- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652086315
作品紹介・あらすじ
父は虎になった-。そんなこと、簡単に信じられるものではない。ぼくだってそうだった。しかし、父に会った、という人物からもらった手紙には、父がその場で詠ったという一篇の漢詩が書かれていた。その詩には、虎になった人間にしかわかりえない、悲痛な心の叫びがこめられていた。父の血をひくぼくも、いつかそうなってしまうのだろうか。それはちょっと勘弁してほしい。父がどうして虎になったのかを知りたい。それが波瀾万丈にして、不思議な旅の始まりだった…。言葉の魔術師・柳広司が放つ中島敦『山月記』に想を得た、奇想天外な変身譚。
感想・レビュー・書評
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父が虎となり、主人公は父を探す旅に出る。
旅に出た主人公は父を探しだすことはできなかったが、父が虎となった理由を主人公自身で導くとこができ、主人公が成長する詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この可愛らしい表紙絵、こちら中島敦の山月記をオマージュした物語。親しみやすい文体で読みやすく、真相に近づけてはまた振り出しに戻らされ、読み手をそわそわさせるのが上手い。父(李徴)のスミレの花のくだりは詩的でとても美しい。
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中島敦「山月記」が好きです。
最初は教科書で読んで、
それが忘れられず、後に自分で買って読みました。
この本は「山月記」のスピンオフ?のような話。
主人公は「山月記」で虎になった主人公・李徴の息子。
”父は虎になった。ならば自分もいつか虎になるのではないか”
という思いから、父がなぜ虎になったのかを探るため旅に出る。
李徴が虎になった理由が、おお、なるほど!!と思える
とてもスッキリしたものでした。
最近、児童書をよく読んでいる。
児童書だからと、あなどれない本ばかり。
でも児童書だから、とても読みやすい。ふりがなばっかり!
唯一の難点は、児童書コーナーに一人たたずむ30女という図が
ちょっとシュールであること・・・。
この本でちょうどレビュー100冊目。がんばった。 -
山月記のアフターストーリー的な。
なぜ父は虎になったのか?李徴の息子の物語。
児童向けではあるものの、理由が明らかになるにつれてなるほど、、と思うことも多く、最高100ページぐらいは一気に読んだ。
アフターストーリーとして、中島敦が思っていた道筋かどうかはわからないけれど、続 山月記 的な扱いとしては面白かったです。 -
【感想】
・漢詩に隠された謎。うーん、そんなの解かれへんわ。
・中島敦も「山月記」も好きです。
・一時間くらいでサクサク読める。
【一行目】
――父は虎になった。
【内容】
・中島敦「山月記」の虎になった男の、息子が主人公。ということになるだろう。
・自分も虎になるのではないかと恐れた「ぼく」は父のことを知るために旅に出た。
・なんやかんやあって、父はなぜ虎になったのかという疑問となった。
・父の残した詩文に秘密がある。それを解き明かす結局ミステリ。 -
山月記は昔学校で習ったような、でもちゃんとは読んでないようなそんなところで読み始めたこれ。自分の父はなぜ虎になったのか。父はどんな人間だったのか、自分はどんな人間なのか。少年はひとりで旅をしながら成長していくのだな。
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中島敦「山月記」の虎になった主人公李徴の息子くんのお話。
父親は本当に虎になってしまったのか?真相を求めて冒険する14歳の少年の姿が、たくましくて、健気で、切なくて、親目線としては泣けてきた。
しかし爽快な気分になれる結末だったのが、とても良かった。
柳さん独自の「山月記」の解釈が面白く、また、納得いく形になっていたので、それもまた楽しめた。
〝これまでに書かれたすべての物語は、互いに響きあっている”
これ、好きだなぁ。 -
この話は中島敦の山月記を題材としたもので物語の後日譚を描いた作品である。主人公李徴の息子に視点を当てていて、原作とは違う角度から主人公の姿や背景を知ることができ新しい解釈で読める。また、別の視点から物語を読むことで、原作や文学の面白さや魅力を知る切っ掛けになるのではと考えている。
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これは抜群におもしろかった
中島敦の山月記が元ネタ
虎になった李徴の息子の話
8世紀後半の唐の社会を背景に
李徴がなぜ虎になったのかが解き明かされる -
-父は虎になった-
秀才で若くして官吏となり、将来を約束されていたはずの父が突然失踪してしまう。その後、虎となった父に会ったという人物からもらった手紙には、父が詠んだという一編の漢詩が添えられていた。
父は虎になった。ならば自分も虎になってしまうかもしれない。
何故父は虎になったのか?僕はその真相を突き止める為、旅に出た。
中島敦の『山月記』から生まれた、もう一つの物語。
男が突然虎になってしまう話『山月記』。普通に考えれば、何故そんな事態に?となるはずだが、そこに突っ込んではいけない。とにかくそうしないと物語は始まらない。
だが、息子にしてみれば、「そうですか」と納得する訳にはいかない。自分自身にも起こりうるかもしれない重大事項なのだから。かくして息子の目から見た『虎になった男』の話が誕生したのである。
YAシリーズなので、こんな感じの文章も書くんだなぁと以外に感じながら読んでいたのだけれど、やはり策を弄してくるあたりが柳広司らしいと思えた。