原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

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著者 : 安冨歩
  • 明石書店 (2012年1月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750335162

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―の感想・レビュー・書評

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  •  読む価値がないって本当だったなあ。わざわざ確認してしまった。要するに,東大教員が得意とする責任回避の欺瞞話法が,原発事故の張本人だという主張。無意味な揚げ足取りに終始。
     著者が糾弾する「東大話法」は,別に東大関係者に限ったものでなく,日本中に蔓延しているという。東大関係者が特別にそれが上手いからそう呼んでるんだって。本書では,今回の原発事故にまつわる言説を具体的に攻撃していくのだが,その対象は主に香山リカ氏と池田信夫氏。
     言ってることが支離滅裂なところも多く,幼稚な表現も頻出。これで東大教授とは驚くよ…。京大の小出裕章氏は仮面ライダーで,原子力村ショッカーに改造された改造人間なんだって。著書のブログは「マイケル・ジャクソンの思想を明らかにする」ものらしいが,意味が分からない。
     そのブログの反原発記事に共鳴してくれる人の中には,地震兵器とかユダヤの陰謀とかを信じきっている人たちが多いそうだ。いったいなぜだろうと考えて著者が出した結論は,「原子力とオカルトとは共に、熱力学第二法則を乗り越えようとする幻想という点で同じ論理構造を持っている」からだって。
     本当に意味が分からないよ…。amazonのレビューに好意的なものが多いのも信じがたい。今年読んだ本の中でダントツのダメ本。

  •  自分の本棚の分類では「原発問題」というカテゴリーに入れたけれども,本書は,モノの考え方に関するとても大切な視点を与えてくれる本です。
     特に,専門家という人たちの「傍観者の論理」「欺瞞の言語」を鋭く見破る眼を持たないと,もう一度,あの原発事故と同じような目に遭うかもしれません。
     先日の武田邦彦講演会で,原発村の社員らしき人が,「武田先生の講演は東大話法だ」なんて言って内容を批判していて,そのときは,この本を読んだのかなあと思いました。ま,新聞にも取り上げられていたのでそれを読んだのかもしれません。だって,本書を読めば,その質問をした電力会社の人は,自分の立場に立って,電力会社社員としての役目を果たそうとしている意見だったからです。そういう立場で考え行動することが,結果に対して如何に無責任になってしまうのか…も本書で述べられています。
     本書のタイトルにもある「東大話法」の話も確かに面白いですが,私は,第4章の「役と立場の日本社会」が特に共感できました。

  • 福島第一原子力発電所の事故後うようよでききた
    先生方がなぜあくまで傍観者でいられたか
    を立場がそのように発言させたと考えれば得心がいくと解説した本である。
    論理的な思考が稚拙な日本人を煙にまくにはこの程度のレトリックで十分だということがよくわかる。
    また面白いことに話法なのである。記述法ではないのである。ところが原子力白書など東大話法満載であるのに誰もこれを声にだして読もうとはしない。
    立場に立つ人が自分の信念に反してまで発言することをやめても
    別の人がその立場にたつ。
    これは原始力に限らず、景気の復興、自給率の確保、教育の向上、市民生活の安全性の確保、男女共同参画の推進。
    なんでもよい それが社会にとって必要なことと認知されれば、それをテコに実効力がなくてもお金が人が流れ込むという問題があるのではないだろうか。
    私はそのようなもろもろを飲み込むブラックホールのようなものが今回の事故で見えた気がする。
    東大話法はその表層にすぎないと思えるのだがいかがであろうか。

  • ある事実を、自分の都合の良いように言い換え、都合の悪いことは相手を攻撃することで防御する。
    そういった会話の技法を「東大話法」として批判した本。
    原発問題と、東大話法が深い関係にあるという主張はもっともだと思う。

    ただ、こんなことを言ってしまうと、何も主張できなくなってしまうし、本書だって東大話法で構成されていると指摘することは容易だ。

    例えば、香山リカ氏や、池田信夫氏についての考察に多くのページを割いているのは、

    「<規則8> 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する」

    に当てはまるとも言えるだろう。また、

    「<規則10> スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる」

    という面もあるかもしれない。
    こういった批判に備えて、この考察の目的は個人攻撃ではなく、東大話法の性質を明らかにするためだ、といった主旨を書いているが、これも

    「<規則12> 自分の議論を公平だと無根拠に断言する」

    といえなくもない。
     


    さらに、第4章で、いきなり夏目漱石の話になって、急に原発の話に戻るのも、

    「<規則16> わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する」

    とか、

    「<規則17> ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる」

    あるいは、

    「<規則18> ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす」

    に当てはまると言えるのではないか。
     
    結局のところ、コミュニケーションの際にこういった方法は不可欠で、使うなというのはムリは話だ。

    むしろ、聞き手や読者への注意喚起という視点で書かれていたほうが、有益な書籍として、より価値が高まったのではないかと思う。

  • 概ね素晴らしいと言っていい本。こういう良心回路を持った学者が東大におられるというのは心強い。ただし、人工地震説をろくに検証もせずに否定する態度は感心しない。否定できるだけの科学的根拠を出されたら、我々陰謀論者もそうだったのかと納得するところなのだが。残念なのはそこだけ。あとは本当に素晴らしい。名著。

  • 言葉の乱れが世の乱れ、という言葉にもあるように、原発推進者は言葉を巧妙に置き換えて原発用語を作り出し、他者だけでなく自分をも騙そうとする。

    日本には立場主義しかなく、その立場を守るためになら、どんな変哲なことでもやってしまう、奇妙なブラックな社会なのではないか、という筆者の問いかけは無視できない。

    東大話法は無意識に使ってるかも…笑

  • 日々思うことだが、高等な知性には同じレベルのモラルや人格が伴っていないといけない。知性が高ければ高いほど、一つの行動が社会に対して与えるインパクトが大きくなる傾向があるがゆえに、その行動の選択は高度な知性が必要となる。

  •  隠蔽といわず保安といい事故といわず事象といい長期的に悪影響があるものはただちに悪影響はないといい老朽化を高経年化とし危険性審査委員会を安全委員会とし不安を安心に変えることで自分自身を騙しつづけ空転する言葉を心身に浸透させてすべてを都合よく思い込んできた。公式表現は欺瞞に満ちた。必ずや、名を正す。事実にふさわしい言葉で事実に対応せよ。

    『現代日本人と原発との関係は、戦前の日本人と戦争との関係に非常によく似ているのです。』6頁

  • それは、東大関係者だけが使用する話法では無い。
    人の意志を支配し、自分に取って都合の良いように話を進めていく効果的な話法。

    それは、現在の高等点数至上主義教育の頂点とされる東大にあって、より強化され効果的に使用される。
    そして、東大の教育過程においては、その東大話法をうまく活用することが必須であり、結果として多くの官僚や電力会社等巨大企業の経営者等が使用する話法ともなる。

    詳細は、本文を参照していただくとして、福島原発事故以降、政財官、そして学、医の多くの分野の専門家達が話す言葉に、なんとなく釈然としないまま、でも、彼らの望むままに意見を進められていくような嫌な感じがしていた。

    その話の内容を、実例を挙げながら分析し、いくつかの特徴を抽出する。
    そして、その法則をあてはめて別の話を分析すると、綺麗に幾つかの特徴が表れていることがわかる。
    それを「東大話法」として体系化し、その話法に振り回されることなく、自分の意志を正しく持つための武器。本書には、そのような位置づけがあると思う。

    また、巻末の立場に関する議論も、見逃せない。それは、東大に限らず、われわれみなが多かれ少なかれ支配されている考え方だと思うから。

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原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―の作品紹介

原子力発電所は、「東大話法」によって出現し、暴走し、爆発した――。現役の東大教授が原発事故をめぐって飛び交った言説を俎上にのせ解析。そこから浮かびあがったのは同じパターンの欺瞞的な言葉だった! もう私たちは「東大話法」に騙されない。

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