リビアを知るための60章 エリア・スタディーズ (エリア・スタディーズ 59)
- 明石書店 (2006年8月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750323770
作品紹介・あらすじ
地中海沿いに古代ローマ遺跡が点在し,内陸に砂漠が広がる,豊かな産油国リビア。近年国際社会に復帰し,テロリスト支援の危険な独裁国とのイメージを払拭しつつある国と人々の真実の姿を,イスラーム研究者で元在リビア大使夫人の著者が多角的に紹介する。
感想・レビュー・書評
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元リビア大使夫人が書いたリビアの概要本。といってもかなり中東の勉強を専門的にされた方で現在(2011年7月現在)の肩書きは日本のイスラーム研究者、筑波大学人文社会科学研究科(哲学・思想専攻)特任教授だそうです。
リビアの都市、トリポリという名前の期限はトリポリスが由来。トリはギリシャ語で3、ポリスは都市。つまり3つの都市が集まったのがトリポリという地名になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
“今後リビアが混乱に陥る可能性は低いだろうし、仮に起きる時はカッザーフィーの後継者による内紛だろう…”
この本の出版当時(06年だっけ?)は積年の懸案だった大量破壊兵器問題に解決の目途がつき、数十年ぶりに国際社会に復帰しようとしていた状況を反映してか
今頃になってまさか内乱なんて……という観測が強い。
でも確かにその通りだろう。まさかこの5年後に隣国でネットを駆使した革命が起き、ムバラクが職を追われ、そしてリビアが国を二分するとは……。
が、矛盾の萌芽は要所に見られる。
《ベンガジは政府に対する反抗意識が強い》 《特に若者で深刻な失業率》などなど。
こういった矛盾が一気に噴出したのか、などと。
《○○を知るためのxx章》は気になる地域を知るために大変ありがたい。政治、経済、自然、抱える問題、ポップカルチャー…。あらゆる角度からその地域の事情がわかる。
難しい専門書ではないし。 -
リビアにはすべてのものがあると言われている。
フェニキア人の末裔。
リビアの公用語はアラビア語で、公用語というのがここまで徹底しているのはリビアくらい。
カダフィ時代、リビアは世界各地の反体制派やテロ組織を支援するだけでなく、自らも様々なテロ事件、暗殺事件に関与してきた。
1969年に27歳で無血革命を起こしてから36年を超える長期政権。
リビアの近代史はオスマン帝国とイタリアによって蹂躙された苦い歴史でもある。
カダフィが「緑の書」で唱えている第三世界理論に基づいて1977年から施行されているジャマーヒーリーヤ体制は25年以上続いている。
カダフィのリビアは孤高の道を歩んできた。
リビアの若者たちは会話の中でカダフィ一家のことを「あの家族」と呼んでいる。
リビアにはアフリカ・アラブ・ムスリム国という独自性があり、独自の文化である。
リビアは1980年代以降アフリカの盟主たらんと欲してアフリカ支援に注力している。
リビア経由でEUに行く不法移民が問題になっている。
リビアにはアフリカ、中東から多くの出稼ぎ労働者が来ている。
パンは政府の援助があるから安く買える。
ファーストフードも増えてきている。