源氏物語 紫の結び〈3〉

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制作 : 荻原 規子 
  • 理論社 (2014年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652200353

源氏物語 紫の結び〈3〉の感想・レビュー・書評

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  • 脇筋を省略した荻原規子版・源氏物語。
    光源氏が女三の宮を正妻として迎え入れていて、波乱の生涯も終盤です。

    光源氏の娘の明石の姫君は、春宮(皇太子)の妃となっていますが、めでたく懐妊して里帰りしてきます。
    紫の上にとっては育ててきた娘。
    姫君と対面するついでに、女三の宮(先帝・朱雀院の三女)とも会うことに。
    まだ幼さの残る女三の宮は、実質的な正妻である紫の上が若々しいので、親しみを覚えるのでした。

    身分の高い女三の宮の降嫁で正妻の座を奪われた紫の上は、内心の失望を表には見せません。ただ、何度も出家したいと源氏に訴えます。
    源氏はとんでもないと却下し、その気持ちもわかりますが、二度目三度目ともなったら、紫の上の心をもっと深く思いやるべきでしたね。
    さらに美しくなってきた紫の上に対する源氏の愛情は、かえって増すばかりだったにもかかわらず‥
    その辺の成り行きを描ききる紫式部って、なんて頭がよくて意地悪なんだ!と千年も昔の女性作家の観察力と筆力に脱帽です。

    紫の上が倒れた後は、そちらにかかりきりとなり、女三の宮は放置状態。
    少女だった三の宮も、この頃は20歳ほどになっています。
    そして、前々から三の宮に憧れていた柏木が、一目だけでも会いたいと思いを募らせ‥
    三の宮に仕えている女房たちは若く華やかだがあまり賢いとはいえない。そんな環境で起きてしまったこと‥
    源氏は驚愕しますが、若き日に藤壺の宮を愛したことで父の帝を裏切った自分の因果応報を思うのでした。
    紫の上を亡くした後は、かくも光り輝き続けた源氏の命運もついに衰えを見せます。
    やはり最愛の女性であったのでしょう。

    荻原さんは、このあたりが一番書きたかったのかと思える力の入り方で、読み応えがありました。
    紫の上の辛さがよくわかるため、ちょっと読んでいて気持ちが落ち込みますが。
    この部分、確かに話のポイントではあるのですが、他のバージョンだと他の色んなことに紛れて、そんなに突きつけられる印象はなかったんですよ。
    あとがきで、さらに念押しされます(苦笑)

    源氏物語をあまり好きじゃない人の一番の理由は、あまりにも大勢の女性を相手にした話っていうことじゃないでしょうか。
    いけいけのプレイボーイの話的な。いや、そうなるには理由があるし、いい思いばかりはしてないですよって。
    二番目は、嘆き憂う部分が多いしんねりむっつりした印象?
    どっちも一面ですが、当時の結婚形態や身分社会の様相、読まれた背景などがわかってくると、あまりに的確な描写に恐れ入る感じなんですよね。物憂げなようで、こんなにビシバシ怜悧に描かれた話だったとは。
    宮中というのは、それだけ女性の感性が研ぎ澄まされる環境だったってことかな。

  • 荻原さん訳の「源氏物語」です。3巻まとめての感想。
    正直ね、誰が訳しても話は同じなので、源氏の君のお盛んぶりと調子の良さと自己肯定には呆れた溜息が出ますが、描写の美しさや細やかさが素晴らしい。
    詰まらない粗筋が細部と周辺部の書き込みで、花鳥風月で雅な一大絵巻へと光り輝いていくのです。

    「紫の結び」というのは、源氏の君と藤壺の宮と紫の上の話に絞っているということ。
    数多いるつまみ食い的女性関係や、玉蔓十帖、源氏死後の話はばっさりカットされています。
    そのせいもあり、紫の上の印象がずいぶん変わりました。
    愛らしい人形みたいな印象しかなかったんですけど、明石の姫君が生まれたり、女三の宮がお輿入れしたりで、さんざん苦労してようやくその境地に辿り着けたのね、と同情心がしみじみと湧いてきました。

    源氏の晩年て、そういえばよく知らなかったこともあり、「若菜」以降の物語は興味深くもあり、荻原さんの意図もなるほどねと感じられました。
    私の源氏物語観は大よそ「あさきゆめみし」ベースなので、今回きちんと本で「雲隠れ」まで読めてよかったです。

    やっぱり源氏&頭中将より夕霧&柏木がいいよね。
    匂宮&薫の結びも読みたいです。
    源氏の女性たちの中では、むかしから葵の上がいちばん好きです。

  • (No.14-8) 荻原規子さんの源氏物語。一~三をまとめて書きます。

    源氏物語が長すぎるので、読みかけて途中脱落する人が多い。だからともかく全部読んでもらうために、荻原さんは枝葉を取っ払って幹だけにしたこの本を書いたとのことです。

    長くて読みきれない人が多いらしいとは聞いていたけど、私にはそれほど長いとは思えないの。
    何十年か前なら確かに長い小説と言えたかもしれないけど、今は何巻にもなる小説が当たり前にあるもの。特にファンタジー小説は長いのが多い。
    私も、原作はとても全部は読めてないけど、翻訳したのなら何種類も何度も読んでいて、これが何で長いんだ?と不思議な気がしてます。
    まあこの短いバージョンの源氏物語ならとりあえず頑張れば読めると思うので、ともかく源氏物語を読んでみたいという人にはトライする価値はあるでしょう。
    ただかなり薄味になっちゃってますが・・・・。

    私は恋愛小説が苦手。ミステリやファンタジーに恋愛が入ったものならまあ読めるんだけど、そういう要素がなくて、恋愛でくだくだ悩んでいるだけの小説はうんざりしてダメです。
    その私が、源氏物語は抵抗なく読める。
    荻原さんは源氏物語は長すぎるから挫折する人がいる、と考えたようですが私はちょっと違うと思う。源氏物語は恋愛小説じゃないのにそれを分かっていない人が多いから、というのが私の考えです。
    挫折する人は源氏物語を恋愛小説だと思って読み始め、なんか違う・・・と感じて読むのを止めてしまうのでは?

    あとがきに当たる「おわりに」では荻原さんも源氏物語の本当の凄みは、鋭敏に人間を見つめている作者の目だと言っています。

    源氏物語を読んだ人の感想に「光源氏が素晴らしい人だとは思えない」というのがよくあります。それ、正しい感想!
    素晴らしい、素晴らしいと書いてあるけど、本当はちっとも素晴らしくないのが光源氏なの。表面的には素敵でも、実はダメ男。きちんと読めば、そういうことが分かる書き方がしてある。
    紫式部がいた当時の宮中、だけでなく今の京都でも、ほめていてもほめてない表現方法は連綿と続いているのではないかな。(京都の方に偏見だと怒られちゃうかも・・・あくまでも私のイメージです。)

    源氏物語は男を捨てることで、女が幸せ、又は心の平安を得る小説です。
    捨てられる男代表が光源氏。
    女の手段はほとんどが「出家」。あるいは「母」に徹すること。
    そしてどの手段をとることも出来ず、心の中でだけ光源氏を捨て緩やかな自殺をしたのが紫の上。だから私には紫の上は特別に思えるのです。

    本の感想というより、「私の源氏物語」という感じの文になっちゃいました。

  • ゆっくりゆっくり、亀の歩みの私でもついに読了・・・面白かった!
    登場人物が多く名前が変わったりでごっちゃになってしまったりもしたけれど、1000年以上前の物語を味わえたことがうれしかったです。


    たくさんの女性と関係を持った光源氏ですが、結局紫の上の存在が一番大事だったということに気づいたんでしょうね。
    遅すぎましたが、亡くなってしまってから実感するものなのかもしれません。


    ハッピーエンドではなさそうだとは思っていたけれど、光源氏の印象が読み進めていくごとに変わっていき、晩年は悲しい感じ。
    「雲隠」であっけなく終わったことに驚きました。

    出家した女三の宮や若くして亡くなってしまった衛門督もかわいそう。



    >この物語は、読まない人から思われているほど、理想の美男子にうっとりするための読み物ではありません。

    「おわりに」で書かれている文章ですが、読む前は私もそう思っていた一人(笑)
    今回読む機会が巡って来て本当によかったです。

    でも『紫の結び』では省かれている帖もけっこうあるとのことで挑戦してみたい気もします。
    ダイジェスト版でも十分内容の濃い3巻だったので、これを全部読み通すとなるとかなりのヨイショがいるはず。


    荻原さんの完訳を読めたら一番なんですが・・・
    瀬戸内寂聴訳は母にすぐ借りられるけれど、少し読んで挫折した苦い経験があるので他のを手に取ってみたいです。
    林望さんか田辺聖子さんがいいかなと思っています。

  • 2014.10.27市立図書館
    「若菜」の途中から雲隠れまでの「光源氏の一生」完結編。女三の宮を正妻に迎えたことをきっかけに紫の上はじめ周囲の女人たちも物思い、自分の意志を遂げるようになり、一方で因果応報をみせつけられるような事件が起こり、少しずつこども世代のエピソードが増えてゆき、最愛の女性を失った光源氏もすっかり気を落として衰えてゆく。いろいろな義理やしがらみもあるとはいえ、関係を持ったからには最後まで世話をするのが甲斐性といっても、中途半端にしばられたような女人たちの気持ちを思うとほんとうに罪な人だったと思う。
    あとがきにあるように、いずれ『蔓花の結び』『宇治の結び』もぜひ。

  • この巻はけっこうドロドロしてました。
    現代でもありそうな事件なので、
    なんかこわいな~と思いながら。。

    光源氏が、
    一度思った人には手厚い、っていうようなことを
    一巻を読んだ時に思ったんだけど、
    それは3巻でも同じで、
    逆にそれがちょっと重すぎて
    なんか思われてる人にとってはきつそう。。って
    思ってしまった。
    もういい加減、忘れさせて、って思ってるのに
    手放そうとしないところが。。
    なんかちょいうっとおしいw
    それがほんとに大好きすぎて、っていうのとは
    ちょっと違ってても手放そうとしないのが
    怖い。

  • 荻原規子による源氏物語の現代訳。
    光源氏の晩年にあたる部分で、柏木のあたりの流れなどは昔別の現代訳で読んでいたにもかかわらず「こんな話だったのか~」と改めて感じ入った。
    昔読んだときはいまいち人物関係がよくわからなくなって読みきった記憶があるけれど、本作ではそれがかなりわかりやすく、単純に話の流れを楽しめた。
    平安時代にこれだけのストーリーが生み出されていたって言うのがすごいなと思う。
    最後まで光源氏の身勝手さとか上から目線さとかいい男だからなんでも許されます的な態度には呆れさせられたけど・・・これって当時の女房たちとかはどんな風に読んだんだろう。
    そういうことを考えるのもちょっとおもしろい。

  • 紫にまつわる帖だけをつなげ、すっきりとした現代語訳にした、シリーズ完結編。
    本筋だけを追っていくと、改めて「雲隠」の効果を感じる。
    『源氏物語』のいい入門書になるシリーズ。
    あとがきにあった、『蔓花の結び』や『宇治の結び』も、ぜひ刊行してほしい。

  • 3巻通して読んでみて、この時代の女性の強さを実感した。
    男女問わず四季を愛で、全身で全てを感じているところ、女性陣のどうなるともわからない愛を信じ続けているところはとくにしんみり感じた。

  • 源氏は数多く現代語訳されているが、荻原流だとこうなるのか。良くも悪くもなく、みょーに納得。

    わかりやすくするためか、ざっくり現代語にされた歌が違和感いっぱいでおさまりが悪く感じた。

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源氏物語 紫の結び〈3〉の作品紹介

女三の宮の降嫁により、紫の上は源氏との愛にも世の中にも諦念を持つようになりました。そして、ひとつの密通事件が物語の様相を変えていきます。不義の子を抱きながら、源氏は晩年になって巡ってきた宿命を思うのでした。源氏の晩年までを全三巻で。完結。

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