- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750513188
作品紹介・あらすじ
幕末の日本の医療水準は世界一。
南方仁《JIN》は漢方が効くことに、
むしろびっくりしたはず……。
西洋医学と東洋医学はからだの見方が違う。つまり違った言語で人の体を見ている。そして、お互いに得意分野が違う。「なんとなく調子が悪い」とか「冷え症がなおらない」とか、病名がつかないものは、むしろ漢方のほうが得意とする。漢方の特徴と、歴史的な経緯を知れば、納得して、ゆっくりと自分の病や不具合に向き合うことができる。しかも漢方には「手の施しようがない」という考えがない。症状に合わせて治療はずっと続けられるのだ。
2007年に免疫疾患のひとつである原田病にかかった森まゆみさんが、津田医師に教えを乞うた。西洋の体系と漢方の体系がぶつかり、ひずむ所から何が見えるのか。総合医療としての漢方のこれからを考える。
感想・レビュー・書評
-
日本における東洋医学の歴史をまとめた本。
明治時代に東洋医学を政府が捨てたことが悔やまれる。それぞれのいいところを活かせればどんなにいいか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトル通りに心身のバランスを保とうとする東洋医学、漢方への理解を深める本です。そして、日本人の欧米至上主義というバイアスを認識して、物事を見る視点のバランスを保とうとする機会を得られる本でした。
漢方のハウツー本ではなく、漢方のこれまでの成り立ちを知り、今の日本の医療における漢方の位置付けを知り、これからの漢方の未来を見据える内容です。タイトルからさらに広く壮大な内容へと展開しており、面白かったです。 -
漢方では「患者さんにさわる」ということが、とても大事なものなんです。それで証というものを得ます。西洋医だったら検査をしてヘモグロビンA1cがいくつ以上だったら糖尿病だから、こういうお薬を使いましょうとだんだん診療がすすみます。しかし漢方では患者さんから集めた情報と触診だけで、もういきなり「八味地黄丸」を処方しちゃうんです。診断即治療なんです。(津田)
-
西洋医学も併用する若き漢方医に、森まゆみさんがインタビュー。
中国に始まった漢方の体系が、日本にもたらされ江戸で開花する、という歴史の話が面白い。
開国とともに遅れた医学が西洋医学によって席巻され…という一般的な医学のイメージは全然間違いだ。
江戸期の医学は相当高度な達成を果たしていた、と。
ただ、明確な興味を持って読まないと、具体的で細かな知識が多いから眠く…。
でも、病気に対して分析的にあたる西洋医学、患者と一体となっていく東洋医学という対比はよくわかり、なかなかの好調でした。