あのころ、先生がいた。 (よりみちパン!セ 31)

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  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652078310

感想・レビュー・書評

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  • 伊藤比呂美の本はほとんど読んだけど、これはなんだかつまらなさそうな気がして読んでいなかった。
    だって青少年向けの本で教師の厭らしさばかりを書くわけにいかないし、立派な先生と出会って充実した学校生活を送っていた、なんて知りたくないし。
    が、意外と良かった。
    伊藤比呂美の現在の作品を読んで、古典文学と随分幸せな出会い方をしたんだろうな、と思っていたので、いい古典の先生が実際にいたことは驚かなかったけど、いい先生も「すごく立派」というほどではなく、欠点もあるし、教える内容も(受験なんかを考えれば)偏ってるし、何より、あんまり良くない先生もきちんと描いているのがいい。
    良くないといってもたいしたことなくて、普通に今もそこいらにいるレベル。
    こういう普通の日本の公立の教育を受けても、伊藤比呂美のような才能はつぶれないから、『氷の海のガレオン』なんか読んじゃって共感してるような人は読んだ方がいいと思うよ。

  • サクッと読める
    伊藤比呂美さんの書く文章が好きなのよねー
    シミズ先生とアベちゃんはウルっとした

  • 2019

  • 初めて伊藤比呂美さんの本を読んだ。
    面白い。
    他のもいろいろ読んでみようかな。

  • 著者は詩人です。ずいぶん前、宮田登という民俗学者との対談(「女のフォークロア」(平凡社)おもしろい本でした。)を読んで興味を持ち、何冊かの詩集と子育ての本を読みました。さて今回の本は、著者が出会ったいろんな先生の話です。本当にいろんな。尊敬するとか、影響を受けたとかだけではなく、名前も覚えていないような先生のエピソード。そらそうです。幼稚園から数えると、大学までの間に100人近くの先生に教わってきました。それからもう30年以上の時間がたっています。顔は思い浮かべることはできても名前は思い出せません。それでも何らかの形で思い出す先生とはどんな先生でしょうか。もちろん強い影響を受けた先生。相手はそんなに思っていなくても、こちらはとても大きな影響を受けているということはあります。それから、とってもいやな思いをさせられた先生。いまならこんなふうに言い返せるのに、なんて思うこともあります。私自身、小中学生相手に20年以上指導してきて、どれくらいの子どもたちの記憶に残っていることでしょう。できれば、良いほうの思い出として残っていてほしいものです。皆さんも、本書を読んで、今までに教わった先生をちょっと思い出してみてはいかがですか。

  • 先生っていいよね〜

  • 大人には懐かしく、子供たちにはもしかしたら新鮮な、昭和の先生方がたくさん出てきます。
    うんうん、良かれ悪しかれフツーじゃない先生って印象に残ってるよねw

  • 通りすぎてきた、あの先生。この先生。 学校なんてだいきらいだったあのころ。 幼くて自分勝手で恥ずかしい昔のわたし。 蘇る。 色を持つ。 動き出す。

  • 伊藤比呂美はこないだ『女の絶望』を読んだが、それと同じく、『虹色ドロップ』で夏石さんが紹介してるのを読んだら、また読みたくなって借りてきた。

    探してみたら、私はこの本を2008年の3月に読んでいた。伊藤比呂美が、かつて習った小・中・高の先生のうち、おぼえてる人について書いたもの。

    また読んでもやはりおもしろい。私も「おぼえてるセンセイの記」を書いてみようかな~と前に読んだときにも思ったが、このたび読んでもやはり思った。

    常識の蹴やぶりかた。
    自分をつらぬく強さ。

    そんなのを、伊藤比呂美はあの先生、この先生から学んだのである。

    伊藤がその授業が好きだったという、高校家庭科の「直立カバ」先生。ああ、伊藤の時代にも、「柔道か剣道」という男子選択の授業と「家庭科」という女子選択の授業は同じ時間にあったんやなと思った。私が高校生のときも、私が通っていた高校はそうだった。そして私は、伊藤の同級生にもそういう人がいたように、この選択が男女によって分けられることに(なんで?)と思っていた。

    赤ん坊の具合がわるいときのウンコの状態をうつすスライドを見せられながら、(こんなん女子だけが見てどないすんねん)とずっと思っていた。近所の別の高校では男女共修でやってるらしいとなぜか私は知っていて、私の学年を担当していたタタバアが調理実習に「白い割烹着」をもってこいと言うような人であったせいもあって、私は家庭科という教科は決してキライではなかったが、女子だけが家庭科というのは、ほんとうにむかむかと気分がわるかった。

    おそろいの白い割烹着は、きもちがわるすぎるし、ウチには前を覆うエプロンはあっても割烹着はなかったし、新しく買うつもりは全くなく、私は色の布で割烹着を自分で縫って、タタバアに何を言われようと、美術と兼用でその割烹着で授業に出ていた。

    夏石さんが書くように「こんな先生が、伊藤比呂美に味付けをしたのか、と楽しくなってくる」この本は、ついでにつるつると、「自分にとっての先生」を思い出させて、やはり私も「おぼえてるセンセイの記」を書きたくなるのだった。中2のときの古文の先生とか、小6の担任だった先生とか、高校の現社の先生とか。

  • イラストもかわいく文章もよかった。ああ、こんな先生がいたなって自分の小学生、中学生の頃を重ねた。名前さえ忘れてしまった先生でも心の中に今も残っている。

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著者プロフィール

伊藤比呂美
1955年、東京都生まれ。詩人。78年に現代詩手帖賞を受賞してデビュー。80年代の女性詩人ブームをリードし、『良いおっぱい 悪いおっぱい』にはじまる一連のシリーズで「育児エッセイ」という分野を開拓。「女の生」に寄り添い、独自の文学に昇華する創作姿勢が共感を呼び、人生相談の回答者としても長年の支持を得る。米国・カリフォルニアと熊本を往復しながら活動を続け、介護や老い、死を見つめた『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』(萩原朔太郎賞、紫式部文学賞受賞)『犬心』『閉経記』『父の生きる』、お経の現代語訳に取り組んだ『読み解き「般若心経」』『たどたどしく声に出して読む歎異抄』を刊行。2018年より熊本に拠点を移す。その他の著書に『切腹考』『たそがれてゆく子さん』『道行きや』などがある。

「2022年 『伊藤ふきげん製作所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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