愛のための100の名前――脳卒中の夫に奇跡の回復をさせた記録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-1)

  • 11人登録
  • 3.50評価
    • (1)
    • (0)
    • (0)
    • (1)
    • (0)
  • 3レビュー
制作 : 西川美樹 
  • 亜紀書房 (2015年3月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750514314

愛のための100の名前――脳卒中の夫に奇跡の回復をさせた記録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-1)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 奥様の名前はダイアン、職業は作家。15歳年上の旦那様の名前は
    ポール、大学教授で作家。ふたりとも仕事で言葉を扱うのは勿論、
    普段から巧みに言葉の海を泳ぎ、戯れ、言葉遊びを楽しんでいた。

    しかし、ふたりの生活はある日を境に一変する。感染症で入院して
    たポールに襲い掛かったのは脳卒中。右半身にマヒ、視界の欠損、
    そして何よりも愛した言葉をポールから奪った。

    本書は奥様であるダイアンが、ポールの脳卒中の発症からの5年間
    を綴った闘病と回復の記録である。

    伝えたいことがあるのに言葉が出て来ない、表現することが出来ない。
    ポール自身のもどかしさもそうだが、ポールが何を言いたいのか理解
    しようと務めながら途方に暮れるダイアン。どちらも辛い。

    だが、ポールは徐々に言葉を取り戻して行く。それは脳卒中を起こす
    以前のポールとは違うのだけれど、ポールはポールなりのユニーク
    な表現で思考を、気持ちを言葉にし、言葉を繋いで文章にするところ
    まで回復する。

    奥様のダイアンもただ献身的だったわけではない。彼女にも作家と
    しての仕事がある。一時はポールの介護の為に、自分の為の時間
    を諦めなければいけないのかと絶望の淵に追い詰められるのだが、
    入院中に出会った看護師の女性を在宅看護師として通ってもらう
    ことで仕事を続けることが出来るようになる。

    ポールを根気よく支えたダイアンもだが、この看護師の女性がまた
    素晴らしい。ふたりにとって欠くことの出来ない存在になる。

    卒中前のポールはダイアンに様々な愛称をつけていた。卒中後には
    そんな愛称の数々も忘れてしまったけれど、新たな愛称を考えて欲し
    いとのダイアンのお願いに応えてポールは100日間、毎日ひとつずつ
    愛称を考える。

    それが本書のタイトルになっている『愛のための100の名前』。その
    一覧が巻末の掲載されている。「キンポウゲの詩人」「荘厳な朝の
    妖精探偵」「夢見るホビット」等々。

    これが決まりきった言語療法よりも効果的だった。脳の機能はつく
    づく不思議だと思う。回復は難しいと思われても、損傷した部分を
    補うように新たなネットワークを築き上げてしまうのだから。

    それが証拠に、ポールは発症後5年の間に新たな小説を執筆する
    までに回復しているのだから。しかも、ダイアンが手探りで始めた
    言葉を取り戻す訓練が、最新のリハビリ方法に合致していたのも
    驚きである。

    諦めず、辛抱強く、それでも時には心が折れそうになりながらも
    言葉を取り戻すための努力を続けたご夫婦の、苦しくも温かい
    物語だった。

    この出版社の翻訳ノンフィクション・シリーズは秀逸な作品が多く、
    本書も優れたノンフィクションなのだが、本書では校正の甘さが
    気になった。「袋工事」ってなんだよ~。「袋小路」の間違いなの
    だろうけれど、ここでしばらくつっかえっちゃったよ。

  • 配架場所は、闘病記文庫 請求記号 936//脳//23

  • 卒中のため言葉と身体の自由を失うって、自分だったら急に訪れた悲劇に絶望して貴重な人生を悲しみと怒りだけで過ごしかねない。
    著者と夫は決してあきらめないでまた1から人生を構築しなおすのだ。
    この物語を読む前と読んだ後で、私自身人生を満足いくように変えていかないと、この本が日本で出版された意味がなくなるから、しっかり行動しよう。

全3件中 1 - 3件を表示

ダイアン・アッカーマンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

愛のための100の名前――脳卒中の夫に奇跡の回復をさせた記録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-1)に関連する談話室の質問

愛のための100の名前――脳卒中の夫に奇跡の回復をさせた記録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-1)を本棚に登録しているひと

愛のための100の名前――脳卒中の夫に奇跡の回復をさせた記録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-1)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

愛のための100の名前――脳卒中の夫に奇跡の回復をさせた記録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-1)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

愛のための100の名前――脳卒中の夫に奇跡の回復をさせた記録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-1)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

愛のための100の名前――脳卒中の夫に奇跡の回復をさせた記録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-1)の作品紹介

「この患者さんは、長く植物人間でしたね?」
「いいえ、脳卒中のあとに数冊の本を書いています」

突然、失語症と手足の麻痺に襲われた作家の夫。同じく作家の妻は家庭で献身的なサポートを続けた。
夫の失った言葉を取り戻すために手探りで見つけた方法、それは妻の愛称を夫が毎日考えるという他愛もない提案だった。

「キンポウゲの狩人」「つばめの天国」「荘厳な朝の妖精探偵」等々、それら100の愛情溢れる妻への名前たち。
その方法が、ほぼ最新医学が勧めるリハビリ療法に合致していた!

翻訳が待たれた、ピューリッツァー賞最終候補作品!

愛のための100の名前――脳卒中の夫に奇跡の回復をさせた記録 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-1)はこんな本です

ツイートする