リビアを知るための60章 エリア・スタディーズ (エリア・スタディーズ 59)

著者 :
  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750323770

作品紹介・あらすじ

地中海沿いに古代ローマ遺跡が点在し,内陸に砂漠が広がる,豊かな産油国リビア。近年国際社会に復帰し,テロリスト支援の危険な独裁国とのイメージを払拭しつつある国と人々の真実の姿を,イスラーム研究者で元在リビア大使夫人の著者が多角的に紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 元リビア大使夫人が書いたリビアの概要本。といってもかなり中東の勉強を専門的にされた方で現在(2011年7月現在)の肩書きは日本のイスラーム研究者、筑波大学人文社会科学研究科(哲学・思想専攻)特任教授だそうです。

    リビアの都市、トリポリという名前の期限はトリポリスが由来。トリはギリシャ語で3、ポリスは都市。つまり3つの都市が集まったのがトリポリという地名になった。

  • “今後リビアが混乱に陥る可能性は低いだろうし、仮に起きる時はカッザーフィーの後継者による内紛だろう…”


    この本の出版当時(06年だっけ?)は積年の懸案だった大量破壊兵器問題に解決の目途がつき、数十年ぶりに国際社会に復帰しようとしていた状況を反映してか
    今頃になってまさか内乱なんて……という観測が強い。
    でも確かにその通りだろう。まさかこの5年後に隣国でネットを駆使した革命が起き、ムバラクが職を追われ、そしてリビアが国を二分するとは……。

    が、矛盾の萌芽は要所に見られる。
    《ベンガジは政府に対する反抗意識が強い》 《特に若者で深刻な失業率》などなど。
    こういった矛盾が一気に噴出したのか、などと。




    《○○を知るためのxx章》は気になる地域を知るために大変ありがたい。政治、経済、自然、抱える問題、ポップカルチャー…。あらゆる角度からその地域の事情がわかる。
    難しい専門書ではないし。

  • リビアにはすべてのものがあると言われている。
    フェニキア人の末裔。
    リビアの公用語はアラビア語で、公用語というのがここまで徹底しているのはリビアくらい。
    カダフィ時代、リビアは世界各地の反体制派やテロ組織を支援するだけでなく、自らも様々なテロ事件、暗殺事件に関与してきた。
    1969年に27歳で無血革命を起こしてから36年を超える長期政権。
    リビアの近代史はオスマン帝国とイタリアによって蹂躙された苦い歴史でもある。
    カダフィが「緑の書」で唱えている第三世界理論に基づいて1977年から施行されているジャマーヒーリーヤ体制は25年以上続いている。
    カダフィのリビアは孤高の道を歩んできた。
    リビアの若者たちは会話の中でカダフィ一家のことを「あの家族」と呼んでいる。
    リビアにはアフリカ・アラブ・ムスリム国という独自性があり、独自の文化である。
    リビアは1980年代以降アフリカの盟主たらんと欲してアフリカ支援に注力している。
    リビア経由でEUに行く不法移民が問題になっている。
    リビアにはアフリカ、中東から多くの出稼ぎ労働者が来ている。
    パンは政府の援助があるから安く買える。
    ファーストフードも増えてきている。

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著者プロフィール

1944年岡山市生まれ。
東京大学大学院人文社会科学研究科博士課程単位取得退学(博士(文学)東京大学)。
筑波大学教授、同大北アフリカ研究センター長、同大理事・副学長(国際担当)、東京国際大学特命教授、同大国際交流研究所・所長を経て、現在、筑波大学名誉教授、アラブ調査室室長。専門分野は、イスラーム神学思想、比較宗教学、宗教間対話、中東地域研究。
主な著書・論文:『リビアを知るための60章【第2版】』(明石書店、2020年、編著)、「公共宗教としてみたイスラームの世俗性と普遍性」(『ピューリタニズム研究第13号』日本ピューリタニズム学会、2019年)、「イスラーム・ジェンダー論の行方」(『いま宗教に向き合う』第4巻、岩波書店、2018年)、「宗教間対話運動と日本のイスラーム理解」(『宗教と対話――多文化共生社会の中で』教文館、2017年)、「ジハードとは何か――クルアーンの教義と過激派組織の論理」(『変革期イスラーム社会の宗教と紛争』明石書店、2016年)、『イスラームを学ぶ』(NHK出版、2015年)、「初期イスラーム思想における理性主義的人間観と宗教倫理」(『イスラム哲学とキリスト教中世Ⅱ 実践哲学』、岩波書店、2012年)、『イスラームの人間観・世界観』(筑波大学出版会、2008年)、『イスラームを学ぼう』(秋山書店、2007年)、『リビアを知るための60章』(明石書店、2006年)、『イスラームの生活を知る事典』(東京堂出版、2004年、池田美佐子と共著)、『イスラームの倫理――アブドゥル・ジャッバール研究』(未來社、2001年)、ほか多数。

「2021年 『イスラーム文明とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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