シリアからの叫び (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズII-15)

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制作 : 古屋美登里 
  • 亜紀書房 (2017年3月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750514451

シリアからの叫び (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズII-15)の感想・レビュー・書評

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  • シリア内戦のルポ。拷問やレイプ被害者の体験談、特に処女性が強く求められるイスラーム文化においてレイプの持つ意味。残虐さは、想像する気にもなれない。以前読んだ[ http://booklog.jp/item/1/4022618566 ]はどちらかと言えばマクロ視点だったが、こちらは被害当事者の目線に寄り添う。
    以前中東に詳しい知人と話していた時の話。そのひとは学生時代シリアに旅行したかったが、「いつでも行けるから」と後回しにしていた。当時は治安も良く文化遺産もあって、観光地のイメージだったのだそう。もちろん当の国民にしてみれば圧制だったのかもしれないが、アラブの春以降本当に変わってしまった、もう行くことはできないだろうという。
    2011年、日本が震災のニュース一色だった頃、こういうことが進行していたのかと思う。それから2014年まで、自分が当時どう過ごしていたか振り返りつつ読むと、同じ時間の中で起きている出来事なのだと実感する。
    ・「(爆弾の着弾音に対して)『これがわたしたちの生活のBGMですよ』と伯父が言った。『だから昼食のときにはバッハについて話すんです』」(p135 ザバダニ)
    ・「無力とはどういうことか教えてあげますよ。無力とはね、母親なのに子供のために何もできないということなんです」(p166 ホムス バブ・アル=セバー通り)

  • 内戦が続くシリアからの、ルポルタージュ。著者はアメリカ人女性のジャーナリスト。
    欧州に住んでいるので、アメリカやヨーロッパによるシリア攻撃の報道がメインである。ところが、戦いや破壊のそもそもの始まりは、宗教の宗派の違いからのようだ。遠い日本では、現地で何が起こってどうして人が殺しあっているのか、ピンとこない人もいるだろう。本書を読むと、戦っている人たちも、もはや誰を相手にどうして戦闘をしているのかわからなくなっている人もいるようだ。政府軍か反政府かに無理やり分けられ、戦闘を続けている。凄惨な拷問や婦女暴行も頻発しているという。
    最後の章はアレッポの状況を伝え、なかなか良かった。
    個人的には、こういう戦争ジャーナリストは必要だとは思うが、西側の人がわざわざ戦闘地帯に入って行くのは、悲惨さを覗き見したいだけなのではないのか、とモヤモヤしなくはない。

  • 月並みだが、戦争のむごさ、そこから何も生まれないことを改めて知ることになる本。

  • ちょっと古いが、戦争のリアルを知れる本。政治や歴史という大きな物語の中で、人間1人1人の小さな思いを綴った小説みたいなノンフィクション。
    思いの無力さがとても歯がゆく、そして湧き上がる疑問への答えは書いていないしきっと気づいた人が自分で行動して変えて行かなければいけないのだろう。
    で、どうしたらいいのか?考えさせられた。

  • 現地に赴き、数多くの内戦・紛争を取材してきた女性ジャーナリストによる、シリア内戦初期(2012年)のルポである。

    著者は、紛争地帯の前線で取材し、シリアで何が起きているのか”、“そもそもこの内戦はなぜ始まったのか”という強い欲求があり、紛争で埋もれてしまう人々の声を聞き、それを伝えようとしている。

    一般市民と共に行動し、反政府組織側から見た紛争、そして、「政府」側の立場から見た紛争を記述する。

    そこから明らかになることは、激しい戦闘の中で見えにくくなっている、両軍の兵士による残虐な行為である。

    被害者は明らかに非人道的な行為を受けているにもかかわらず、紛争状態では、それらの残虐な行為が「正当化」され、戦闘行為も「正当化」されている。

    宗派や民族は違えど、自国民同士で憎み、殺し合うという紛争(戦争)の不条理さ、むごたらしさ。

    本書を読んで、内戦(戦争)というものには、「明確な始まり」は決してなく、まさに「朝、目が覚めたら始ま」り、そして、泥沼化していく過程もわかる。

    本書に記述されたそれぞれの生活や人生、そして、本書には登場しない、もっと多くの人々の生活や人生、あるいは、“そこにあったはずのもの”を考えると胸が痛い。

    本書の最後には、シリアの簡単な年表と、2011年〜2015年の「シリア内戦」の「シリア内」とその時の「国際的な対応」も併記されているので、参考になります。

    考えて考えても、どうにもならないことですが、やはり、戦争(内戦)がもたらす、人々の日常生活を圧倒的な力で破壊してしまう、その「悪」が恐い。

    ただ、1日でも早く、和平交渉が成立し、元の美しい街に戻ることを願うばかりです。く一部ではあるが、それらを思い起こさせる一冊である。

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シリアからの叫び (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズII-15)の作品紹介

目覚めると町は戦場になっていた

女性ジャーナリストが内戦初期のシリアに生きる人々を取材。砲弾やスナイパーや拷問の恐怖の下で暮らし、子供を育てるとはどういうことか。戦争とは、一体なんなのか。危険のただなかで語り出される、緊迫のルポルタージュ。


想田和弘氏(映画作家)推薦!
著者はシリアに入り、一般市民の目線でその恐るべき実態を描写する。彼女自身命がけ。よくもこんな取材ができたものだと圧倒される。本書はシリア人と著者の血で綴られた貴重な「歴史書」であり、平和な国の住民にとっては不吉な「予言の書」である。

全米各紙で絶賛!
ノーベル賞作家アレクシエーヴィチを彷彿とさせる。灼けつくような、必読の書。
 ―ミチコ・カクタニ(「ニューヨーク・タイムズ」書評)

必読。抽象的政治的な観点からではなく、あくまで人間に寄り添って描かれた、シリアの革命と内戦のルポ。      ―ロビン・ヤシン・カッサブ(「ガーディアン」書評)

2016年刊行と同時に、「パブリッシャーズ・ウィークリー」「ブックリスト」「カーカス・レビュー」「フィナンシャル・タイムズ」ほか全米で書評多数。

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