- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750335162
作品紹介・あらすじ
原子力発電所は、「東大話法」によって出現し、暴走し、爆発した――。現役の東大教授が原発事故をめぐって飛び交った言説を俎上にのせ解析。そこから浮かびあがったのは同じパターンの欺瞞的な言葉だった! もう私たちは「東大話法」に騙されない。
感想・レビュー・書評
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なんとなく見てたニュースが「なるほど。そういった理屈で考えられていたのか」というように理解できる。原発事故半年後に書かれた書物だがそれ以外の官僚や、ニュースコメントにも同じ理論が通用している。そういった意味で、社会の動きを捉えやすくなる一冊でした。
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読む価値がないって本当だったなあ。わざわざ確認してしまった。要するに,東大教員が得意とする責任回避の欺瞞話法が,原発事故の張本人だという主張。無意味な揚げ足取りに終始。
著者が糾弾する「東大話法」は,別に東大関係者に限ったものでなく,日本中に蔓延しているという。東大関係者が特別にそれが上手いからそう呼んでるんだって。本書では,今回の原発事故にまつわる言説を具体的に攻撃していくのだが,その対象は主に香山リカ氏と池田信夫氏。
言ってることが支離滅裂なところも多く,幼稚な表現も頻出。これで東大教授とは驚くよ…。京大の小出裕章氏は仮面ライダーで,原子力村ショッカーに改造された改造人間なんだって。著書のブログは「マイケル・ジャクソンの思想を明らかにする」ものらしいが,意味が分からない。
そのブログの反原発記事に共鳴してくれる人の中には,地震兵器とかユダヤの陰謀とかを信じきっている人たちが多いそうだ。いったいなぜだろうと考えて著者が出した結論は,「原子力とオカルトとは共に、熱力学第二法則を乗り越えようとする幻想という点で同じ論理構造を持っている」からだって。
本当に意味が分からないよ…。amazonのレビューに好意的なものが多いのも信じがたい。今年読んだ本の中でダントツのダメ本。 -
自分の本棚の分類では「原発問題」というカテゴリーに入れたけれども,本書は,モノの考え方に関するとても大切な視点を与えてくれる本です。
特に,専門家という人たちの「傍観者の論理」「欺瞞の言語」を鋭く見破る眼を持たないと,もう一度,あの原発事故と同じような目に遭うかもしれません。
先日の武田邦彦講演会で,原発村の社員らしき人が,「武田先生の講演は東大話法だ」なんて言って内容を批判していて,そのときは,この本を読んだのかなあと思いました。ま,新聞にも取り上げられていたのでそれを読んだのかもしれません。だって,本書を読めば,その質問をした電力会社の人は,自分の立場に立って,電力会社社員としての役目を果たそうとしている意見だったからです。そういう立場で考え行動することが,結果に対して如何に無責任になってしまうのか…も本書で述べられています。
本書のタイトルにもある「東大話法」の話も確かに面白いですが,私は,第4章の「役と立場の日本社会」が特に共感できました。 -
福島第一原子力発電所の事故後うようよでききた
先生方がなぜあくまで傍観者でいられたか
を立場がそのように発言させたと考えれば得心がいくと解説した本である。
論理的な思考が稚拙な日本人を煙にまくにはこの程度のレトリックで十分だということがよくわかる。
また面白いことに話法なのである。記述法ではないのである。ところが原子力白書など東大話法満載であるのに誰もこれを声にだして読もうとはしない。
立場に立つ人が自分の信念に反してまで発言することをやめても
別の人がその立場にたつ。
これは原始力に限らず、景気の復興、自給率の確保、教育の向上、市民生活の安全性の確保、男女共同参画の推進。
なんでもよい それが社会にとって必要なことと認知されれば、それをテコに実効力がなくてもお金が人が流れ込むという問題があるのではないだろうか。
私はそのようなもろもろを飲み込むブラックホールのようなものが今回の事故で見えた気がする。
東大話法はその表層にすぎないと思えるのだがいかがであろうか。 -
ある事実を、自分の都合の良いように言い換え、都合の悪いことは相手を攻撃することで防御する。
そういった会話の技法を「東大話法」として批判した本。
原発問題と、東大話法が深い関係にあるという主張はもっともだと思う。
ただ、こんなことを言ってしまうと、何も主張できなくなってしまうし、本書だって東大話法で構成されていると指摘することは容易だ。
例えば、香山リカ氏や、池田信夫氏についての考察に多くのページを割いているのは、
「<規則8> 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する」
に当てはまるとも言えるだろう。また、
「<規則10> スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる」
という面もあるかもしれない。
こういった批判に備えて、この考察の目的は個人攻撃ではなく、東大話法の性質を明らかにするためだ、といった主旨を書いているが、これも
「<規則12> 自分の議論を公平だと無根拠に断言する」
といえなくもない。
さらに、第4章で、いきなり夏目漱石の話になって、急に原発の話に戻るのも、
「<規則16> わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する」
とか、
「<規則17> ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる」
あるいは、
「<規則18> ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす」
に当てはまると言えるのではないか。
結局のところ、コミュニケーションの際にこういった方法は不可欠で、使うなというのはムリは話だ。
むしろ、聞き手や読者への注意喚起という視点で書かれていたほうが、有益な書籍として、より価値が高まったのではないかと思う。 -
「東大話法」という言葉をどこかで聞いて、
ちょうど武田砂鉄さんの本を読んでいると、
あっ この本のことか
と 手にした一冊
なかなか興味深く、面白く読ませてもらいました。
特に 第四章「役」と「立場」の日本社会
での考察には フムフムとさせられました。
これは どこかで経験したフムフムだなぁ
と思っていたのですが
そうだ 半藤一利さんの著作を読んでいる時に
味わう アレだな と思い至りました。 -
コロナ禍になって私が一番影響受けた教授の安冨歩さんの本
原発事故が起きたときの官僚や専門家たちの欺瞞にみちた言動をどうしてそうなったのかを語っています。
驚いたのはこのときの原子力の専門家や官僚たちの対応が今のコロナの専門家や官僚と同じということだ。
当時の自分の感じた専門家の言動の気持ち悪さがこれ読んで納得しました。 -
この本における著者の筆致にはややアジテーションの激しさがあり、いくらか挑発的に過ぎるかもしれない。
ただ、現代日本社会が「立場主義社会」で、社会の主導権がなすべき仕事や果たすべき役割にではなく、立場にあるという認識は正鵠を射ている。
コロナとワクチンをめぐる専門家の言説のあり方も、まさに同じ「東大話法」であることに気づかされた。 -
んー。微妙。
東大同士の悪口合戦のような。
自分も原発反対だから応援したいけど、これじゃあ。
推進派も何かに凝り固まっているんだろうけど。 -
安富歩は、大阪生まれ、京都大学、住友銀行勤務、京都大学修士、名古屋大学助教授、東大助教授、教授という経歴の持ち主。前回の参院選にはれいわ新選組から立候補、落選。女装姿をしている。なんとなく、印象はキワモノのような気がしていた。原発について、勉強中にたどり着いた本書である。意外と緻密な論考をしているので、少し感心した。確かに、御用学者や官僚っって、自分の過ちを認めないように言い回しを使う。言っていることがわかんない。
例えば、アメリカのニューヨーク国連本部で核不拡散条約の再検討会議で岸田首相が演説した。きれいな言葉を並べながら、被爆国の首相として、そして広島の出身として、核禁止に対して一言も触れなかった。では、なぜ演説したのかという理由よりも、参加したことに意義があるということなんだね。すべからく、傍観者としての存在をアピールした。これは、官僚の作成した東大話法なんだねと思った。核禁止に賛成をしていないことの言い訳に過ぎなかった。それで、広島出身の被爆国の首相かいといいたい。
ふーむ。安富歩のいう東大話法は、「常に自らを傍観者の立場に置き、自分の論理の欠点は巧みにごまかしつつ、論争相手の弱点を徹底的に攻撃することで、明らかに間違った主張や学説をあたかも正しいものであるかのようにして、その主張を通す論争の技法であり、それを支える思考方法」である。東大話法は、以下の通りである。
①自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
②自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
③都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
④都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す。
⑤どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。
⑥自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。
⑦その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
⑧自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
⑨「誤解を恐れずに言えば」と言って、嘘をつく。
⑩スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる。
⑪相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す。
⑫自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。
⑬自分の立場に沿って、都合のよい話を集める。
⑭羊頭狗肉。
⑮わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する。
⑯わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
⑰ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる。
⑱ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。
⑲全体のバランスを常に考えて発言せよ。
⑳「もし◯◯◯であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。
まぁ。東大は、偉いんだぞ。東大が、我が国を指導しているんだという偉さが、以上のようなルールを作る。原発に対しても、「絶対安全」と東大話法で言い続けた御用学者たちは、原発メルトダウンの惨状をどうみているのだろうか。御用学者なりに誠実に自己批判文を出すべきだ。本書では、精神科医の香山リカとブロガーの池田信夫の発言に対して東大話法がどのように使われているのか、検証している。「役」と「立場」に対する考察が優れている。夏目漱石が「立場」という言葉の概念をうまく表現した。英語では、立場に該当するのが、standpoint,position,situation,stance,viewpointなどがある。また、東大話法は知らず知らず自分の中にも汚染されていると警告する。
それにしても、原発という利権に関して、原子力の委員会から、社団法人、財団法人がたくさんあることに驚いた。天下り先を作って、御用学者や官僚をうまく運用している。
広島、長崎という原爆の実体験は、アメリカによってデータ化された。そして、フクシマは、またしても放射能被曝のデータが収集できる。山下俊一長崎教授は、低被曝放射能のデータが集まることに、喜んでいるような感じでもある。専門バカは、ここに極めている。
武谷三男、高木仁三郎、小出裕章氏たちの意見も説明されていて、早くから原発の危険性を指摘している。こうやって、原発について、勉強していくと、日本の官僚、御用学者はかなり歪んだ世界に身を置いていることがよく理解できた。最近のクイズ王になることが東大出の流行のようだが、知性の無駄遣いとムダな知性で、間違った論説を作り出して、結果として福島のメルトダウンを招いたことを感じた。キワモノ的教授も、いい仕事している。