない。(小6)

  • 美しいとは何か?というのは知りたいものだ。漢字の成り立ちからいうと、「美」は、「羊が大きい」と書き、羊が大きいのを美しいと言った。ちなみに、美味しいも、同じ美である。
    著者森村泰昌は、少し変わった美術家である。どんなことを書いているのか、私の問題意識と関連していたので、読んでみた。一言で言えば「我田引水」だった。美しいをそっちの方に持っていくのかと驚いたが、LBGTという世界を理解するのも、いいかもしれない。大阪人特有のユーモアとくらさがあって、なんとも言えない作品を生み出している。
    確かに、美しいという前に、カワイイ、カッコイイ、キレイというものがある。森村は、盛り土した墓を美しいと感じるのだ。ふーむ。
    そして、森村泰昌の出世作、ゴッホの自画像の作成に入る。美術とは、「見る、作る、知る」があるが、「自分の道を探し出す」ということから、「なる」をあると言って、名画になるのだ。
    そのことで、違った世界が生まれるという。またしても、違う方向に連れていかれる。ふーむ。
    次々に、いろんな名画になっていく。それが、質問に対して答えていくという手法で、最後まで続いた。表題の『「美しい」ってなんだろう?』とは、人によって、全く違うのよと言っていることだけわかった。ますます、美しいってなんだろうと考えざるを得なかった。

  • 金言が多すぎて付箋とメモが追い付かない。借りてよんだので、ぜひ購入して手元に一冊置きたい。

  • ■ナメテました。やばい、いいです。欲しいです。この本。
    もっと絵のことを知りたくなりました。

  • 家族の蔵書を盗み読み。森村さんの美術展は何回か見ています。著書もなかなか面白いね。

  • 芸術家と芸能人の違いは何か? と本書の中で疑問が提示される。

    そこについて明確な差はないと著者は語るが、そのこと答えは本書表題に既にあるのではないか。

    つまり、美しい(あるいは面白い、もしくはカッコいい)とはなにか答えを問うのが芸術家で、大衆の中にある答えに寄り添っていくのが芸能人ではないだろうか。

    森村泰昌は中学生に対して自らの作品を通じて、多彩なモノの見方を提示する。
    つまり、ある絵があったのだとしてその絵が美しいのではなくて、その絵を美しいと思う心が美しいのだ、と。

  • ビブリオバトルで紹介されていた本。
    この本を通じて、自分にとって美しいものが増えた気がして嬉しい。

  • 自分か絵を描く意味を考えた本

  • 世界が窮屈になって、ルールが厳格化されると、
    人間は、その常識やルールを頼りにして
    真面目に生き抜いているが、
    一方でそういう思考をひっくり返されることを
    期待している面がある。

    男性用の便器をひっくり返しただけの
    マルセル・デュシャンの『泉』(1917年)だったり、
    身近にあった大量生産品であるスープ缶を描いた
    アンディ・ウォーホルの
    『キャンベルのスープ缶』(1962年)など、
    現代美術は「芸術の概念や制度自体を問い直す、固定概念を壊す」
    ことに主眼が置かれているように思える。

    森村泰昌もまた、自分自身を被写体にして、
    世界的に有名な絵画や有名人などを
    表現するアートで有名になった。
    自分自身を作品の一部に組み込んでしまうという発想や、
    美しくなりたいというナルシシスムを感じる
    作風の数々は、どこか三島由紀夫を彷彿とさせる。

    「抽象画というのは一種のレントゲン写真なんだ」
    という考え方は、とても参考になった。


    浄土真宗の親鸞の『歎異抄(たんにしょう)』
    「善人なおもて往生をとぐいわんや悪人をや」の解釈について。

     善人が救われるのは当然だが、
     宗教とは全人類を救うためのものだから
     悪人が救えなくて、どうして宗教といえるんだ。
     何故、他のお坊さんは「悪人は地獄行きも当然」と
     何の疑いもなくとらえて、
     それでよくもまあ平気でいられるもんだ。

    「悪人は罰せられる対象ではなく、
     救うべき大テーマである」という解釈をしている。

    自分は、ものごとは善人と悪人で
    ハッキリと分けられるものではなく、
    モノの見方を変えたら善人は悪人にもなるし、
    悪人は善人にもなる。
    今まで一度も悪いことをした人間などいるのだろうか。
    己の正義を貫こうとすれば、
    現行の法律も犯してしまうこともあるだろうし、
    己の欲や保身のためには、
    悪にも手を染めてしまうこともあるのではないか。
    要するに、悪人とは、
    すべての人間を指した言葉ではないか、と解釈した。

    それだからこそ、
    「悪人は罰せられる対象ではなく、救うべきである」
    という結論に至るのは自分も同じ。
    物の見方をちょっと変えただけで
    こんなに世の中に対する姿勢が変わるのが面白い。

     酒が人間をダメにするんじゃない。
     人間はもともとダメだということを教えてくれるものだ。

     女子大生が売春してるのを嘆く無かれ、
     売春婦が大学で学ぶようになったんだから。

    は立川談志の言葉。
    これもまた同じようなことを言っている。
    こんな風にして、視点を変えてみるならば、
    世の中はもう少し寛容な社会になるかもしれない。

  • とても読みやすかったです。
    とはいえ侮れない本です。

    美しさの捉え方は個々自由でいいんだと、やさしい口調で語りかけてくださいます。

    しっかたぶりせず、単語や知識で語らず、感じたことの本質はなんなんだろうと考えることが、大事。

    そういえば過去の戦争に置いて、アートは制限されてきました。
    心の自由を縛るために。

    裏返せば、アートがある限り、人は人を認め、国際的な争いに至ることも少ないのかもしれない。

    食べず嫌いにならず、関心の種を蒔き、いつその関心が咲くのか。
    無駄なことなんてないのかもしれません。

  • 絵を見て何かを感じとれず悩んでいたが、まず「こういった表現をしたのはなぜだろう?」と不思議に思うことこそ第一歩なのだろう。

    絵画だけでなく学生の人生相談に美術を絡めて乗っているところも読みごたえがあった。成人した後でも十分読む価値のある本だと思う。

  • トリエンナーレの前に、森村泰昌さん。

    どう感じるかを味わいに、私は美術館に行く。これだという作品に出会ったときのなんとも言えない感覚の強烈な中毒になってしまったから。脳みそを揺さぶられるような驚きを感じることも、思わずにやにやとすることもある。泣きそうになることもある。
    なにを美しいと感じるか。とはいえ自分が思う美しさにとらわれすぎてもつまらない。自分の世界を広げていくという自由。どこまでも広がっていけるという、自由。


    美術とは
    「見える世界を通じて、見えない世界にいたること」

    なにかを極めた人が生み出すある種の哲学は、本当に美しいなと思います。金言の宝庫!

  • 借りたもの。
    ~高校生向けの「美」についての本。
    「美」とは何か?人に感情を揺り動かすものである。
    こわいもの、しあわせvsふしあわせ、ふしぎ、ものまね……簡単な言葉で、哲学的な部分を具体例と共に説明してくれる。
    著者の美術体験と美術解釈の足がかりになったものを、著者の作品とともに記載。コスプレのように美術をオマージュする作品は不気味でちょっと可笑しい。

  • なんだろう、この気持ち悪さは。笑
    モリムラという「美術家」を、私ははじめて知った。プロフィール上ではなんだかすごいひとのようである。
    自分が名画になってしまうという発想は面白いと思う。単なる真似で終わらせない、ヒネリ方も面白い。それを芸術作品として世に送り出してしまうというのも、だいぶとがっててステキだと思う。
    たぶん、私がこの本に感じた気持ち悪さは、こんな変わったモリムラさんが、美術その他についてとてもまっとうなことを言っている、ということからくるのだと思う。(このひと、以前は教師だったのだそう。)
    ・見ることによって見えない領域に辿りつくことが、絵画の見方だということ。
    ・大切なことは何が美か、ではなく何が美になりうるか、ということ。(絶対唯一美への信仰は、戦争を招いてしまったから。)
    本当にその通りだと思った。だけど、もうちょっととがったことを言って欲しかった気持ちもある。でもやっぱり、このひとが言わなければ、こうした言葉に感動はしなかったかもしれない。
    20140720

  • 自分のアプローチを!

    しかし、基本を押さえ!

  • よりみちパンセシリーズ3冊め。
    美術館通いにはまってるのでこんなのを借りてみました。

    名画だとか有名な画家の作品だとかいうことを抜きにして、先入観なしに作品をみることができたらもっと楽しめるんだろうなーと思いました。
    でもそれって大人にはむずかしいよ!

  • モナリザやゴッホ。絵画に「なってみる」美術家の森村さん。こんな表現、美術があるんだ!と面白く読みました。「美」とは何かについての森村さんのお話もとてもわかりやすく興味深い。よくわからない美術品に出会った時、どう見るか。自分の表現をどうやって見つけるか。若い人たちの率直な質問とそれに対する森村さんの回答も面白い。わからないものをわかろうとする姿勢、不思議に驚く力は美術だけに止まらず、生きることに大切なことでもあるなぁと思いました。

  • この本に出てくる
    森村さんの思いきっちゃったかんじの写真をみて
    ゴヤ展みにいきました( ´ ▽ ` )ノ

    美術は好きだけど
    見るのも描くのも知るのもなんだかいまいち

    そこで離れないで
    「なる」と考えついた森村さんに美術への愛をかんじました。

  • (「BOOK」データベースより)
    あたまのなかをまっしろにして、よのなかのいたるところにある「ふしぎ」をみつけよう。…それが「美しい」と出会うための、まずさいしょの一歩です!じつはこの本、ふだん想像もつかないような、とてつもなく広く大きく奥深い「美」の世界をたくさん用意して、あなたを待っているのです。ちょっとドキドキしますか?でもだいじょうぶ、そこへ連れていってくれるのは、登校拒否教師のモリムラ先生ですし、「美しい」と出会えれば、あなたの人生、かならず大きく変わるんですから。

  • 読みやすい。

  • 「正直、美術館に行ってもなんもわからん」

    「絵画なんて何書いてるか意味分からん」


    そんな方にお勧めです。
    美術館に飾ってる絵画をどう見ていけばいいのか
    画家はどういう思いで絵を描いたのか
    そして、線と四角だけの現代美術・抽象画も
    この本にかかれば貴方も絵画の虜となる。


    読んだ後はきっと美術館に行きたくなることでしょう。

  • P120他、うなったなー
    おもしろかったぞ

    ふと小学生時代社会科見学どこかの博物館だか美術館、団体行動みんな並んで見るけど合わせらんなくてひとり先行って友人に「ちゃんと見てるのか」と言われちゃんとってなんだよちゃんとってとか思ったのを思い出す。

    絵も工作も写真もやるのは結構スキではあるけど見るのはよく分からなかったりするのだ。きれーとかすげーとかいいねーとか思えばいいんじゃない。

    どうでもいいけど彼は写真家だと思ってた。としゃびの展示こないだ見行ったけど説明文大して読まなかったからか?

    いつか美大に通うのもいいなと思った
    かいたりは楽しいしね

  • ・美は決まっていない
    ・わからなくてもよい。ただ、食わず嫌いせず続けてみよう
    ・美術家に限らず美意識を持つことは重要

  • さすがに小学生用なので、とってもとっても読みやすくて分かりやすくて、しかも、新しいことも得られました。
    最初、パラパラと森村さんの写真を眺めた時、“なんだこの変態のおじさまは…”と、正直思いましたが、彼は、色々考えて、信念を持ってやっているんですね。 すごいです。

  • 美しさ、ってなんだろう? 一見きれいじゃないものも、大したように見えないものも、いつもの見方をちょっと変えれば、すごく美しく見えてくるものがある。新たな美しさの発見と人生の豊かさの関係を、トップアーティストが身近な形式で特別講義。

  • このシリーズはさくっと読めていいですね。
    日常の中でカッコ良い、でも可愛い、でも綺麗、でもなく「美しい」と感じるものを探すというのは大事なことなんじゃないだろうか。

    「美しい」と感じるアンテナを張っていかないとな〜。

    ところで、私は森村泰昌さんという方は初めて知ったのだけど、文中で多々紹介される彼の作品(ポートレート)はイマイチ感銘は受けず…。美輪明宏さんとかが女優のマネしたら面白いのに、と思ったり。


  • 購入日:2009/4/19
    購入者:桃色博士

  • 美術、って苦手だったんです。でも建築とか体感できるもの、カルティエ・ブレッソンの写真、自分の好きなものも見つけて安心。美術を楽しむ入り口はどんなところにもあるし自由なんですね。

  • ニブイ感覚を持つ人もいれば、
    スルドイ感覚を持つ人もいる。

    森村さんって、ニブイ感覚を持っていたのかもしれない。
    だから大雑把な美しか見えなかった。
    そして…深い美を見れるようになったんじゃないかな。

    普通の芸術家って初めからスルドイ感覚を持っているのだろう。
    だから、ニブイ感覚からスルドイ感覚へのナビが出来ない。

    その点、森村さんは良いナビが出来る!
    まさに大人向けの芸術家なのかもしれないなぁと思った☆

  • 「美しい」って言葉を使いたくなる。読むと頑張りたくなる本

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著者プロフィール

1951 年大阪市生まれ。1985年にゴッホに扮したセルフポートレイト写真でデビューして以降、国内外で作品の発表を続ける。近年の個展に「森村泰昌:自画像の美術史——「私」と「わたし」が出会うとき」(2016年、国立国際美術館)、「Yasumasa Morimura: EGO OBSCURA」(2018-19年、ニューヨーク、ジャパン・ソサエティ)、「M 式「海の幸」——森村泰昌 ワタシガタリの神話」(2021-22年、アーティゾン美術館)等。ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」では、アーティスティック・ディレクターを務めた。2018 年には大阪・北加賀屋に自身の美術館「モリムラ@ミュージアム」が開館。執筆活動も精力的に行い『自画像のゆくえ』(2019年、光文社新書)をはじめ多数の著書がある。

「2022年 『ワタシの迷宮劇場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森村泰昌の作品

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