ラン

著者 :
  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652079331

感想・レビュー・書評

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  • 「ラン」最初に読み始めたときは「ラン」とはどういう事だろう?と思っていました。亡くなった家族に会うためには自分の力で40kmを走らなくてはいけない。運動が全然できない主人公が40kmという長い距離にチャレンジする物語。最初は結構家族を中心に描いていましたが途中からは走ることや仲間のことなどを中心に描かれていました。

  • 結構分厚いなぁ、463ページ。初めての作家か…直木賞受賞ね…ランって書いてあるし、読んでみようかなと、いろいろ考えてから読み始めた。

    13歳の時に家族を事故で亡くし、年前に同居していた奈々美おばちゃんを亡くし、超後ろ向きで、内向的な主人公・環は、仲良くなった自転車屋さんの紺野さんの息子に渡す予定だったロードバイク・モナミ1号をもらい、生きて「あの世」に紛れ込むことができるようになる。そして、そこで死んだはずの家族と再開する。だが、本来の持ち主で、亡くなった紺野さんの息子が、セカンドステージに行けるようにロードバイクを返し、自分の力でまた、家族に会いに来るためにランニングを始める。

    「たら」、「れば」は人生を後ろ向きにすると、父に教えてもらったはずなのに、こんなに後ろ向きの人生を選択する環は13歳から成長するどころか後退してるではないかと、イラッとする箇所がいくつもあった。そのせいか、読み進めていても、何故か作者は何をを伝えたいのだろう?っと、終始考えてしまう。

    作品としては、軽くて後ろ向きな環がいつしかチームメンバーを受け入れフルマラソンで目標を達成し、チームを受け入れるようになる…と、いうストーリーだろうと誰しもが想像できる。一見ポジティブなように思えるのだが、本当に伝えたいことは何だったのだろうか。

    人間必死になればなんでもできる…違う、もっと大切なこと。後ろ向きの性格を克服し、成長していく環…これも違う。チームワークの大切さ…疑しい。

    もし、私だったら、この作品を読んだ読者に「人生を走り抜く大切さ」をランというタイトルとかぶせて、分かって欲しいと思う。
    私もランニングで、ほぼ毎日12キロくらいは走っているが、走っている間は、辛いし孤独を感じている。でも、走り切った時は、今日も走ったと言う達成感と充実感がある。人生は辛い時もあるだろう。でも、命が尽きる時に人生を走ってきた充実感を感じる生き方をしたい。勝手な解釈ではあるが、だからこの本のタイトルがランのような気がした。

    そう考えると、環の「新たな出発」とタイトルのランの関係が、もっと素敵に思えてくる。

    • kurapapaさん
      森絵都さん、「カラフル」「みかづき」とか読んで好きな作家さんなんですが、「ラン」は読んで無かったです。レビュー拝見して面白そうなので、今度読...
      森絵都さん、「カラフル」「みかづき」とか読んで好きな作家さんなんですが、「ラン」は読んで無かったです。レビュー拝見して面白そうなので、今度読んでみます!
      2020/05/28
  • 2017(H29)12.18読了

    直前に読んだ『リズム』が全然だった分、読み応えがあった。
    児童文学っぽい方向は向かない、ことが判明。

    さて本作。
    不幸(だと思っている)女性の成長記。
    自分の不幸を過去のせいにして、だから不幸から脱却できないのだけど、色々な出会いが彼女を変えていく。
    表題も、初めと終わりとではその手段が変わっている。
    貫くものは何だろう?と考えながら読んでいたが、表題が『RUN』ではなく『ラン』なところがミソでしたね。

  • 爽やかな読了感と、ちゃんと結末を迎えたかったモヤモヤが同居しています。

    自分は不幸だと思うことってある。
    なんで自分ばかりと自暴自棄になってしまうことってある。
    そんな時に他の人と比べてしまって、あの人は幸せそうでいいなぁなんて思ってしまう。

    しかし、実際は誰しもが多かれ少なかれ悩みを抱えて、それでも生きている。

    不器用な人達の、一所懸命ってこんなにも響くんだなと、物語の素晴らしさに感動しました。

    人生はいつからでもやり直せる。

  • ひどくネガティブな目標に向かって、ポジティブに頑張る、というアンバランスさが意外でおもしろかった。

    ランニングを始めたばかりのときの、主人公の独白が、「うんうん、わかる」と共感した。
    少し走ってすぐ呼吸が上がって、「苦しい、苦しい、苦しい。でもあともう少し、せめてあの電柱まで」(若干文章が異なる)。
    今までに少しでも走ったことがある人なら、走っているときの主人公の気持ちにはすぐに共感できると思う。

    私も今、ネガティブな目標に向けて毎日を生きているけど、たとえネガティブな目標でも、それを達成するために必死に生きることができたら、この主人公のように、最終的には「死ぬ」ことではなく「この世を生きる」という目標に向けてシフトチェンジができるんじゃないかな、とかすかな希望を抱いている。

    どんなに後ろ向きな目標だって、それが最終的に生きる力になるんだったら、だめじゃないと思う。
    そんなことを感じた本だった。

  • 序盤は家族もののファンタジーかと思いましたが、タイトル通り、走ることがテーマになってきました。自分もウォーキングを1年以上続けていますが、自分の体が変わっていき、自信がもてるようになりました。何より習慣化されました。それぞれのキャラクターも良かったです。続編もできそうですね。

  • 面白かった。胸くそ悪くなるくらい嫌な印象だったおばさんを最終的にこんなに好きにさせるなんてすごいと思った。ものごとを色んな角度から見なきゃいけないと思った。安っぽい青春物語になってしまいそうなストーリーにファンタジーを足した、どんな方向に進むのか不安になるようなあらすじだけど、その中にも謎のリアリティがあって共感してしまう部分があった。カラフルなど「森絵都」の書く物語には設定の違いはあれど、死生観に一貫性が感じられるので好き。

  • 500ページほどの厚い本だったけれどもスラスラと半日で読みきった。ジョギングから始まってやがてフルマラソン出走というありがちな図式にハマっていくとみせつつ、紙一重で連なるあの世とこの世を往来する主人公とそれを取り巻く人々の想いと葛藤を絡み合わせていくことでストーリーに厚みがでてページ数も増えたかな。

  • 分厚い分、読み始めるまでに時間を要したが
    読み出すとするする読めた。
    前に進む気になれた本

  • 生きていれば、何だってできるのよ
    生きていてもできないことはあるんだけどなぁ

    この両方に、うんうんと頷いて読んだ。

    ステージが上がっていく話、実は実際もこうなのでは?と思ってしまった。

  • 前向きになれる本はたくさんあるけれど、
    前向きになって、さらに、よーいドンで、
    走り出したくなる本は少ないのでは?

    悩んでる人、凹んでる人に勧めたい本!

    ・後ろ向き、マイナス思考、人付き合いが不器用……と、
     主人公が完璧じゃないのがイイ!
    ・なにげない表紙のイラストも好きです。

  • 久々の、森絵都。あたたかかった。家族、死、変化。ところどころ重たくても、爽やか。天晴れ。

    ラスト前がいちばん泣けた。
    続きがあればなあ、と思ったけれど、その続きを想像して楽しめるのが、これまた良いのかもしれないなあ。


    2013.05.31

  • 読みはじめたらとまらなくなるから、ゆっくりゆっくり、ページをめくった。

  • 思った以上にファンタジー。でも、走ることを通して少しずつ変わっていく登場人物たち。それぞれ何かを抱えているけど、走ることで立ち向かっていく力になる。100mでも前に進めたら、その分だけは自分が変わったことになる。力強い小説。きっとかっこ悪くボロボロになりながら進む。でも、進める。

  • 一気読み。

  • 森絵都さんの話って、この世とあの世が近いのでしょうか・・・。
    あの世へは、三途の川は渡らないんですね(笑)普通の生者には見ることができない道でつながっている・・・。

    それが40キロという距離なのがいい。

    遠すぎず、でも簡単には超えられないところが。

    いやあ・・・人生・・・・です。

  • 前半、ネガティブを絵に描いたようにネガネガ全開の環にイラッとする方も多いようですが、そこはやっぱり、「ラン」のタイトル通り、最初から飛ばしすぎるとあとで息切れするのです。

    最初、モナミ一号でちょっと遠出するだけでも筋肉痛になっていた環が、もう会えないはずの家族に会うために自分の足で走り出す。
    そこにある不器用なひたむきさが胸を打ちます。

    冥界のファーストステージで、亡くなった人たちの記憶が、苦いもの、哀しいものから順に「溶けて」いき、次にはきれいな思い出すら溶け、ついには自分そのものが溶けてつるつるになる、という設定は、フィクションながらもなんだか頷けてしまいました。

  • 続きを書いて欲しいような…でも先を知りたくないような。
    続編出して欲しいような、出ても読みたくないような…、そんなラストでした。
    大島くんと主人公のこれから、家族とのこと、リーダーの想いはどうなるのか…お父さんには許されるのかな、とか。
    私も走りたいなーとか思いました!青春っぽくてすがすがしい。

  • 運動神経零なみなしごな主人公が天国と現実の境目にいる家族に会うために42.195キロのフルマラソンに出るためにマラソン同好会(?)に入る話


    …この説明じゃ意味ぷ~だなぁ

    でもカラフルを読んだことのある人にはこの説明でなんとなくピンとくるかも

    なんだか死んだ人って言うのはこの本に出てくるような世界に行ってしまうような気がした
    白にならないと天国にはあがれないんだよね
    自分の中の汚いものを洗い流して
    綺麗なものすら洗い流して
    まっさらにならないと天国には行けないし生まれ変わることも出来ないのかもしれない

    それは人間であることをやめることで『無』になることなのだろうけど

    ファンタジー要素と現実のマラソン要素とが不思議に混合されたお話

    主人公にいまいちインパクトが無いんだけど、それは森さんの特徴かもなぁ~

    優しくなれるお話でした

  • 自転車を走らせて
    死んだ家族の下へ行ける
    というのがおもしろい

    マラソンを始めて
    最初はだめだめでも
    少しずつ
    変わりはじめる主人公を

    気が付いたときには
    応援してた

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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