- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750513133
作品紹介・あらすじ
広告では多数の治療実績をうたっている「免疫療法」。しかし、その「治療法」は、医学的に効果が証明されていない。
本書は、日本における免疫療法の実態から、エビデンスに基づいた効果の検証、効果がない治療法がはびこる原因となっている医学界・医薬品メーカーの問題、そして長生きするために本当に必要な「抵抗力」について、わかりやすく解説する。
医学界を揺るがすベストセラーを連発し、第60回菊池寛賞を受賞した著者による渾身の書きおろし。
感想・レビュー・書評
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「ちょっと太目」にそなわる抵抗力詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ちょっとまとまりがないのですが、断片的な感想を。
『患者よ、がんと闘うな』や、「がんもどき理論」で有名になった近藤誠氏の本。たくさんの本を出しているが、私にとっては初近藤誠本。がん治療の専門家の中では賛否両論あるようですが、何かしら真実があるので受け入れられるのだろうと、期待して手にしてみた一冊。
タイトルに“免疫療法”とあるので、”がんが治る”と称しているあらゆる免疫関連の方法論が網羅されているのかと思いきや、丸山ワクチンをはじめとする本格的な免疫療法について言及したもので、一般の方が読むには少しハードルが高いかもしれませんし、簡単にタイトルの概要をなぞりたい方には少々気が重くなるかもしれません。
本書の主な目的は、わらにもすがる思いでいるがん患者を食い物にする免疫療法詐欺ビジネスの根絶です。その意味では、一つ一つ検証しているので著者の目的は達成されているのかもしれません。が、そのためだにけこれだけ理論的に説得されても、少々冗長すぎる気もしました。
私は鍼灸師をしていますが、鍼灸でがんが治るとは今のところ思っていません。しかし、いつかはそこに挑戦したいと思って免疫の仕組みも勉強はしております。
鍼灸師の中には、阿保徹先生の理論が魅力的に映るようで、それを臨床で実践している方も少なくなく、中には鍼灸でがんが治ると言い切ってしまう先生もいます。私はそういった鍼灸師に対しては、同業者としてとても恥じ入るべきだと常々感じています・・・。私は阿保理論に正直胡散臭さも感じていてなじめないでおり、近藤誠氏にはその辺りも検討してほしいと思うのですが、本書では全くといって良いほど取り扱っておらず、そもそも論外、蚊帳の外、検討するに値すらしないのだろうというのが分ります。しかし、阿保理論を使ってビジネスに走る東洋医学関連の人も多いので、いつかは真っ向対決して欲しい。そしてこの書評を読んで下さった方には、どうか東洋医学を売り文句にしたがんビジネスには引っかからないようにして欲しいと願うばかりです。
本書のタイトルには、「免疫力」より「抵抗力」というサブタイトルがついているのですが、肝心の「抵抗力」にはほとんど言及されおらず、その具体的な方法はありません。長々と免疫療法を否定するだけで終わってしまって、読んだ後に解決策が見当たらずに途方に暮れます。免疫療法を否定するためだけにこの一冊読む目的ならまだいいのですが、そこからさきを期待して読むにはのはきついと思います。
ということで、最後は尻切れトンボでサブタイトルは必要ないと思う。こういうところの詰めの甘さがあると、近藤誠氏も同じ穴のむじなか?と思われてしまうので、著者にとっても出版社にとっても気をつけが方がいいと思う。そうしないと、免疫療法詐欺ビジネスの人々から逆に叩かれてしまうから。
以上のことをまとめると、サブタイトルを期待する人には☆2つくらい。巷に蔓延する免疫療法詐欺ビジネスを根絶するために徹底的に理論武装したい目的なら☆4つくらい。その間を取って☆3つくらいが妥当かと思います。
書評ブログ『本でもって』内のレビューはこちらから
http://genpou.jugem.jp/?eid=55
その他の関連本
◎ 『立花隆思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む』
http://www.genpoudou.com/hariq-study/body/books_health21.html
◎ 『がんはなぜ生じるか』
http://www.genpoudou.com/hariq-study/body/books_health22.html
◎ 『新がん50人の勇気』
http://www.genpoudou.com/hariq-study/body/books_health23.html
◎ 『希望のがん治療』
http://www.genpoudou.com/hariq-study/body/books_health24.html -
引用している論文の出典も記載されているので、時間を見つけて、自分自身でも検証してみよう。
「第8章 市中にはびこる<日本固有のサギ療法>」
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免疫療法を盲信してしまっている人や冷静な判断ができなくなってしまっている人は、こういう現実があるということを知ってもらうために読んでもらうのも一考。
ただ、相変わらず文章の表現は過激で極論が目立ちますが...。
ちなみに、私自身は、大学病院でペプチドワクチン療法の臨床研究をまじめに取り組んでおります。 -
癌についての著作が多い近藤誠医師が免疫療法の間違いについて述べている。
内容としては、癌ができる仕組みと見逃してしまう人の免疫の仕組みの説明をした上で、筆者が海外でも論文で認められている免疫療法は、対象が癌の一部であり方法も副作用が多くあるという前提に立っている。
そのうえで、丸山ワクチン、がんワクチン療法等は免疫機能の理解や論文等から考えると理解できな面があると指摘し、日本は医師免許があれば治験等がやりたい放題にあり、エビデエンスに基づかないままに論文のデータ等を引用することが多くあり、これは英語の論文を読まない人が多いのではないと推測している。
詳細までは自分はわからないが、医学の治験のデータの取り方が難しいことや、データを細工しやすい点も医療統計の問題点であると思う。ある意味、癌についても、免疫についても、人間の体の仕組みはまだまだわからないことが多いことが確認できた本だった。
近年、免疫療法は期待されてもいるだけに、その批判をする本を読めたことは良かったと思う。