災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

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制作 : 高月園子 
  • 亜紀書房 (2010年12月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750510231

災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)の感想・レビュー・書評

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  • かつての大震災の時、日本人の冷静さや規則正しさ(?)が海外のメディアに絶賛されたらしいけど、災害が起きたときのそういった行動は、別に日本人だけじゃない。
    海外でも未曾有の大震災が発生したとき、人々は助け合い、譲り合い、支えあった。
    では、震災の時に人は暴徒化すると思われているのは何故なのか。
    誰がそういった情報を刷り込ませたのか。

    読むとわかります。

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    「災害が起こると人々はパニックを起こし無法地帯と化した町は犯罪が横行し暴力が支配する。そうならないように国などが強力なリーダーシップを発揮しなければならない」…ということは何となく疑いようのない事実とされていて、昨今の憲法改正論における「緊急事態条項」の追加云々もこれが暗黙の大前提となっているわけだが、実際災害時の光景はこのイメージとずいぶん異なる。本書では20世紀初めのサンフランシスコ地震に始まって、さまざまな天災、人災を例にそれ明らかにしていく。

     実際の災害現場においては平時に想像するようなパニックは起こらない。パニックを起こすのは大多数の民衆ではなく、ごく一部の指導的立場にいる者たちである。本書にも紹介されている災害社会学者キャスリーン・ティアニーはこれを「エリートパニック」と呼び、パニックに陥る市民と英雄的な少数派という一般的なイメージを覆した。
     現在、災害においては自然発生的な助け合いが勝利を収め、秩序をまもろうとする公的機関が過ちを犯すという世界観が大方の災害社会学者の共通認識になっているという。

    自ら極限の状態にある人が見ず知らずの他者に自然に利他的な行動を行うという事実。人間の根底にある善なるものに感動を覚えるが、これはアナキズムそのものでもある。国民を縛り付ける法律の制定に異議を唱えるばかりか、国家の根幹まで脅かそうとしているこの事実を国家たるもの認めるはずがない。

    9.11に続くハリケーンカトリーナにおける悲劇はこの古い神話にしがみついたアメリカ政府の失政であり、その結果ブッシュは急速に支持を失う。

    かたや我が国はどうだろう。

  • 東日本大震災の時に被災者がパニックを起こさず冷静だったのを世界から賞賛されて日本人ホクホクだったけど、実は災害時にはどこにでもある風景だった。緊急時には一般庶民はパニックを起こして暴れるという思い込みは、権力を持つ側の「エリートパニック」に過ぎない。

  • 東日本大震災の前に刊行され、震災後にやたらと取り上げられた感のある本。

    アメリカの災害について詳しいわけではないので
    わからないけれど、かなり
    大げさに書いているのでしょう?と
    疑いたくなる内容が多数。

    ギブアップしました

  • 大災害で人々がパニックになるというこが、マスコミ神話と政治家神話であることが記載されている。カトリーナ台風でも、市民は助け合ったが軍隊が攻撃したことも明らかであった。日本でも東日本大震災では市民同士の助け合いが多かったにもかかわらず、後から来た自衛隊や米軍の姿をクローズアップしていたマスコミがあるが、それもマスコミの枠組みでの放送であることがわかる。

  • 災害ユートピア。要すれば災害が起きたとき一致団結できるよねって話。

    こういう学術書って例外無く長いし重いのはなぜなんだろう・・

  • かなり読み応えのある本で、読了までは時間を食いました。

    1900年代初頭の地震から2004年のハリケーンカトリーナまでの、代表的な自然災害・人為災害を取り上げ、その被災地で人々がどのように協力して生き延びていったかが、エピソードをふんだんに紹介しながら述べられています。その点では、論文というより各論を知るための本、という印象も受けます。

    災害の種類として地震、船舶に積まれた火薬の爆発事故、9.11のテロ、ハリケーンによる水害と、それなりにバラエティを持たせて紹介されているので、災害の種類に関わらず被災地では人々が助け合うユートピアの出現を見ることができる、という点は評価できます。
    一方、著者が序論で触れている通り、取り上げている災害がアメリカ大陸で発生したものに限られているため、そのほかの文化・思考・宗教を持つ国や地域で同様のユートピアが出現するかどうかを実証できるものではなく、それはこの本の大きな限界の一つだと思います。

    とは言え、3.11を経験した日本を振り返ると、「権力者が自己の権威を回復させようとする中、従来と全く違う政策を取らざるを得ないためにパニックに陥って事態を悪化させる」「メディアが思いこんだことを報道することで噂が真実となり、二次被害が広がり災害の被害が拡大する」「権力者は被災者を弱者にすることで自己の威厳を保ち、政策を正当化できるため、災害が発生すれば大衆はパニックを起こし暴徒化するという論をメディアや映画を通じて啓発したがる」などといった論点は、洋の東西を問わないのかなという気もします。

    後半のハリケーンカトリーナの被災地で起きた「虐殺と権力者による被災者の黙殺」は、結構ショッキングです。これが正当化されるなら、アメリカの一部は病んでるとしか思えない。

  • 「危機に瀕した際のパニックというのは神話であり、時間が限られているが故にキャンプのような感覚で皆が助け合う」という考えを、多くの実例を参照しながら論証してゆく。しかし挙げられたすべての実例が、先進国の都市部である事は問題。

  • 興味深いが、読むのは初夏だな…。

  •  大きな自然災害や、戦争による爆撃の直後などの緊迫した状況下では、一般に、誰もが利他的になり、身内のみならず隣人や見知らぬ人々に対してさえ深い思いやりを示すことが、何十年もの社会学的調査の結果明らかになっている。
     本書は、アメリカの同時多発テロ、ニューオリンズを襲ったハリケーンカトリーナなど5つの事例をもとに、大惨事の中で人々がどう振る舞い、どう生きたかを綿密な取材で明らかにし、その事実を検証したノンフィクションだ。
    取り上げた5つの事例で起こった、胸の熱くなるドキュメントは本書を読んでいただくとして、著者が特に関心を寄せるのは、なぜ、そうした利他的なユートピアが大惨事の時に出現し、日常生活では隠れているのかということだ。著者は言う。「少なくとも災害時に現れる人間の本質は、有能で、気前が良く、立ち直りが早く、他人に共感でき、勇敢だ」と。そしてこれらの資質が日常的に顕れない原因は、現在の経済や社会の仕組みそのものにあると告発する。
     大震災後、人(自分)が優しく(利他的に)なったと感じている人は少なくない。この状況を維持するために必要なアイデアを、本書から読み取りたい。

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災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)の作品紹介

不幸のどん底にありながら、人は困っている人に手を差し伸べる。
人々は喜々として自分のやれることに精を出す。
見ず知らずの人間に食事や寝場所を与える。
知らぬ間に話し合いのフォーラムができる…。
なぜその“楽園”が日常に生かされることはないのか?大爆発、大地震、大洪水、巨大なテロ―いつもそこにはユートピアが出現した。
『ニューヨークタイムス』2009年度の注目すべき本に選出。

災害ユートピア――なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)はこんな本です

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