ゴーストハウス

  • 理論社
3.61
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本棚登録 : 207
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652079065

作品紹介・あらすじ

どうしてぼくたちが天国に行けないか知ってる?引っ越してきた古い家に待ちうけていたものは…背すじを凍らせ心をゆさぶる幽霊ストーリー。ファンタジーの名手がおくる哀しい愛の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 『ゴーストハウス』
    とにかく暑い。毎日。毎日。
    私はあまり怖い本を読まないが、なんとなく涼しくなりそうで、特設コーナーに目を向けた。

    まず表紙に引きつけられた。イラストを担当されたのは、七字由宇(シチジ ユウ)さんというそうだ。
    子供のような絵、タッチなのに、計算されつくした歪み。怖い。
    作家は知らない名前だが、手にとってなじむ単行本サイズ。読んでみようかなとめくった黒一色の表紙裏に

    ぼくたちが見えるの?

    と一行だけ。
    ひえーーーー‼︎である。たち、ということは複数なんだろうか。ゴーストハウスということは、館モノか。これは、、涼しくなれそうだ。


    そんな感じで図書館から連れて帰りましたが
    結論からいうと、思ったほど怖くはなかったです。

    幽霊モノとして怖い、というよりも母親の狂気が先立ってしまって。幽霊だから怖い、が薄らぐ謎展開。私だけかもしれませんが。

    子供たちと主人公との絡みがいつ始まるかと期待しながら読み進めましたが、ほぼ絡まない不思議な構成のまま物語は別の展開(主題と回収)をみせて終了します。
    好き嫌いわかれるかもしれないです。

    幽霊が「風」に物理的に流され、かなり動きに制約をうける、 死んだ後の世界が「天国か地獄」とは微妙に違う類のもの、 といった設定は珍しいのかな。幽霊モノが好きで、一風変わった物語を読みたい方にはいいかもしれません。


    --
    後半の展開。母親がアレから逃げ回るくだりであんなに元気(飛び出していく)だったのかが納得できず、個人的には星2。表紙が良かったので、もうひとつプラス。

  • 読んでいて疑問がふつふつと。
    少年がなぜ死者と会話したり、死後の世界を見たりすることができるのか。もちろん、持病があり、父が死んだばかりなので、死が身近にあったわけだが、それでも死者すら詳細を知らない「悪夢の道」をはっきりと見ただけでなく、そこにいるものを救済すらしている。
    女の幽霊の、死後も現世に留まる理由が今一つ納得できない。娘を殺した訳ではないのだから、死んだら最愛の娘と一緒にいるのが幸せだろう。
    結末が、とってつけたような印象。初めに聞いた幽霊の謎めいた言葉の謎解きもなく、最後に無理矢理辻褄を合わせた感じ。
    まあ、キリスト教的な因果応報の天国・地獄ではなく、悪いことをしていなくても地獄の様なところにおちてしまうという設定は面白いのだが、そうするとどうしてもそこに堕ちた人を救わないと物語として収まらず、そこをまとめるために無理な結末になってしまった。
    子どもにはホラーとして楽しめるかもしれないが、名作とは言えないし、別に子どもに薦める必要も感じない。
    ウェストールの『禁じられた約束』や『かかし』の方がゴーストものとしては出来もいいし、読み応えもあるし、人間がよく描けていると思う。

  • 児童書高学年向け。死者の記憶に触れる力を持つ喘息持ちの少年が、母と一緒に古い屋敷へと引っ越してくる。そこにはあの世に行けない子供たちの幽霊と、そして〈あの人〉が潜んでいた。
    独特の世界観に引き込まれる幽霊譚でダークファンタジー。面白かったです。
    喘息が苦しそうでつらいです。でも主人公がんばった。目まぐるしい展開の中で、常に流されないで自分の頭で、どうしたらいいかを考えてるんだよね。
    母の愛、強い想いがいつしか執着と狂気に変わっている。皆、何かを失っていて、救いを求めているけれど、誰かの大切なものを奪ってまで救いを求めてしまうことは哀しい。それでも、だれかは君のことをみてくれているんだという優しい話でもありました。

    (気になった点メモ)敵役となる屋敷に住まう母親の霊が、なんでこんな特別な存在(他の霊を引きとどめエネルギーを奪ったり人に憑依したり)になってしまっているのかは、思いの強さだけで説明されてしまっている気がして、こうして振り返ってみると少し気になった。それともこの世界観ではよくあることなのか。というあたりは、もう少しすっきりしたらよかった。とはいえ、読んでるときは、描写の凄みと怒涛の展開で、ぐいぐい読めてたんですけれども。ね。

  • 父を亡くしたばかりの少年ジャックが、母親と引っ越してきた家。そこには子どもたちの幽霊と、女の人の幽霊がいた。

    幽霊たちとの心温まる物語が展開していると思っていました。しかし待っていたのはとても怖くとても恐ろしい物語でした。
    死の瞬間にあっちの世界からいとしい者が迎えに来てくれる。しかしそれを拒むと幽霊として地上に残ることになる。そして幽霊としてのエネルギーが尽きると、死よりも恐ろしい悪夢の道に飲み込まれてしまう。
    娘を亡くしたことにより、あっちの世界に行くことを拒んだ女の幽霊。彼女は自らのエネルギーの補給源として、子どもの魂をさらい幽霊として閉じ込めてしまう。
    そこにやって来たジャックに対し、女の幽霊は子どもからの愛情欲しさに近寄る。ジャックから拒絶された彼女は、ジャックの母親の体を乗っ取ることにする。

    完全にホラーです。喘息の持病を持つジャックは、ショックや感情の起伏を原因に発作が起きる。命の危機にさらされながら女の幽霊に対抗するのです。
    子どもたちの幽霊は必死に女の幽霊に抵抗しつつ、ひとりまたひとりと女の手に落ちていく。
    女の幽霊がそこまで子どもに執着するのは何故か。女の娘の死の真相とは。

    心臓をぎゅうっと掴まれるような恐怖の先にある、ラストシーンの素晴らしさ。幽霊譚の新たな一幕を見ました。

  • 陰惨なようなそうでないような。ラスト泣かされた。

  • 2016.6.3

  • 娘が何度も読んだ、というほど好きな本。
    やっと私も読んでみた。面白かった。児童書だからといって侮れない。

  • ことのは遊びのシーンがとても好きで。
    何よりこの人の作品の有り得ないのに実現してしまう大どんでん返しがとてもしあわせ。

  • 母親幽霊が怖すぎて怖すぎて。
    幽霊的な怖さよりも、彼女の子供に対する狂気じみた愛がゾッとした。
    ラストの一文が凄いですね。
    本編をちゃんと読まないと結末が分からない。

  • 父親を亡くし、古家に越してきた2人の母子。

    そこには1人の女と3人の子どもの霊が棲んでいた。

    ぼくたちが 見えるの?

    ねえ、どうしてぼくたちが天国に行けないか 知ってる?

    ***
    決して可愛らしい児童書などではありません。描かれているのは幽霊の怖さではなく、狂気じみた怖さ。
    今は恐ろしい幽霊の、どうしようもなく優しい過去に切なくなります。でも深すぎた愛が狂気に変わるその瞬間が、私には理解できませんでした。

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