きのくに子どもの村の教育: 体験学習中心の自由学校の20年

著者 :
  • 黎明書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784654018871

感想・レビュー・書評

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  • 22.02.27読了
    教育関係の本の割に、読みやすかった。もっととっつきにくいかと。こういう学校もある、こういうやり方もあるのだと、気づかせてくれる本だった。
    きっと日本にはこうやって考えて、奮闘している大人がたくさんいて、自分が知らないだけなのだろうと思う。教育も情報の格差があるのかと。知っているか、知らないかで変わってしまう。
    専門分野なら、もっと知っておいていいと思う。
    まだまだ、やれることあるんじゃない?
    やってみたらいいんじゃない?って煽られてるような気がした。

  • 和歌山の橋本にある独特の小中高。そのユニークだが、考える子供を育てる教育方針には共感することが多い。子供たちのミーティングに委ねて、滑り台を考え、作る。そこには校長も先生もいない。堀学園長も「堀さん」と子供たちは呼ぶ!人間として仲間との精神は凄い!この学校が進学においても立派な成績を残しているということに喜びを感じる。黒板がなく、教室の「前方」がない。テストがなく、伝統的な科目がなく、「プロジェクト」という名前の授業がある。先生と生徒という言葉もない。このことはデューイの「民主主義と教育」の中で創造的思考を5局面に分けて、「①問題を感じる、②問題を観察する、③解決策を思いつく、④結論をまとめる、⑤行動して確かめる」で説明することに見事に一致している。「ニールは感情の自由、特に無意識の解放、デューイは知性の自由、特に科学的思考の態度と能力」を強調したという。
    引用されているA.S.ニールの言葉が印象に残った。「最も良い教師は子供と共に笑う。最も良くない教師は子供を笑う」また、子供の遊びがなぜ楽しいかの3つの理由説明が篩っている。①心身の爽快感、②成長の喜び、③自由 !!

  • きのくにが、どのような理念をもち取り組んでいるかを知れる。良書

  • デューイとニールとエッケンヘッドによる
    画期的な教育論と学校経営
    江戸の寺子屋にもあっただろうけれども・・・

    デューイは体験を背骨とする教育
    ニールは自律と自主性による自治を促す教育
    エッケンヘッドはこのふたつを兼ね備えるように
    暮らしにそくして共に生きる活動を目指した

    いずれにしろ彼らは視野の広い大人によって創られた
    対等で自在な環境の提供を実践している

    堀さんはニールに学びエッケンヘッドが実践した
    仕事と遊びと学びを統合した教育を目指した

    堀さんが20年掛けて経営してきた上での注意点
    初志を貫こうとするだけでなく
    行政や世間や親の立場や資金面などの状況における困難に対して
    柔軟にシタタカに根気よく対応しなければならない

    教育の目的を鮮明にし
    行政による認可を得るか無認可でスタートするかを決め
    職員の対等性か年功序列か力関係で運営するかを決め
    それによって給料体系のベースが全員同一となるか
    年功序列になるか地位別になるかなどが決まる
    又、基礎学習をプロジェクトごとのグループでするか
    年齢別のクラス分けをするか
    堀さんはこの4つを揺るがぬ要としてスタートした

    そして堀さんの初志は感情面で解放された子どもであり
    知的好奇心を持って創造し
    考えながら行動できる力を発揮して
    共に生きることの喜びを知る場の創設であるようだ

    これは何も教育現場だけのことではなさそうだ
    政治を始め行政など人と関わるすべての組織において
    共通する問題だろう
    この個々が対等で自在な社会環境を目指すことこそ
    参加者全員の幸福を可能にする全体観を持ちながらの
    自律した部分の存在を可能にするのだと思う

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