危ない精神分析: マインドハッカーたちの詐術

著者 :
  • 亜紀書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750503042

作品紹介・あらすじ

“幼児期のトラウマ”——あなたもこのワナに狙われている!
心の問題を全て「過去」「親」のせいにする精神療法がある。時としてそれは個人に深刻なダメージを与えることもあり、さらに、心の病を深刻化させているという事例に事欠かない。既にアメリカでは訴訟騒ぎにまで発展している。
本書は気鋭の臨床心理士が精神分析的手法の誤謬性を明らかにし、「精神分析の悪」を暴く。

感想・レビュー・書評

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  • 問題を解決するためには、小さな変化があればそれでよい。小さな改善を見つけ出し、どうして成功できたのかを考え、それを次のより大きな成功へと結びつけていく。

  • とりあえずヤバイ学者がいてその学者の主張が大変なものだったことは理解した。精神分析学主軸かと思いきや、割とそのヤバイ学者が主で内容がつまらないと私は思った。ヤバイ学者の事件を知りたかった方は面白いかもしれない。

  • 著者とそりが合わないような感覚と誤植が気になった。
    BPOってBPDではないのかな…レイブは確実にレイプの間違いだよね…
    鼻息荒く批判して飛ばしてるな〜と思ってたら、「〜なのではないだろうか?」「〜に思えてしかたない。」みたいな感想文的な文章が出てくるところとか、参考文献少ないなーと、なんとも言えない気持ちになる。でもこういうのは相性だと思うので本当に個人的なそれこそ感想文。

    途中までそうと知らずFMSF設立夫妻の娘の本も読んだけど、両者の立場は違えど少し後ずさって読む感覚でこちらも読んだ。
    ただ、どちらの本からも一部「なるほどね」とか「そうそう」と思えるところがあったのでよかった。
    特に、なにか問題があるとすぐに原因追求に飛びかかり、問題と原因が太いまっすぐな矢印で結ばれているように思われている、っていうような表現には膝を打った。AだからBになりました、なんて簡単な図式では人の行動や心理や感情って説明しきれないと、なんとなく思っていたことを明確に突き付けられた感じでスッキリ。
    ただこれは実際に虐待を受けたり、精神的/肉体的/性的暴力を受けた人…達にはとてもじゃないけど薦められない本だと思った。ただ著者はほぼ「エセ被害者」に向けて書いているようだからそんなことは考えなくてもいいのかな。

  • 権威が批判しているから、ハーマンは駄目だとか。
    多数決で駄目とか納得できない主張や、自己宣伝文章も多くて辟易する。
    一方で骨折 の治療は原因を求めないとか、依存する日本人と言った話は余りにも面白かった
    もうこの分野を少し学んでみる。

  • 精神、心理学は素人です。
    1-4章までは、過激な精神分析を広めた人の批判がメインなので省いても良いかもしれませんが、5章からは今なお日本にはびこっている精神分析にも警鐘を鳴らしています。

    筆者の4章にも渡る熱烈なハーマン批判を除けば、中立的で、現実に即していて信頼できると思いました。
    最後の、責められている親宛と子ども宛のメッセージ、後書のひどい虐待から成長を遂げた子どもの話を読むだけでも、目が覚まされました。

    ・「病名が分かれば、プラスになる」というのは事実ではない。クライアントはそのレッテルを通じて自分のことを説明するようになる。「ACだから自分に自信が持てない」など。
    ・現代社会に深層までに染み込んだ、直線的因果論、原因と結果が可能な限り一対一の因果関係こそが問題なのでは?「原因を発見して、それを除去すれば問題は解決する」=心を対象とするには安易すぎる。
    ・「彼らの精神は、精神分析を受ける前には存在してなかった信念によってハッキングされており、それによって金縛りにあっているのではないかと感じる。」
    ・解決志向セラピー(シェーザー)
    ・どんなきっかけで良くなるのかわからない、その機会は今日来るかもしれないし、明日来るかもしれないというように心を広げて待っていた方がよく治る。

  • レポート書くために借りた。ポール イングラム事件とかフランクリン アイリーン事件の詳細がよくわかった。日本でこういう事件がなくて良かった。やはり、アメリカに比べてカウンセラーがメジャーじゃないからだろうか。
    あと、作者をググってみたら驚いた。

  • 前半はハーマンという精神科医が述べた複雑性PTSD、そして記憶回復療法の問題点を詳細に紹介している。
    あくまで紹介。これはいい。
    心理療法が手段ではなく目的として利用された経緯、そして冷静にそれを批判した有能な心理学者との
    バトルが順を追って丁寧に紹介されている。もう一度言おう。あくまで紹介。
    前半は良書である。

    しかし後半がよくない。前半の論法を持って精神分析全体を批判しているが、もう訳が分からん。
    大体ここで批判されているのは何?フロイトの精神分析?もう古典もいいところだよそれ。
    まあその点はちょっと変だと気づいたのか、途中でその後の流れを組むものも・・・と現代の精神分析的心理療法にも言及して見せるが、全くもってナンセンス。
    十把一絡げもいいところ。精神分析的心理療法の一角を見て咬みついているに過ぎず、そもそも精神分析的心理療法にどういうものがあるのかすら検討していない。
    つまり批判するに足る事柄しか検討していない。それすら不十分だと思うのだが・・。悲しいかな前半で紹介したハーマンの悪行と同じ手法を用いていることになる。

    となるとこういった邪推が生まれる。
    この本はそもそも精神分析を批判するため、その目的で書かれた。そしてその根拠に説得性を持たせるため米国を中心に起こった記憶論争を引き合いに出した。
    「これはいい。歴史的な経緯を引き合いに出せば、私の論も信憑性が増すぞ!」って感じだろうか。
    しかもなぜだろう?文章の書き方を見るとこの人は精神分析を憎んでいる?という印象を受ける。本人も臨床家といってるが昔に何かあったのだろうか?教授との確執とか・・?
    そういった怒りの捌け口にこの本が使われている可能性は否定できない。
    あぁそれともあれか~。解決志向心理療法の優位性を立証したいという欲求に駆られてのことか?
    オレのほうがすげ~って感じ?
    どっちだろうと別にいいのにね。それで苦しんでいる人が少しでもハッピーになれば。

    どちらにしろ前半の見事さ、面白さに比べて後半は一貫して稚拙。(かと思いきや、結構いいこと言ってたりもする。ムラがありすぎるなこれは・・)
    まあ前半は米国で行なわれてきたことの「紹介」なので、こうなっても仕方ないか。

  • 暴力の被害者が、自己保全のために記憶が切れたり、忘れようとしたりしても、解決しないでいると様々な精神的不具合が出たりする。思い出して「なーんだ」と思う(とワタシが昔世話になった人は表現したが)ことで次のステップに進める。そういう考え方は大事なんだが、それを商売にした人たちがいて、社会現象化し、事態が知られてからは、そういうことが本当に必要な人も救済を得られなくなった。モトネタになったハーマンの『心的外傷と回復』が社会学でも古典文献とされていることは最近知った。ワタシ的には、尻馬に乗って自分の利益のために動くバカ(あるいは、「善意」に溺れて自分がそういうバカの機能をもっていることに気付かないひと)というのは、こういう、人間の生死ぎりぎりの話のところにもいるのだということを思い知る本だった。ただ、この本自体はトンデモ本とすれすれのバンキングをしていて、もう少しやり方があるだろうにと思う。

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著者プロフィール

1958年東京生まれ。京都大学文学部心理学科卒業。精神病院の相談室長などを経て、現在、西武文理大学講師、桜美林大学アカデミー講師。臨床心理士。テレビ・新聞などでのコメントの機会も多い。著書『依存性パーソナリティ障害入門』(日本評論社、2004年)、『平気で他人の心を踏みにじる人々-反社会性人格障害とは何か』(春秋社、2006年)、『困った上司、はた迷惑な部下』(PHP新書、2007年)、『パーソナリティ障害』(講談社選書メチエ、2008年)など多数。

「2008年 『無差別殺人と妄想性パーソナリティ障害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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