わたしの家――痕跡としての住まい

著者 :
  • 亜紀書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750513034

作品紹介・あらすじ

ヴァルター・ベンヤミンは、近代化以降、「家」もしくは「室内」は、その人らしさ
を映し出す「痕跡」であると言っている。どんなに乱雑な部屋でも、あるいはあ
る一つの趣味に統一された室内でも、最小限のスペースしかない家であろうと
も、家からはそこに住まう人が見えてくる。最小限の家コルビュジエの南仏の小
屋。書物を読み書くことを優先させた荷風の偏奇館。放浪作家、林芙美子の終
の棲家……。デザイナーや作家の家などの家を例にとりながら、人と家との関
係について探っていく。
また21世紀となり、私たちはもう一つの室内ともいえるコンピュータを手にし
た。そのバーチャルな私的空間も、あらたな私の痕跡である。私だけの守られ
た場所にいながら、私たちは世界中ともアクセスすることができる、技術の変
化とともに、変わっていく「私」の領域。その痕跡についても考える。人にとって
居場所、家、部屋とはなんなのだろうか。人は家に何を求めるのだろうか。その
ことを歴史的に捉えなおしたのが本書である。

感想・レビュー・書評

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  • 読むのに苦戦した、、、

    小難しい話の多い本。家について色々知りたい人はいいかも。多方面からね。

    部屋は精神に影響するっていうのはよく聞くけど、それがいろんなところで研究されてるらしかった。有名な作家とかの家が亡くなったあと公開されるのも、そういう精神面を垣間見せる一端としてやってるらしい。

    まぁ、読者なら気になるのはわかる。

    好きな作家さんの本棚とか覗きたいもんね。

    そして、有名建築家が必要最低限で作った8畳の家の間取りとか物凄い使いやすそうで、こういうのいいな、、と思ってしまった。

    あと、移動式の家。これも著者イチオシだったけど、その都度移動しながら住めるのいいよね。

    明日仕事早いから。とか。夏暑いからとか。笑笑

    土地に根付かなくてもたしかにいいっちゃいいよな。とか。すごく思った一冊でした。

  • それぞれの小見出しの柔らかさの雰囲気の割に内容は固めに感じました。

  • 家は自己のあり方をメトニミーとして表現している。ぶっちゃけていえば、家や部屋は自己表現だ、そして家は自己と他者を区分けする境界だ、という論点での総論各論。

    コルビュジェの小屋の話、オースターのブルックリン・フォリーズ、澁澤龍彦や林芙美子の家の話。

    家になぜ荷風がほとんどこだわらなかったか、じつはかつての実家を忘れるために意図して殺風景な家に住んだのだ、というのはおもしろかった。

    刺激的な論点がたくさんあったけど、全体に、ありものをまとめているので繰り返しが多いのが玉に瑕。本のたたずまいから受ける印象より結構難しい…。

    あと文体がぼくの好みには合わなかった。もう少しふっくら書いてくれたらいな。でもこれは好みの次元。

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著者プロフィール

1946年生まれ。武蔵野美術大学卒業。デザイン評論家。武蔵野美術大学教授。近代デザイン専攻。著書には『20世紀を作った日用品』(晶文社)、『モダンデザイン批評』(岩波書店)、『探偵小説の室内』(白水社)、『「しきり」の文化論』(講談社)など多数がある。

「2013年 『わたしの家 痕跡としての住まい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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