どんとこい、貧困! (よりみちパン!セ 46)

著者 :
  • 理論社
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652078464

作品紹介・あらすじ

競争、無関心、上から目線。誰もが誰かを、そして自分を痛めつづけ、人間の尊厳も社会のシステムもボロボロになってしまったいま、派遣村村長が静かな情熱をもって子どもたちに書き下ろす。ごまかさずにあきらめずに、もう一度、希望をつくりだそう!特別対談・重松清×湯浅誠。

感想・レビュー・書評

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  • 派遣村の村長さん、だったのですね。
    「自分をつくるテツガク」にもお名前が出てきていて、あら、たまたま続けて読んでるわと思いました。

    「自己責任」。多く見かけますね、この言葉。
    苦しい自分より、誰かがしあわせなのがゆるせなかったり
    他人の不幸を喜んでいる自分自身に気付いてしまったり
    それにすら気が付かずに、呪うように言葉を吐いたり
    自分もまわりも、余裕がないなと感じることはあると思います。
    完全に心が「キレイ」な人なんているのかな?
    もしいたとしても、その人はそこまでの道で達観するなにかに出会っているのだと思います。

    がんばりつづける、のはしんどいです。
    弱いところをついて、己を良い状態に保つのも、しあわせではないと思います。
    「だって、しょうがないじゃない」と諦めずに暮らしたい。
    声をあげ続けることは、攻撃があったり色々大変だと思いますが
    みんなが「だいじょうぶ」である社会を願わずにはいられません。

    関係ない、と思わないでほしい。だって、大半の人は関係なくない。
    子どもも、大人も、ふと立ち止まって読んでみたらいいと思います、
    自分は、思ったよりも「染まって」いる自分、心の影の部分に気が付くきっかけになりました。

    ただ、湯浅さん本人もおっしゃっているように、「こういうことを言う人もいる」という視点は忘れずにいようと思います。盲目的になると、それも、ある種の思考停止になってしまいます。

  • 貧困って他人事じゃない。ニュースで見る世界の貧困(絶対的貧困)と日本の(相対的貧困)とは少し意味合いが違うけど。予期せぬ病や事故で働けなくなり負のスパイラルに落ちたとき、すでにそこから抜け出せない人たち。弱者の弱みに付け込む低い労働条件。そこで向き合い活動し続けている湯浅さんはすごい人だと思った。日本の社会のセーフティネットをよく知り、社会のしくみを造る政治から目をそらさず、モノいう一市民を目指していきたい。


    ・日本の社会は余裕のない“がんばり地獄”
    ・“承認欲求”が満たされないと心がすさむ
    →他人を否定し自分はまだマシと思うことで補う
    ・生活保護
    ・貧困に陥ったときの選択肢
    ①家族に頼る
    ②自分
    ③罪を犯す
    ④ホームレスになる
    ⑤NOと言えない労働者になる
    ・人によって“溜め=条件”が違う
    ・説教からは何も生まれない
    ・弱っている相手を黙らせる=弱い者イジメ
    ・セーフティネット、社会保障
    ・「話を聞いてほしい」自己責任⇄社会の問題
    ・活動家=ある問題について真剣に考えいてその問題を、なんとかしようと思い悩み動く人
    ・子どもはシラフで生きている

  • 「貧困オバケ、ヒンキーよ、来い!」ってわけでは勿論なくて、貧困生活が我が身にふりかかっても、「逃げずに、目をそらさずに立ち向かおう!」という勇気をくれる本。というか、まず、貧困は日本にどんどん広がりつつあり、しかもそれは、努力が足りてなかったからとか、不真面目だったから、とかではなく、日本社会の構造的な問題だと気づかせてくれる。そう、普通に生活していても、貧困を強いられてしまう人が増えてきたのだ。でもそれをあきらめちゃダメだ。声をあげて、変えていかないとダメだ、と。
    これから社会に出て行く若者にぜひ読んで欲しい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「若者にぜひ読んで欲しい。 」
      湯浅誠の熱い思いが伝わると良いですね!
      「若者にぜひ読んで欲しい。 」
      湯浅誠の熱い思いが伝わると良いですね!
      2013/05/21
  • センスのいい本だと思う。冷静で、本質的で、経験に基づいている意見なので、ただ単に正義を訴えているのとは違うのもわかった。でも、著者個人の価値観以上のものがやっぱり見いだせない。生きづらい社会は誰だっていやだけど… もっと根拠を言ってほしかった。子どもも読める本だから仕方ないか?
    それから、本のデザインとイラストが最高に素敵。そのセンスが☆2つ分!

  • 「自己責任」を疑え、生きろ!

  • 競争、無関心、上から目線。誰もが誰かを、そして自分を痛めつづけ、人間の尊厳も社会のシステムもボロボロになってしまったいま、派遣村村長が静かな情熱をもって子どもたちに書き下ろす。ごまかさずにあきらめずに、もう一度、希望をつくりだそう!特別対談・重松清×湯浅誠。

  • 世の中に広く深く浸透している自己責任論に、ちょっと待ってほんとにそうかな?って視点やエピソードをたくさん集めてる本。イスとりゲームでいすが取れなかったら、その人が悪いのかな?じゃあ始まる前から、誰かはその立場になることが最初から決まってることはどうなのかな。
    最後の方に書いてある、相手の反論を許す余地、溜めが、すごくすごく大事だなぁとおもった。何事も、正論が心に響くわけじゃない。
    まさにアウフヘーベンだなと思った。

  • この世で最も嫌な言葉は「自己責任」です。
    それを徹底的に否定して、対策を声を上げて提案しています。
    10年近く前に出た本ですが、今の方が響くものがあるかもしれません。ここに書かれていることは貧困だけでなく、様々なマイノリティの問題に通じるでしょう。

  • ●出てきた結果を比べてそこから遡って努力の量を測れば、大きな結果を出した人はたくさん努力したことになり、小さな結果しか出せなかった人はあまり努力しなかったことになる。こういう見方(成果主義的努力観と言う)が、自己責任論を増やし育てる培養器になっている。結果が全てだよと言う考え方だ。そこでようとされていないのは、「その人なりの努力」だ。その人の(溜め)に応じたと言うことに等しい。

  • ずっと残っている本

    田舎から都内の有名私大に進学した、世間知らずの学生に、自己責任論の危うさを認識させた一冊。

    自分が手にしたものが如何に周囲の助けによるものなのか、気付かされたと同時に、分け与えることの必然性を理解した(つもり)

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著者プロフィール

「反貧困ネットワーク」事務局長、「自立生活サポートセンター・もやい」事務局長。元内閣府参与。

「2012年 『危機の時代の市民活動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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