バーティミアスソロモンの指輪 3 スナネコ編

  • 理論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652079867

作品紹介・あらすじ

ソロモンの指輪が軍隊を放つと宣告されたその日まで、あと一日-宮殿のかたすみで一匹の"スナネコ"が目をきらめかせていた。それは、最上級の獲物をねらうバーティミアスの姿だった…。

感想・レビュー・書評

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  • (ヤモリ編の感想を兼ねています)
    忠誠を捧げていることと、奴隷でいることとの間に、一体どんな違いがあるのだろう。人間が忠誠のために命を捧げることを、妖霊は奴隷と変わらないと一笑しました。自分が奴隷であることに気付いているかいないか、その違いがあるだけだ、とバーティミアスは言っていたのが印象に残っています。
    アズマイラが忠誠心と真実との間に板ばさみになっていく様子が痛々しかったけれど、最後の最後で、きっと彼女は憑き物が落ちたような表情をしていたんだろうなあ、と思います。フェニックス編での任務だけに忠実でいようとする彼女の姿も好きだったけれど、「裏切り者」と呼ばれてからの姿のほうがとても清々しくて好きでした。
    そして追いかけっこをするバーティミアスが独白した、
    ――あいつは矛盾のかたまりだ。意志がかたく、おれが今まで出会ったどんなエラい魔術師よりはるかに勇敢だが、そのくせ変にまごついたり、へそを曲げたり、まったく自身をなくしちまったりする、おまけにまちがった決断をすることにかけては、とびぬけた才能を発揮する――
    あたりの文章を読んでにやにやしてしまいました。でもそんな人たちを、これからおまえは好きになっていくんだよ! ひねくれながら! プトレマイオスもナサニエルもキティも!
    フェイキアールと一緒になってアズマイラを食べようかと言い争っているところもバーティらしいなあと考えていました。結局のところ意志の強そうな人間が好きで(自分は認めないけれど)惹かれているのだと思います。そうして、そんな人たちもまた、バーティミアスのそんな内面に気づいてしまうんだろうなあ。アズマイラが最後に、その身分を楽しんでいるんでしょうと彼に告げていたように。
    彼らから解放される際のバーティミアスがうきうきする様子は、毎度毎度見ていて嬉しくなるなーと感じます。未熟な魔術師たちをねぎらってみたり、小粋なトークをかましてみたり。壁画に落書きをするシーンは楽しそうな様子が伝わってきました。
    またいつか続刊が出たら嬉しいなあとお祈り。いつまでも大好きです!

  • 面白かった
    ここ一か月以上
    バーティミアスシリーズ本に取りつかれていて(笑)
    ずっと読んでいた
    おかげさまで 読める本はほとんど完読出来ました
    ソロモンの思い描いていたイメージがちょっと違って
    驚くこともあったけれど
    又、続きが出てきたら
    読んでみたいシリーズ
    ジョナサン・ストラウド作品は初めて読んでみたけれど
    この人、とてもいいアイデアを持ってる
    そして、世間に残すことなく発表出来てる
    運のいい作家さんだと思う

  • 1巻~3巻の感想。
    まずバーティミアスの過去が読める贅沢さに感謝した。ソロモン王と一言二言言葉を交わしたことがあるっていってたが、まさかソロモンの指輪を盗むという無理難題な仕事をこなしているとは思わなんだ。
    カーバのもとで8人のジンたちが働かせられてるところが個人的に好き。特に、フェイキアールが生き生きとバーティミアスと口論している姿を見られたときは感動した。フェイキアールが妖霊たちの解放について話をしたときは、「プトレマイオスの門」でフェイキアールがもう二度と異世界に戻ることができなくなり、自分のやり方が間違っていたと知って諦めて死んでいったことを思い出してやりきれない気持ちになった。外伝ではこの2人が敵ではなく味方ということも、本編3部作では見られなかった関係なので、個人的にすごくうれしかった。

    そして、外伝で初登場のシバの女王の奴隷…ではなく、世襲の近衛兵であるアズマイラ。彼女は女王にソロモン暗殺を頼まれ、はるばるシバからエルサレムへやってきたのだが、ソロモン王の話を聞いて、自分がどうしたらいいのかまったくわからなくなってしまった。
    彼女はソロモン王から指輪を手に入れるが、結局バーティミアスのはからいで指輪はソロモン王のもとに戻ってくる。このときに指輪の力によってエルサレムに連れてこられた女王の態度で、アズマイラの心の鎖は断ち切れた。彼女もやはり、バーティミアスと同じように奴隷だったのだ。

    どんなものでも、結局は何かの奴隷なのだと思う。アズマイラもシバの女王の奴隷ではなくなったが、また別のものの奴隷になるのだろう。本人に自覚はなくても。これはアズマイラだけでなく、おはなしの外の世界に生きる私たちにもあてはまるのだと思う。
    これは避けられることではなくて、生きるということ自体が、そういう性質をどこかに持っているんじゃないかな。アズマイラはバーティミアスが奴隷であることを楽しんでいるっていってたけど、彼はつまり、生きることをだれよりも楽しんでるんだと思う。

    今回の外伝で一番好きな場面は、バーティミアスがソロモンの指輪を使ったところ。ジンが強力な妖霊を呼び出す…前代未聞でものすごく興奮した。
    もう少し詳しいところが知りたいと思ったのは、カーバとアメットの関係。なんでアメットはカーバのことを愛しているのか…すごく知りたい。

    バーティミアスを知ったのは最近だが、この短期間で本当に大好きな作品になった。個人的に、キティのその後のおはなしがすごく読みたい。いつか書いてくださることをいのる。

    いつかまた会う日まで!!
    ありがとうバーティミアス。ありがとうジョナサン・ストラウドさん!!!

  • バーティミアスの人間臭さが好きだ

    カーバとアメットが打ち解けていく過程を見てみたい

  • 相変わらず面白い!

  • 最後にバーティミアスシリーズ読んでから、6年くらい経つけど、やっぱりこの話は面白いと思う。

  • 目的が気に入ったら嬉々として従う、気に入らなかったら従わないことに全力で努力する。そんなバーティミアスが好きだ。
    アズマイラがなんとなく好きになれなかったなあ。魔術師じゃないからっていうのもあるだろうけど、バーティミアスが一枚上手になっていて、後半アズマイラが目立たなかった。
    やっぱり私はナサニエルとバーティミアスの、お互いに反発してるコンビが好き。
    一巻はいつ動くかとじれじれしていたけれど、三巻はどんどん状況が変わり飽きない。求めていたのはこれだよ、と楽しく読めました。

  • このシリーズは、シリアスだったり暗い展開が続くのは苦手でも、皮肉の効いたバーティミアスの愉快な脚注のおかげでどんどん読み進めることができるのが最大の魅力です!

    指輪の妖霊やアズマイラとの、バーティミアスがずっと求めている(だろう)、お互いに敬意を持った対話や関係が結べている場面はとてもいい感じです(^-^)

  • 2巻3巻は一気に読んじゃったよ。
    バーティミアスが奴隷の身分でも甘んじて受け入れて、その状況を楽しんじゃうっていうのは彼の性格やけんできることなんやろうけど、あの書き方やと、そうじゃなくて、その身分でいることそのものを楽しんでいる、と言ってるように見えてしまう。うーん…そういう状況でも楽しめるっていうんだと思ってたんだけど…なんかちがうなあ…
    最後の最後で腑に落ちない。

    アズマイラがすごくヒーローっぽい準主人公やったからどうなるんかと思ったけど、それならそれで、やっぱりアンチヒーロー貫いてておもしろかったです。ラストはあの展開以外になかっただろーなー。
    これでもっと、ハッピーエンド色がなくなればもっと楽しいんだけど、児童書ファンタジーにそこまで求めちゃだめなのか?

  • ソロモンの指輪、無事解決。
    やっぱりバーティミアスおもしろい。
    どんなに困難と思われることでも、実はそれを実現不可能にしているのは、自分自身かもしれない。そういうことを考えさせられた。

    シバの女王の近衛兵という誇りにがんじがらめになっていたアズマイラもバーティミアスやソロモン王との関わりによって、柔軟な考え方のできる大人の女性に一歩近づいた。

    長い時を生きるジンにとって、十年や二十年などあっという間だと思うのに、もうしばらく二人でコンビを組んでいてもよかったのでは?
    しかし、この潔さがアズマイラのいいところなんだよね。
    また、番外編的なものが出ないか期待してしまう。

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著者プロフィール

イギリス、ベッドフォード生まれ。7歳から物語を書き始める。子どもの本の編集者をしながら自分でも執筆。「バーティミアス」三部作は世界的なベストセラーになる。著書に『勇者の谷』(理論社)、「ロックウッド除霊探偵局」シリーズ(小学館)などがある。現在は家族とともにハードフォードシャーに暮らしている。

「2021年 『スカーレットとブラウン あぶないダークヒーロー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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