悪魔のバーティミアスがソロモン王の幹部に使役されていた時の話。ソロモンの暗殺を命じられたシバ王国の近衛兵アズマイラを、バーティミアスが偶然助けたことをきっかけに指輪を巡る争いに巻き込まれる。バーティミアスとアズマイラの2つの視点から物語が進むので次どうなるかハラハラしながら読むのが面白かった。
バーティミアスの話し方が嫌味ったらしくも面白く、物語の初めから惹き付けられる。自由を求めているのに、嫌味を言いつつ仕事をしたり、強者にはお世辞や媚びを売るところが正直に生きてると感じて憎めないなと思った。
近衛兵アズマイラが、自分の信念と事実との差に心を乱され、葛藤するところが印象に残った。バーティミアスがアズマイラに事実を突きつけるが、その方法もアズマイラを助けようという意図ではなくただ事実を言うという雰囲気で、押し付けがましさがなくてよかった。最後にはアズマイラが自分の意思で人生歩み出したことと、ちょっとしたお返しにバーティミアスが認めたくないことを言い当てていたことが、やられっぱなしでは終わらないアズマイラらしく、また2人がお互いをよくわかっていることが伝わってきてよかった。